ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ビョーク@日本科学未来館 前編

2013-08-14 23:15:30 | SSW
8月6日、お台場の日本科学未来館へ、ビョークの単独公演を観に行ってまいりました!!

フジロックのヘッドライナー直後の単独公演、約800人というキャパ、チケ代22,000円、クレジットカードによる入場など、異例ずくしだった今回のビョーク。運良くチケットが当選して以来、いったいどんなライヴになるのかとワクワクしどうしでした。

異例と言えば、そもそも彼女の最新作「Biophilia」からして異例な作品でした。「テクノロジーと自然の融合」という壮大なコンセプトもさることながら、その表現の核となるスタジオ・アルバム以外にも、アプリ、ウェブサイト、カスタム・メイド楽器、ライヴ・パフォーマンス、教育的なワークショップという複数の要素で構成されるマルチメディア・プロジェクトですからね! 全ての楽曲がiPad用のアプリとして発売されたのは大変話題になりましたよね。まあ、私はiPadを持っていなかったので、ビョークのこの先進性にいまいちついていけなかったのですが…。

そんなビョークの提供するマルティメディアに置いてけぼりになった感じなところに今回の来日公演ですよ! フジロックだけでも嬉しかったところへこの単独公演。これでいよいよ「Biophilia」の世界を身近に感じることが出来る! フジロックの直後だろうと、チケ代が高額だろうと、そりゃあ行きますよ!!

今回のライヴは、マルチメディア・プロジェクト「Biophilia」の一要素として観ることも出来ますし、もちろんその要素の中心であるスタジオ・アルバム「Biophilia」の世界をライヴで体感できる場と捉えることも出来ます。ですがこのライヴが初披露されたのは2011年7月初旬、マンチェスターでのこと。アルバム「Biophilia」の発売前なんですよね。つまりこのプロジェクトの初お披露目はこのライヴなんです。なのである意味、このライヴこそが「Biophilia」の本筋であり、スタジオ・アルバムはそのサウンド・トラック的な位置づけのようにも思えてしまうのです。

マンチェスターを皮切りにニューヨーク、ブエノスアイレス、パリ等を巡ってきたこの「Biophilia」ライヴ。いわゆる、各国の都市を転々と回るツアーではなく、一つの都市に数日間滞在し、じっくりと腰を据えてコンサートを披露するという、まるで都市や会場とコラボレイトするかのようなスタイルも異例と言えば異例。アルバム・リリース時には何かのインタビューで東京に1ヶ月ぐらい滞在してコンサートをやりたいと語っていたビョークでしたが、流石に1ヶ月は実現しなかったものの、アジアでこの仕様でのライヴが披露されるのは、ここ東京だけだそうです。先のマンチェスター公演のライヴレポを雑誌で読んだ時、その小さなキャパと、ステージを360度取り囲む観客席というスタイルに、こういうライヴは日本じゃ見れないんだよな~、と唇を噛んだものでしたが、まさにそのライヴを東京で見れるんです!!! 題して「Biophilia Tokyo」。


さてライヴ当日。私が観た8月6日は、今回の東京公演最終日でした。場所はお台場の日本科学未来館。「Biophilia」のコンセプトに共鳴するような、良い会場を選びましたよね~。しかも開場時間前にはライヴで使われる楽器が展示されているということでしたので、私もまずはそれを見て参りました。殺風景な展示室にいくつかの楽器が並べてあるだけだろうと思いつつその展示室に足を踏み入れると、いきなりステージが目に飛び込んでくる。中央にシンギング・テスラコイル、その頭上には8枚の大型ヴィジョン。あれ?これってライヴ会場そのものなんじゃない!?っていう。





そうなんです、セットと使用楽器もそのままに、ライヴ会場そのものを解放してるんです。もちろんステージには上がれませんけどね。でも観客スタンディング・エリア内を自由に歩いて見学出来る。最初に感じたのは想像以上に狭いな、ということ。ステージも小さいですし、それを360度取り巻く観客エリアも思いのほか小さい。この狭さでビヨークを見れると思うと、この時点でかなり興奮気味に。そしてステージの偉容。シンギング・テスラコイルを中心に配置された楽器群の佇まいはまるで科学実験室の様。もちろんそれらこそが「Biophilia」の要素の一つ「カスタム・メイド楽器」であり、それを間近に見ているだけで、なんだかワクワクしてきましたね。


↑フジロックでも大活躍だった「シンギング・テスラコイル」。雷を発生させる装置ですが、同時に唸りを上げる怪音はタッチスクリーンで操作され、ちゃんと音階を奏でることが出来るらしい。



↑左手前はガムランの響きとチェレスタを組み合わせたという「ガムレステ」なる楽器。その右にあるのは、パネルに隠れてしまってますがパイプオルガン。一見古風な鍵盤楽器達ですが、MIDI操作されるらしい。



↑「Biophilia」の為の研究から生まれたという創作楽器、グラヴィティ・ハープ。重力の力を利用して音楽を奏でるそうですが、ハープどころかまったく楽器に見えません。この時点では、これがどのように動き、どのような音色を奏でるのか、検討つきませんでした…。これ、フジロックの時は無かったですよね?



↑マヌ・デラゴのドラム・セット。左側、セットの外に置いてある亀の甲羅のようなものは「Hang」という、手で叩くスティール・パンのような楽器で、フジロックでは「One Day」で活躍しました。



↑マット・ロバートソンのセットにはパソコンや卓に交じって前回のVOLTAツアーで大活躍だったReactableもありました。どの曲で使うんでしょうね?



↑頭上を見上げると日本科学未来館のシンボル、Geo-Cosmosが。この好解像度で光る地球もまるで「Biophilia」セットのように一体化しています。


実はこのGeo-Cosmosを舞台に特別実演「Biophilia~自然への愛」というものが1日2回上映されていたらしいのですが、残念ながら私はそれに間に合わず、見ることが出来ませんでした。どんな内容のものだったんでしょうかね? また、ライヴ期間中は子供達を対象に「Biophilia」アプリを使ったワークショップも開催されていたそうです。子供達が羨ましい~。



さて、フジロックの時は、ビョークを追いかけるのと全体像を捉えるので精一杯でしたが、今回は驚く程に小さな会場であり、上記のように楽器の予習も出来たので、これらの楽器達が楽曲ごとにどのように使われるのか、その辺のこともじっくり楽しもうと意気込みつつ本番を向かえた訳ですが、長くなったのでそれはまた次回に。


という訳で、後編に続きます。