ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

シェウン・クティ@渋谷クアトロ

2012-12-30 17:48:26 | ワールド・ミュージック

また随分と前の話で申し訳ありませんが、11月20日、渋谷クアトロにてシェウン・クティ&エジプト80のライヴを観てまいりました。夏にフジロックで観たばかりでしたが、あの時は昼の野外ステージ、しかも山の中という開放感抜群のシチュエーションでしたからね。そこでのまるで大地が揺れるようなアフロビートはホント最高でした。それ故に今回のようなライブハウスという狭く暗い密室でのアフロビートというのもまた気になるのです。一体どれほど濃密なのか?体験してみたくなった次第であります。

で、結果から先に言ってしまいますと、とんでもなかったです。まさに灼熱のグルーヴ地獄。密室でのアフロビートってこんなにもディープなのか!押し寄せるリズムが幾重にも重なってフロア中に充満する感じ。会場中がアフリカン・スピリッツの熱気でムンムンでしたよ! だって序盤から「Zombie」ですよ! シェウンの父であり、アフロビートの創始者でもある偉大なるフェラ・クティが残した名曲。堪りませんね~。

まずは何はともあれシェウン・クティですよ! 彼の統率力と言うか、カリスマ性が半端無い。背が高く精悍な体つきで、上半身を振り回すように踊り、歌い、サックスを吹く。彼の存在感がステージをグイグイと引っ張っていく。バックのメンバー達もそんなシェウンのオーラに亡きフェラの面影を感じているのかもしれませんね。そのシェウンが率いるエジプト80は父フェラが生前率いたバック・バンド。ドラムス、ギター、ベース、各種パーカッション、ホーン隊、とにかく大所帯。ステージ狭しと彼らが並ぶ様だけでもかなり押しが強い様相ですが、そんな彼らが繰り出す鋼のように強靭で、ドロドロと反復するリズムの応酬は濃密そのもの。そしてそれに切れ込むように入ってくるギラついたホーンリフ。格好良い~!!

最新作から「Slave Masters」、「Mr. Big Thief」、「The Good Leaf」など、オリジナルなアフリカン・グルーヴがポリリズミックに押し寄せる。ステージの右端にはひたすら踊りながら球状のパーカッションをじゃらじゃら鳴らしている人がいる。この人の愛嬌あるダンスがまた妙に“いなた”くて堪らない。そして左端には原始的なアフリカ産カウベルのようなものをただただコンコン、コンコン叩いてる人も居る。たかがカウベル、されどカウベルですよ。このひたすら鳴り続けるキンコン、キンコンが次第に脳内をグルグル回り始める。それはもうアフリカン・グルーヴの陶酔感に飲み混まれた証拠。

でもステージ上で最もアフリカンなのは二人の女性ダンサーですよ! 黒光りする肌を強調するような露出の多い白い衣装、頭から前身をビーズで飾り付け、目の回りに施された虹色の大きなペインティングが一際目を惹く。いかにもアフリカン。彼女達は観客に背を向けて激しく腰を振る。そのスピードとキレが半端無い。セクシーと言うより圧倒的に格好良い!! ほとんど腰振りっ放しなイメージですが、一応ダンスとして振り付けもある。でもそれはまるで子供がじゃれあってるようであり、それがまたいかにも土着な雰囲気を醸す。踊るだけではなくコーラスもしますが、ハモるとかいうのではなく、ひたすら合いの手のような感じで、その反復がまた陶酔感を誘う。そういった部分もひっくるめてこの女性ダンサーの存在全てが格好良い! 私なんかは8割型この2人ばかりを観てましたからね。まあ、それは過去2回フジロックで観た時も同じでしたけどね…。

新作からのスピリチュアルなタイトル・ナンバー「Rise」も良かったですね。ダンスビートだけではない深みを見せてくれました。終盤の「You Can Run」では上半身裸となったシェウンのサックス・ブレイクが炸裂! この曲は盛り上がりますよね~。それにしてもシェウンの煽動力は流石としか言いようがないですね。この頃には完全にバンドも観客も一体となってアフロビートの渦の中でしたから。こういう親密感はやはりライヴハウスじゃないとね。シェウンの演劇めいたコミカルなアクションも印象的。

アンコールは前作から「Mosquito Song」。まずはバンドメンバーと女性ダンサーが登場。シェウンが居ないせいか、ダンサー達が大はしゃぎ。メンバー達と戯れるように踊りまくり。とにかく楽しそう。中央でダンサーとホーン隊の人達とが折り重なるように踊る様は、ちょっと昔懐かしのランバダとか思い出したり。そんなやりたい放題な現場に現れたシェウンがその様子を見てあきれ顔。そんなことも含めてアンコールならではの祝祭感。もう観てるこっちも楽しくてしょうがない。そしてラストの「Mosquito Song」の濃密度がまた凄まじかった! もうクラクラしちゃいましたね。

終わったあとはまるで台風一過のように茫然自失かつ幸福感一杯の晴れやかさ。アフロビートってなんだ!? フジロックとはまた違う、クラブ公演ならではのとんでもない濃密体験。最高でした!!

*既に記憶が曖昧です。曲目等間違いがありましたらごめんなさいね。


メンバーの足下に有ったこの夜のセットリスト↓