ルーツな日記

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キャロル・キング&ジェイムス・テイラー@武道館 その2

2010-04-26 13:05:07 | SSW
JAMES TAYLOR / MUD SLIDE SLIM

前回からの続きです。

キャロル・キング&ジェイムス・テイラーの来日公演、武道館初日。途中休憩を挟む2部構成でアンコール含めて全28曲。まあ全編に渡って名曲が次から次へとという感じでしたが、さらに終盤はキラー・ソングのオン・パレード!! もう感涙ものでした。

まずはゴフィン&キング作の「Will You Love Me Tomorrow ?」。61年にシュレルズに提供されてゴフィン&キングにとって最初の大ヒットとなった曲。ですがもちろんここではキャロルがアルバム「TAPESTRY」でセルフ・カヴァーしたようにスロー・テンポで歌われる。しかもそのアルバム同様にキャロルのピアノにジェイムスのアコギがしっとりと絡む。そしてキャロルの切なげな歌声にジェイムスがそっとハーモニーを添える。堪りませんね~!!

そしてジェイムスがエレキ・ギターを持ち、ダニー・コーチマーとのブルース・セッションのように始まった「Steamroller Blues」。これも人気曲ですよね。ブルース好きの私といたしましても嬉しかった!ジェイムスの歌のうまさも光っていましたね。

さらに「It's Too Late」と「Fire And Rain」が続けて演奏される。シンガー・ソング・ライターの幕開けを告げた2曲ですね。あの頃、ロック・シーン全てを飲み込んだようなサマー・オブ・ラヴ、そして巨大な足跡を残したビトールズ、それぞれが終演を向かえた1970年、まずジェイムスの「Fire And Rain」がヒット。このヒットが新しい時代の扉を開け、その翌年、キャロルの「It's Too Late」が大ヒット。さらにこの曲を収録したアルバム「TAPESTRY」は15週間もヒット・チャートの1位を独占し、302週(およそ6年間!)に渡ってチャートに居座るという歴史的な大ヒットを記録します。そんなエポックメイキングな2曲。ですが二人はいたって自然体で歌う。それがまた良いんですよね~。

続いて披露されたのはその「TAPESTRY」の冒頭を飾ったアップ・ナンバー「I Feel The Earth Move」。キャロルは立ち上がりまるでメンバーそれぞれを鼓舞するように歌い、バンドをグイグイ引っ張っていく。彼女の崩れそうで崩れないハスキー・ヴォイスがまた格好良い!!痺れますね~。そしてそんなキャロルにしては珍しい程ロック・テイストなこの曲で盛り上がった後は、待ってましたの「You've Got A Friend」。二人が歌うこの曲を聴きたくて武道館まで足を運んだという方も多かったのでは?もちろん私もこの曲が1番楽しみでした!

あの頃の二人には、お互いのアルバムにゲスト参加し合ったり、ライヴで共演を重ねたり、音楽で繋がる絆のようなものを感じますよね。それがシンガー・ソング・ライターという新しいムーヴメントを産み出す訳ですが、そういう時に生まれる独特の空気感、それを最も濃厚に感じさせてくれるのが「You've Got A Friend」なんですよね。

71年のアルバム「TAPESTRY」に収録されたこの曲ですが、ほぼ同時期にジェイムスがカヴァーし、そちらが大ヒット。この曲はキャロルがジェイムスについて作った曲だとか、いやそうじゃないとか、諸説あるようですけどね…。ま、どちらにしろ不世出の大名曲ですよ。ジェイムスはこの曲で71年度のグラミー賞にて最優秀ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス部門を受賞しています。さらにキャロルにいたっては、「It's Too Late」で最優秀レコード部門、「TAPESTRY」で最優秀アルバム部門、そして「You've Got A Friend」で最優秀ソング部門と、主要3部門を制覇。ちなみにもう一つの主要部門である最優秀新人部門は、ジェイムスの奥方となるカーリー・サイモンが受賞しています。71年とは、そういう時代だったんですね。

二人が歌う「You've Got A Friend」。悔いのないように噛みしめてきました。素晴らしいメロディと重なり合う二人の声。キャロル独特の儚く切ない歌声を、ジェイムスが優しく包み込むように。いや~、何か胸を締め付けられるような素晴らしさでしたね。あの頃からもう40年近くが立ってますけどね、こうしてまた二人並んでこの曲を歌ってるなんて、なんか素敵ですよね。しかもこうやって日本でそれを生で聴けたなんて!!

拍手喝采のなかステージを後する二人。しばし余韻に浸りながらアンコールを待つ観客。そして仲良く戻ってきた二人が歌ったのは「Up On The Roof 」。ドリフターズに提供され大ヒットしたゴフィン&キング曲。何度も書きますけど、これも大名曲! ! キャロルのセルフ・カヴァーも良いですし、ジェイムスもカヴァーしていますね。ここでも二人それぞれが各々の色彩で歌い継ぎます。

そして「How Sweet It Is (To Be Loved by You)」。最後の最後でH=D=H作のモータウン曲が登場するマジック! もちろんジェイムスがカヴァーしている曲なのでなんら不思議はありません。ですがそれ以上にここでマーヴィン・ゲイのカヴァーが登場することにより、二人の音楽には、ティン・パン・アレイやSSWはもちろん、ジャズやブルースも、フォークやカントリーも、R&Bも、ニュー・ソウルも、そしてモータウンも、ありとあらゆるエッセンスが自然に脈打っているということをあらためて感じさせられ、なんか嬉しくなりました! 音楽って良いな~と。ホントこういう音楽を好きで良かったな~と。

幸せなモータウン曲が終わり、メンバー全員が1列に並び観客の声援に応えます。するとキャロルが人差し指をかかげ、「もう1曲!!」みたいな仕草をして、メンバーがドタバタと楽器を手にして始まったのが「The Loco-Motion」。これはね、ライヴの最後にふさわしいノリノリな感じで。しかも途中ジェイムスもリード・ヴォーカルをとるおまけつき。ロコモーションを歌うジェイムス、なんか微笑ましかったですね。

あの頃、あの頃、と連呼してきましたけど、思い返せば、二人の歌声はことさらにノスタルジックなものではなく、現在の等身大の二人として生命力に溢れる素晴らしい歌声でした。そして本当の名曲は、いつまでたっても瑞々しい程に名曲なんだなと。あ~、幸せな気持ちになるライヴでした…。


5月には、今回のツアーのきっかけにもなったといわれる、07年に行われたトルバドール50周年記念コンサートでの二人の共演ライヴがCD/DVD化されるそうですね。そちらも楽しみです!


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