ASHFORD &SIMPSON / THE BEST OF ASHFORD &SIMPSON
11月22日、ブルーノート東京へアシュフォード&シンプソンのライヴを観に行ってきました! 最終日の1stショーです。なんてったって今回が初来日ですからね! このお二人、70年代後半から80年代のディスコ時代に数々のヒット曲を出した夫婦デュオですが、私はそれよりもっと前、60年代のモータウンでマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの諸作をはじめ、数々の名曲を産み出したソングライター/プロデューサー・チームとしての活躍の方が馴染み深かったりします。私、正直なところディスコな感じは苦手でして、その時代のアシュフォード&シンプソンはベスト盤しか聴いたことがありません…。でもマーヴィン&タミーが大好きで、特に「Ain't Nothing Like The Real Thing」は私のフェイヴァリット・ソングです。無人島に1曲だけ持っていけると言われたら、この曲を持っていきます!
さて、ほぼ定刻18時頃にバンド・メンバーがステージに登場。挨拶代わりに演奏を始め、その演奏に合わせて客席後方からアシュフォード&シンプソンの二人が、喝采を浴びながらステージに向かって歩いて来ます。本物です! ステージに上がるニック・アシュフォードがデカイ! それに対してヴァレリー・シンプソンは小柄な感じ。この二人の並んだ姿がまた絵になるんですよ。それぞれもう60代でしょうが、若々しいですね~。まず歌うのは「Found A Cure」。ディスコ時代のヒット曲ですね。二人の熱い歌声にググッと引き込まれます。さすがに良い声しています。そしてメチャクチャ上手い! 衰えを全く感じさせない。どころか熟成も加わりより一層味わい深くなっているよう。さらにバンドの演奏が良い~! “ディスコ”より“ソウル”を感じさせる暖かいノリに、思わず体が揺れてしまいます。
個人的にはベーシストのエルリエル・バーフィールドがツボでしたね~。なんか幸せになれるリズムでした。この人はルーサー・ヴァンドロスやルー・ロウルズなんかのバックで弾いてた方みたいですね。その他の編成は、ドラムス、ギター、ピアノ、キーボード、それにアフロがチャーミングな男性コーラスが一人。それぞれ決して派手ではありませんが、瑞々しくふくよかなグルーヴを聴かせてくれました。
「Is It Still Good To Ya」、「Stay Free」とデュオ時代のヒット曲が続きます。とにかくCDで聴くより断然エネルギッシュでソウルフルな二人の歌声が素晴らしい。ニックは男の色気と言うか、男性フェロモンを発散しまくり。ディープです。ヴァレリーはちょっぴりハスキーな声で、以外とアーシーな香りを感じさせてくれる。そして二人のコンビネーションがまた堪らない。ハーモニーが素晴らしいのはもちろんなのですが、相手の何気ない掛け声のようなものにも、すかさず裏で反応するみたいな阿吽の呼吸がこの上ない高揚感を誘います。
二人の代表曲の一つ、ダイアナ・ロスの「The Boss」。これも原曲はディスコ時代を感じさせる曲ですが、コンパクトなバンド・サウンドで聴かせる今夜のライヴでは、まるで60年代のモータウンがこの曲を作ってたらこんな感じになるだろうな…、って思わせるスィート・ソウル。この曲もマーヴィン&タミーと同様“こみ上げ系”の名曲であることを実感しました。またこの曲は後半に長尺化し、ほとんどセクシーなニックの一人舞台に。まるで泣いてるようにウェットな地声、トロトロのファルセット、咆哮、シャウト、もう自由自在な歌唱に痺れました。この人、凄いです!
名バラード「Send It」を挟み、チャカ・カーンのソロ・デビューに提供した「I'm Every Woman」。今度はヴァレリーの独壇場。衰え知らずの躍動感溢れる歌声でステージをグイグイ引っ張っていきます。しかも後半はステージだけでは飽き足らず、客席へも降りてくる。客席の狭い通路を練り歩きながら歌う。そしていよいよ私の席の目の前へ。間近にあのヴァレリー・シンプソンが! これだけでもう興奮度100%越えですが、なんと、ヴァレリーがちょこんと私の膝の上に座っちゃったんですよ!そしてそのまま歌い続ける、私の膝の上で! もちろんほんの短い時間ではありましたが、私はどうすればいいか分からず、ただただ手を叩いて喜んでいました…。
次の曲は「Street Corner」だったと思うんですけど、思わぬ出来事にボーっとしてしまって良く覚えていません。両足にはまだヴァレリーの温もりが残ってるし…。そして「Let's Go Get Stoned」。しっかりしなくては、ココからがいいところなんだから!と気を取り直してステージに集中します。ここからはアシュフォード&シンプソン、成功の物語です。66年にレイ・チャールズによってR&Bチャート1位に輝いたこの曲こそアシュフォード&シンプソンの出世作です。ヴァレリーがピアノを弾き、ニックがちょっぴりレイ・チャールズを意識するような感じでブルージーに歌います。渋い! そしてそのあとニックが話します。英語がダメな私にはその内容はほとんど分かりませんでしたが、この曲のヒットが二人の生活を変えたこと。例えばハンバーガーがステーキになったとか。そしてモータウン社長のベリー・ゴーディがデトロイト行きの航空チケットを送ってきたこと。しかもそれがファースト・クラスだったこと。そしてモータウンに向かえ入れられたこと。などなどが語られていたようです。ヴァレリーのピアノをバックにしたニックの抑揚たっぷりな語りは、MCというより、ほとんどプチ1人ミュージカルな感じ。魅せてくれました!
そしてモータウン時代へ。待ってましたの「Ain't Nothing Like The Real Thing」。コレが聴きたかったんです! しかしスローなアレンジで短めに終わってしまい「Your Precious Love」に続きます。マーヴィン&タミーのメドレーです。出来ればもっとがっつり聴きたかったとも思いますが、これはこれで贅沢です! ここまでヴァレリーはピアノを弾いています。そして大名曲「Ain't No Mountain High Enough」へ。ダイアナ・ロス・ヴァージョンのゆったりとしたコーラスから始め、突然テンポ・アップしてまたマーヴィン&タミーの世界へ。ここでヴァレリーもピアノから離れ、ニックと仲睦まじくデュエット。こうなるとどうしてもマーヴィン&タミーが頭を過ります。しかもヴァレリーはタミーが癌に倒れた後、タミーの代役まで務めた経歴の持ち主ですから!
やっぱり「Ain't No Mountain High Enough」はいい曲ですね。なんか勇気が沸きますね。色々なアーティストがカヴァーをしてると思いますが、生で聴くのは初めてだったかもしれません。しかも作者による本家本元の歌ですからね。「Ain't Nothing Like The Real Thing」と「Ain't No Mountain High Enough」、甲乙付けがたいですね。これが聴けて幸せです。感無量です。ここで終わっても良いぐらいでした。でもね、最後に二人の大ヒット曲「Solid」があるんです。80年代の二人が好きな方々にはこれぞ待ってました!って感じなんでしょうね。ここで観客も総立ちに。今まで、雰囲気的に何となく立ち上がりづらかった鬱憤ばらしのように、みんな思い思いに踊りながら盛り上がります。やっぱりダンス・ナンバーはこうじゃなくっちゃね。この日一番の盛り上がりの最中、主役の二人はステージを降りていきます。
しかし一度立ち上がった観客はもう座りません。そのまま手拍子。そして奥へ引っ込んだアシュフォード&シンプソンの二人がまたステージに戻って来る。盛り上がる観客にニックは「パーティ!パーティ!」なんて言ってる。そんななか、バンドがやたらファンキーなイントロを繰り出します。アンコールはクインシー・ジョーンズを助けて大ヒットした「Stuff Like That」。まだこんな曲があった!しかし次から次へと色々なアーティストの顔が浮かぶヒット曲を連発したもんです。しかもまだまだ聴きたかった曲がいっぱいありますからね。そう言えば「You're All I Need To Get By」演りませんでしたね…。
マーヴィン&タミーから、かれこれおよそ40年ですね。でも流石のマーヴィン&タミーも、まさかあのヴァレリー・シンプソンが40年後に私の膝に乗るとは思ってなかったでしょうね…。ってこの話、引っ張り過ぎですか? いや、だってあまりにも衝撃的だったもんですから。普通座るかな~? ヴァレリー・シンプソン、チャーミングな人です!!
アシュフォード&シンプソンの作ったメロディーと、二人の生の歌声に酔いしれた一夜でした。ソウル・ファンで良かった!
11月22日、ブルーノート東京へアシュフォード&シンプソンのライヴを観に行ってきました! 最終日の1stショーです。なんてったって今回が初来日ですからね! このお二人、70年代後半から80年代のディスコ時代に数々のヒット曲を出した夫婦デュオですが、私はそれよりもっと前、60年代のモータウンでマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの諸作をはじめ、数々の名曲を産み出したソングライター/プロデューサー・チームとしての活躍の方が馴染み深かったりします。私、正直なところディスコな感じは苦手でして、その時代のアシュフォード&シンプソンはベスト盤しか聴いたことがありません…。でもマーヴィン&タミーが大好きで、特に「Ain't Nothing Like The Real Thing」は私のフェイヴァリット・ソングです。無人島に1曲だけ持っていけると言われたら、この曲を持っていきます!
さて、ほぼ定刻18時頃にバンド・メンバーがステージに登場。挨拶代わりに演奏を始め、その演奏に合わせて客席後方からアシュフォード&シンプソンの二人が、喝采を浴びながらステージに向かって歩いて来ます。本物です! ステージに上がるニック・アシュフォードがデカイ! それに対してヴァレリー・シンプソンは小柄な感じ。この二人の並んだ姿がまた絵になるんですよ。それぞれもう60代でしょうが、若々しいですね~。まず歌うのは「Found A Cure」。ディスコ時代のヒット曲ですね。二人の熱い歌声にググッと引き込まれます。さすがに良い声しています。そしてメチャクチャ上手い! 衰えを全く感じさせない。どころか熟成も加わりより一層味わい深くなっているよう。さらにバンドの演奏が良い~! “ディスコ”より“ソウル”を感じさせる暖かいノリに、思わず体が揺れてしまいます。
個人的にはベーシストのエルリエル・バーフィールドがツボでしたね~。なんか幸せになれるリズムでした。この人はルーサー・ヴァンドロスやルー・ロウルズなんかのバックで弾いてた方みたいですね。その他の編成は、ドラムス、ギター、ピアノ、キーボード、それにアフロがチャーミングな男性コーラスが一人。それぞれ決して派手ではありませんが、瑞々しくふくよかなグルーヴを聴かせてくれました。
「Is It Still Good To Ya」、「Stay Free」とデュオ時代のヒット曲が続きます。とにかくCDで聴くより断然エネルギッシュでソウルフルな二人の歌声が素晴らしい。ニックは男の色気と言うか、男性フェロモンを発散しまくり。ディープです。ヴァレリーはちょっぴりハスキーな声で、以外とアーシーな香りを感じさせてくれる。そして二人のコンビネーションがまた堪らない。ハーモニーが素晴らしいのはもちろんなのですが、相手の何気ない掛け声のようなものにも、すかさず裏で反応するみたいな阿吽の呼吸がこの上ない高揚感を誘います。
二人の代表曲の一つ、ダイアナ・ロスの「The Boss」。これも原曲はディスコ時代を感じさせる曲ですが、コンパクトなバンド・サウンドで聴かせる今夜のライヴでは、まるで60年代のモータウンがこの曲を作ってたらこんな感じになるだろうな…、って思わせるスィート・ソウル。この曲もマーヴィン&タミーと同様“こみ上げ系”の名曲であることを実感しました。またこの曲は後半に長尺化し、ほとんどセクシーなニックの一人舞台に。まるで泣いてるようにウェットな地声、トロトロのファルセット、咆哮、シャウト、もう自由自在な歌唱に痺れました。この人、凄いです!
名バラード「Send It」を挟み、チャカ・カーンのソロ・デビューに提供した「I'm Every Woman」。今度はヴァレリーの独壇場。衰え知らずの躍動感溢れる歌声でステージをグイグイ引っ張っていきます。しかも後半はステージだけでは飽き足らず、客席へも降りてくる。客席の狭い通路を練り歩きながら歌う。そしていよいよ私の席の目の前へ。間近にあのヴァレリー・シンプソンが! これだけでもう興奮度100%越えですが、なんと、ヴァレリーがちょこんと私の膝の上に座っちゃったんですよ!そしてそのまま歌い続ける、私の膝の上で! もちろんほんの短い時間ではありましたが、私はどうすればいいか分からず、ただただ手を叩いて喜んでいました…。
次の曲は「Street Corner」だったと思うんですけど、思わぬ出来事にボーっとしてしまって良く覚えていません。両足にはまだヴァレリーの温もりが残ってるし…。そして「Let's Go Get Stoned」。しっかりしなくては、ココからがいいところなんだから!と気を取り直してステージに集中します。ここからはアシュフォード&シンプソン、成功の物語です。66年にレイ・チャールズによってR&Bチャート1位に輝いたこの曲こそアシュフォード&シンプソンの出世作です。ヴァレリーがピアノを弾き、ニックがちょっぴりレイ・チャールズを意識するような感じでブルージーに歌います。渋い! そしてそのあとニックが話します。英語がダメな私にはその内容はほとんど分かりませんでしたが、この曲のヒットが二人の生活を変えたこと。例えばハンバーガーがステーキになったとか。そしてモータウン社長のベリー・ゴーディがデトロイト行きの航空チケットを送ってきたこと。しかもそれがファースト・クラスだったこと。そしてモータウンに向かえ入れられたこと。などなどが語られていたようです。ヴァレリーのピアノをバックにしたニックの抑揚たっぷりな語りは、MCというより、ほとんどプチ1人ミュージカルな感じ。魅せてくれました!
そしてモータウン時代へ。待ってましたの「Ain't Nothing Like The Real Thing」。コレが聴きたかったんです! しかしスローなアレンジで短めに終わってしまい「Your Precious Love」に続きます。マーヴィン&タミーのメドレーです。出来ればもっとがっつり聴きたかったとも思いますが、これはこれで贅沢です! ここまでヴァレリーはピアノを弾いています。そして大名曲「Ain't No Mountain High Enough」へ。ダイアナ・ロス・ヴァージョンのゆったりとしたコーラスから始め、突然テンポ・アップしてまたマーヴィン&タミーの世界へ。ここでヴァレリーもピアノから離れ、ニックと仲睦まじくデュエット。こうなるとどうしてもマーヴィン&タミーが頭を過ります。しかもヴァレリーはタミーが癌に倒れた後、タミーの代役まで務めた経歴の持ち主ですから!
やっぱり「Ain't No Mountain High Enough」はいい曲ですね。なんか勇気が沸きますね。色々なアーティストがカヴァーをしてると思いますが、生で聴くのは初めてだったかもしれません。しかも作者による本家本元の歌ですからね。「Ain't Nothing Like The Real Thing」と「Ain't No Mountain High Enough」、甲乙付けがたいですね。これが聴けて幸せです。感無量です。ここで終わっても良いぐらいでした。でもね、最後に二人の大ヒット曲「Solid」があるんです。80年代の二人が好きな方々にはこれぞ待ってました!って感じなんでしょうね。ここで観客も総立ちに。今まで、雰囲気的に何となく立ち上がりづらかった鬱憤ばらしのように、みんな思い思いに踊りながら盛り上がります。やっぱりダンス・ナンバーはこうじゃなくっちゃね。この日一番の盛り上がりの最中、主役の二人はステージを降りていきます。
しかし一度立ち上がった観客はもう座りません。そのまま手拍子。そして奥へ引っ込んだアシュフォード&シンプソンの二人がまたステージに戻って来る。盛り上がる観客にニックは「パーティ!パーティ!」なんて言ってる。そんななか、バンドがやたらファンキーなイントロを繰り出します。アンコールはクインシー・ジョーンズを助けて大ヒットした「Stuff Like That」。まだこんな曲があった!しかし次から次へと色々なアーティストの顔が浮かぶヒット曲を連発したもんです。しかもまだまだ聴きたかった曲がいっぱいありますからね。そう言えば「You're All I Need To Get By」演りませんでしたね…。
マーヴィン&タミーから、かれこれおよそ40年ですね。でも流石のマーヴィン&タミーも、まさかあのヴァレリー・シンプソンが40年後に私の膝に乗るとは思ってなかったでしょうね…。ってこの話、引っ張り過ぎですか? いや、だってあまりにも衝撃的だったもんですから。普通座るかな~? ヴァレリー・シンプソン、チャーミングな人です!!
アシュフォード&シンプソンの作ったメロディーと、二人の生の歌声に酔いしれた一夜でした。ソウル・ファンで良かった!