ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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グラミー賞 メインストリーム編

2021-03-16 12:58:42 | 余話
現地時間で3月14日、ロサンゼルスでグラミー賞の授賞式が開催されました。今年もWOWOWで生中継されましたが、私はまだ見れてないので、パフォーマンスやスピーチについては置いといて、とりあえず気になる受賞結果のあれこれを。

まず、私にとって最大の興味はビヨンセでした。なにせ9部門の最多ノミネートでしたからね。結果は『BEST R&B PERFORMANCE』など4部門を受賞。そして自身の通算受賞数が28となり、アリソン・クラウスの27回を抜いて女性アーティストとして歴代最多受賞者となったそうです。

これは凄いことです!授賞式でも祝福ムードだったそうですし、ホントめでたいことです。おめでとうございます!!

(ちなみに男性アーティストを含めると、ビヨンセの28回はクインシー・ジョーンズと並んで2位で、1位はクラシック指揮者のゲオルク・ショルティが持つ31回だそうです。)


さて、ですが喜んでばかりもいられないのです。このビヨンセの受賞数28の中で主要部門となると、実は2009年にSingle Ladies (Put a Ring on It)で『SONG OF THE YEAR』を受賞した一つだけなのです。たった一つだけですよ!? あの名盤「Lemonade」ですら主要部門には届かなかったのです。

今回はシングル「Black Parade」が主要部門のトップに位置する『RECORD OF THE YEAR』にノミネートされていました。この曲は、黒人奴隷解放宣言を記念する6月19日”JUNETEENTH”にサプライズリリースされた曲で、ジョージ・フロイドさんの死亡事件があった直後ということもあって、特別な意味を持つリリースとなった曲でした。ブラックパワーの高揚、黒人であるこのと誇り、ルーツへの愛、そんなポジティヴなヴァイヴに満ちた、とてもビヨンセらしいパワフルな曲です。

この「Black Parade」は楽曲そのもののインパクトはもちろん、時事的な話題性もあって、もし『RECORD OF THE YEAR』を受賞すれば、それは時代の象徴的に受け入れられ、保守的と言われるグラミー賞もそのイメージを修正することが出来るし、これは充分受賞を狙えるのでは、と私は期待していたのです。

ですが、今回もダメでした。時事的なメッセージがかえって敬遠されたのでしょうか?『RECORD OF THE YEAR』を受賞したのはビリー・アイリッシュの「Everything I Wanted」でした。

もちろんビリー・アイリッシュを悪く言うつもりは全くありません。私も「Everything I Wanted」は大好きですし。しかもビリー・アイリッシュは2年連続で『RECORD OF THE YEAR』受賞ですよね。これも凄いこと。ただこの「Everything I Wanted」は、グラミー賞を大量に受賞する様な成功に対して戸惑っているようにも聞こえる歌詞ですよね? 受賞スピーチでは「恥ずかしい」と言っていたそうですし。どうか成功のプレッシャーに押しつぶされるようなことが無いように、これからも彼女らしい活躍が出来るように願っています。


ちなみに「Black Parade」は『SONG OF THE YEAR』にもノミネートされていましたが、そちらはH.E.R.の「I Can't Breathe」が受賞しました。ああ、ビヨンセはホント、主要部門に縁がないというか何というか…。とは言え私はH.E.R.も大好きなので、こちらも気持ち的には微妙なところなんですけどね。H.E.R.にとっては通算4個目の受賞にして、初の主要部門受賞になりました。

『ALBUM OF THE YEAR』はテイラー・スウィフトの「Folklore」、『BEST NEW ARTIST』は女性ラッパーのメーガン・ザ・スタリオンが受賞。

テイラー・スウィフトの「Folklore」は良いアルバムですよね。私も大好きです。メーガン・ザ・スタリオンはビヨンセをフィーチャーした「Savage」で『BEST RAP PERFORMANCE』と『BEST RAP SONG』も受賞しています。

ついでに話をビヨンセに戻しますが、ビヨンセが今回受賞した4つのうち2つはこの「Savage」なわけです。残り2つのうち1つは「Black Parade」の『BEST R&B PERFORMANCE』で、もう1つは「Brown Skin Girl」が『BEST MUSIC VIDEO』を受賞しています。この「Brown Skin Girl」は、映画『ライオン・キング』へのインスパイアード・アルバム「The Lion King: The Gift」に収録されていた曲で、実はこの曲、ビヨンセとジェイZの第一子、ブルー・アイビーちゃんもソングライティングとボーカルで参加しているんです。なので彼女も栄えあるグラミー初受賞を果たしたことになります。

さて、主要部門とビヨンセについてはこのぐらいにして、気になるところをいくつか。


まず『BEST ROCK ALBUM』は、ザ・ストロークスの「The New Abnormal」。これは嬉しいですね!!これがザ・ストロークスにとってグラミー初受賞。っていうかノミネート自体も初めてだったようですね…。

『BEST ROCK SONG』はブリタニー・ハワードの「Stay High」、そしてROCKとの線引きがいまいちよくわからない『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』は、フィオナ・アップルの「Fetch The Bolt Cutters」。このあたりも嬉しいですね。フィオナ・アップルは「Shameika」で『BEST ROCK PERFORMANCE』も受賞しています。

R&B界隈では、『BEST TRADITIONAL R&B PERFORMANCE』をレディシの「Anything For You」、そして『BEST R&B SONG』をロバート・グラスパー、H.E.R.、ミシェル・ンデゲオチェロによる「Better Than I Imagined」、『BEST R&B ALBUM』をジョン・レジェンドの「Bigger Love」がそれぞれ受賞。レディシの「Anything For You」は本当に素晴らしい歌唱!!ロバート・グラスパーの「Better Than I Imagined」はビヨンセの「Black Parade」を抑えての受賞。あと「Bigger Love」はゲイリー・クラーク・Jr.が1曲ギター弾いていて、それがすごく良いんですよね~。

そして私が最も注目していたのが『BEST PROGRESSIVE R&B ALBUM』という部門。これ、昨年までは『Best Urban Contemporary Album』だった部門で、どうやら今回から” PROGRESSIVE”に変更になったよう。サンダーキャット、ジェネイ・アイコ、クロイ&ハリー 、フリー・ナショナルズ、ロバート・グラスパーと、流石の面々がノミネートされていましたが、最もプログレッシヴなサンダーキャットの「It Is What It Is」が受賞しました!!

サンダーキャットは今年の1月から延期になっていた来日公演の振替日も、6月~7月に開催と発表になったばかりですからね、来日が実現すれば、グラミー受賞で弾みがついて盛り上がりそうですね!


あともう一つ、RAP部門で気になったのが『BEST MELODIC RAP PERFORMANCE』です。”MELODIC RAP”というジャンルがあるんですね。こちらはこれまで”BEST RAP/SUNG”と呼ばれていた部門のようで、今回から”MELODIC RAP”に変わったようです。ジャンル越境が当たり前になった今、部門のネーミングも難しいですね。さて、こちらの部門、今回はアンダーソン・パークの「Lockdown」が受賞しました。

アンダーソン・パークは今、ブルーノ・マーズとのシルク・ソニックが大変な話題になっていますね。グラミー賞授賞式では事前収録ではあったものの、シルク・ソニックとしての初パフォーマンスを披露したそうです。先行シングル曲と、リトル・リチャードのトリビュートをやったとか。あ~、早く授賞式を観たい!!(録画はしているので、そのうちゆっくり堪能します。)


さて、次回はいよいよルーツ周辺の受賞結果につきまして、個人的な趣味丸出しで語りますのでこうご期待!!


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