哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

食の安全

2008-02-09 11:56:31 | 時事
 毒入りギョーザが喧しい今日この頃、池田晶子さんならなんて書いただろうか。

 テーマが似たような文を『41歳からの哲学』から引いてみよう。BSE騒動の頃である。

「食の安全をどう確保したものか。簡単である。食べなければいいのである。そこにないもの、食べられないものは、食べなければいい。そこにないもの、食べられないものを、無理にも食べようとするから、大騒ぎになるのである。
・・・
 食の安全という言い方にも、どことなく勝手なものを感じる。体の中に変なものを入れたくないというのは同感である。しかし、この社会この文明に生きる我々は、今やみな同罪である。消費者の権利を掲げるより先に、そも何のために健康に生きるのかを、各人で反省してみるがよろし。誰を責めることもできない。自分だけは別でもあり得ない。一連托生である。」(P.63,65)


 池田さんなら、冷凍食品という「便利」さを追求して生み出されたものの抱えた想定外の危険の発生を、それ見たことか、と上と同様な文章で綴ったことだろう。ましてや、冷凍食品の安全性を消費者の権利として主張するとなると、まさに上の引用文の後段の話に直結する。

 便利さをいくら追求しても人間は何も変わらない、という池田さんの日頃の話を思い出したい。