哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

プラトン『国家』(岩波文庫)

2010-06-12 00:03:03 | 哲学
 これまで読み通していなかった、プラトンの『国家』を思い立って一通り読んでみた。正義、指導者、国家体制について、緻密な論理対話を続けていくソクラテスの話しぶりは、悪く言うと餅をついたようにねちっこい。池田晶子さんのソクラテスシリーズは、池田さんの性格を反映してか、竹を割るような爽快さがあるが、これはもう書き手の性格によるとしか言いようがないのだろう。

 ここにいるソクラテスは、質問ばかりして自らの考えを簡単には明かさず、読んでいても「意地が悪いなあ」と思ってしまうほどだ。多くの人間の恨みを買いそうな態度に思える。しかし、論理は明快で徹底しているし、隙が無い。本当に真実を知りたいという知識欲を持つ者には、まさに師と仰ぎたくなる気持ちになるのがわかる。


 正義とは何か、善く生きるとはどういうことか、について、根本から問い直すことの意義を感じずにはいられない作品だ。