ボクが現在乗ってる愛車がビューエル「M2サイクロン」だからと言って、今日のお題でお話しをしたい訳ではありませんが、
そもそもアメリカの小さなオートバイメーカーだった「ビューエル社」が本格的なレーサーマシン、いわゆる「近代的なマシン」って、
実はハーレーエンジンからROTAX社製(狭角75度水冷式V型2気筒)のエンジンへと変更し設計された、この「1125R」からじゃないかって思う訳です。
また不思議な事に、この「1125R」が登場した2008年って「ビューエル社」が「倒産」した直後だったりします。(笑)
この年、親会社である「ハーレーダビットソン社」の意向(リーマンショック)で事実上の倒産に追い込まれた「ビューエル社」だったのですが、
創設者の「エリック・ビューエル」さんが、代わりに「エリック・ビューエル・レーシング(Erik Buell Racing 略称EBR)」を設立し、
再び小さな町工場から「自社製スポーツバイク」の生産に乗り出した最初のモデルでもあります。
で、フレームは先代の「XB12S Lightning」から使われたガソリンタンクと兼用された図太いものがそのまま採用されており、
リアのスイングアームもエンジンオイルの予備タンクを兼ね備えたものをそのまま使用しています。
またフロントフォームは倒立フォークが採用され、ブレーキシステムは従来のオリジナルをシングルの状態で使用。
個人的には若干フォルムが不恰好に見えてしまいますが、
それまでの、個性的なビューエルのオートバイを考えると性能的には「一気に飛躍した1台」だと言える気はします。
そもそも創設者の「エリック・ビューエル」さんの最終目標は「アメリカ製のオートバイでレースに勝つ」と言うものでした。
日本製もしくはヨーロッパ製のオートバイが世界のレースを席巻してる中、
確かにアメリカ製のオートバイが、世界レベルのレースで勝利する事は今まで無かったのは確かです。
まぁ普通に見て、クルーザーを主体としてオートバイ開発してるハーレーやインディアンが勝つってイメージはありませんよね。(笑)
そこに一石を投入する意思を持った「エリック・ビューエル」さんの気持ちは、個人的にとても分かる気がします。
またこの「1125R」が、同時期のスーパースポーツ(SS)と同格であったかどうかは別として、
性能面を見ていきますと、エンジンスペックは水冷式4ストV型2気筒OHC4バルブで最高出力が146ps、最大トルクは10.5kgで、
車体の乾燥重量が約170kg、最大の特徴はホイルベースの狭さで250ccクラスのサイズであった事が挙げられます。
また重いパーツは全て車体の中心に置く、いわゆる「マスの集中化」が徹底してなされており、
旋回製の高いマシンに仕上がっていた事は素晴らしいところです。
ただ、当時で電子制御化に遅れを取ってた感があり、ライダーの技量で速くも走るし、遅くも走るって欠点がありました。
もしかすると日本の技術者から見れば「これじゃレースには勝てない」ってジャッジを下す人も多かったんじゃないかって思います。
それまでの「ビューエル」バイクと言う「極端で独特の個性」を抑え、比較的素直な「1125R」ではありますが、
まだまだ、世界の有名メーカーに追いつく事は難しい状況にあった「小さな町工場のバイク」だったのかもしれないですね!(笑)