代受苦(だいじゅく)

[代受苦だいじゅく]:他人に変わって苦しみを受けること。菩薩の大慈悲心についていう。「仏教大辞典」より。

自業自得が、大原則な世の中だが、自分の行いとは関係なく、他の要因によって苦しむ人たちがいる。
貧困国の生まれた人たち。情報氾濫の中で身動きがとれなくなる人たち。経済システムの中で、押しつぶされそうな人たち。

豊かと言われる日本でも、周囲の豊かさが当たり前ゆえに、それと比して自ら卑屈になる人もいる。

あまりの、不幸や絶望、不正義が横行している中で、安穏として日々の暮らしを続けている自分に罪悪感さえ抱く人がいる。
サバイバー シンドロームの中のサバイバーズギルト(生存者の罪悪感)と呼ばれる心理状態の一種である。
他の人が不幸の中にいるのに、私だけなぜまともな生活をしているのだろう・・・。申し訳ない・・・。

これも、菩薩の大慈悲心だろうと思う。

菩薩たちは、ここから具体的な行動に出る。罪悪感を心の別のエネホルギーに転換しているのだろうと思う。代受苦の大慈悲心である。

そんなことを考えていたら、宮本武蔵のことが思い浮かんだ。
武蔵は、きっと、サバイバーズ ギルトを感じていただろうと思う。
国元武春さんの「巌流島 唄絵巻」。佐々木小次郎との戦いを終えて、舟島を後にした小舟のなかでの、船頭佐助との会話を、次回、お取り次ぎ申し上げまする。ベ、ベンベンベン。
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コメント
 
 
 
そうですね。 (とこちゃん)
2011-03-06 16:34:05
 和尚様、皆さんこんにちは。

今日のコラムを拝見させていただいて安穏としている自分にほかの人の不幸を見てすまなさを感じています。

 NZの大地震にしてもタイガーマスク運動にしても、

他者の苦しみを遠目から見ているようでふがいなさを感じました。

 和尚様の前向きな文章に励まされています。

 真剣でありながらユーモアたっぷりの茶目っ気あふれる文章は、すごく励まされます。感謝。
 
 
 
恐縮至極でございます。 (和尚)
2011-03-06 22:41:06
とこちゃん>ふがいなさを感じる必要はありませんよ。
人が一人、素敵に生きていることに、だれが文句を言えましょうや。
たとえば、過疎の村で、一人で段々畑を耕しているお年寄りを、「あなたは世間の苦悩がわかっていない」とだれが文句をつけられましょうや。
私たちにはどうすることもできないことも、また、無数にあります。今の自分の状況で、できることをやるしかない・・・私は、そう思っています。
 
 
 
菩薩の大悲代受苦 (南無)
2011-03-07 16:17:23
 昔は「宿世の業報だ」と過去世の話を垂れていた人も多かったでしょう。それで解決するならいいが解決しないのが悲しいところです。
 ソレよりも行動!と地蔵観音諸菩薩は大悲代受苦で人を救っているのかもしれません。これを見習って我々は菩薩道第一歩を踏みましょう。
 地蔵説話には、前世で堕阿鼻獄の悪業を繰り返した人が地獄で地蔵尊に、「あなたは私を一回拝んだ。」として責め苦を代わり受けるものがありますね。有難い話ですこと
 
 
 
あっぱれ! (和尚)
2011-03-07 17:36:51
南無さん>よく調べるねぇ。まったく、大したものです。これからも補足説明よろしくお願いしますよ!
 
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