早太郎、遂に決闘の時…

 突然、ピカッ!と鋭い稲妻が走ったかと思うと、ゴロゴロゴロ・・・
 社の右の森からビョコンと飛び出して来たのは、白い毛で覆われた化け物。
 続いて、ピカッ!ゴロゴロゴロ。今度は左の森から、ビョコン。
 人間の背丈の二倍もある二匹の白いヒヒの化け物は、樽の回りを歌いながら踊り始めました。
「ドンドコ,ドンドコ、ドンドコドン、言うまいぞ,言うまぞ,この事ばかりは言うまいぞ,信州信濃の光前寺、早太郎には言うまいぞ,ソレ,スッテンスッテンスッテンテン。」まさか、樽の中に早太郎が隠れているとは思いもしない二匹の化け物は、樽の回りを踊り続けます。
 すると、ピカッ。ゴロゴロゴロ。ひときわ大きな音と共に社の後ろの森から、とび出したのは二匹の三倍もある、あの大化け物でした。大化け物が現れると、とたんに二匹の小化け物は、ひれ臥して、
 「へへーっ。」
 真っ赤な目で辺りをギョロリと見回した大化物
「これ、今夜も早太郎は来ていまいな。」
「はい、今夜も早太郎は来ておりません。どうぞ御安心を。」
「よし、早太郎さえいなければ、天下に怖いものはない。」大化け物はそう言うと、樽の蓋に手をかけてバリバリバリ。
待ってましたとばかりに飛びだしたのは、じっとこの時を待っていた早太郎でした。
ワン、と言うなり、そばにいた小化け物の喉ぶえにガブッ。いくら化け物でも喉をやれれては、ひとたまりもありません。アッという間にドサッと倒れてしまいました。続いて毛一匹の小化け物に飛びかかった早太郎。これも難無く倒してしまいました。しかし、最後に残った大化け物はさすがに、手強い様子で、早太郎も苦戦をしてる様子です。しばらくの間、ワンワン、ギャーギャーと大乱闘が続きましたが、遂に大化け物はフラフラと歩いたかと思うと、膝から崩れるように、倒れました。
弁尊さんは杉の木から下りてきて、
「早太郎、よくやった。」と言って早太郎に駆け寄ろうとすると、それまで立っていた早太郎もドサッと倒れてしまいました。
見れば全身傷だらけ、息も既に虫の息でした。

 さて,次でいよいよ物語最終回です。

 写真は、駒ヶ根の光前寺で手に入る早太郎の土鈴。
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