合わせ呑んで余力あり(銘文その2)

--ということで、昨日の続きです。
弘法大師が、師僧の恵果(けいか)和尚の死を受けて、その碑文を担当することになって、綴った格調高銘文。

石に掘られた、一種の弔辞でありましょう。

そんでは・・・


生也無辺:生(しょう)は無辺なれば
行願莫極:行願(ぎょうがん)、極(きわまり)なし
〔生きているものは限りがないから、その生きているものを救おうとする願いや行いにも果てというものはない〕


麗天臨水:天につき、水に臨(のぞ)み
分影万億:影を分かつこと万億
〔太陽や月は天にあって、その光は海、山、湖、水たまり、あるいは人の涙の中にもその光を届け、そしてまた姿を映す〕


爰有挺生:ここに挺(てい)あり、※挺は「抜きんでた」という意
人形仏識:人形にして仏識あり
〔ここに、ぬきんでた人物がいる。人の形をしているが仏の智恵を持っている〕

毗尼密蔵:毗尼(びに)と密蔵と、※毗尼は「仏教の戒律」の意。
呑并余力:呑幷(どんへい)にして余力あり
〔律蔵と密教の教えとをあわせ呑んでいても、まだ余力がある〕

いっぺんに紹介すると、読み取れないと思うので、今日はここまで。残りは明日のお楽しみでございます。

○○と××を合わせ呑んで、さらに余力がある--いい表現ですね。

 (芳彦は)坊主と旦那と父親を合わせ呑んで、余力がある--ぐはは。そんなふうに言われてみたいものです。
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コメント
 
 
 
深い! (南無)
2010-07-31 19:02:58
なんというか、深い!と率直に感じました。僕が読んでいる本の中に、「弘法大師は日本のレオナルド・ダ・ビンチだ」と言う風に書いてありました。何をやっていてもスゴいからでしょう。弘法大師は書道も出来ましたね。僕が書に興味があったときにお手本に「風信帖」を使った覚えがあります。
 
 
 
ぐはっ! (和尚)
2010-08-01 13:04:38
南無さん>書道のお手本に「風信帖」を使う学生がいるとは・・・。恐れ入りました。ひょっとして、南無さんは、弘法大師の生まれ変わりかもしれないね。他人とは思えないでしょ。
 
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