幸多かれと

 家内は心配する。
「あなた、明日話すこと考えてるの?」
「まだ考えてないよ」
「ちゃんと、言わなくちゃいけないことは言わなくちゃダメよ」
「わかってるよ」
「言わなくてもいいことは、言っちゃ駄目だらかね」
「なんだよ、それ」
「放っておくと、あなたって何を言うかわかんないから、心配なのよ」
「でぇじょぶだ。しがねぇながらも姐さんよりゃ場数を踏んでる俺だ。任しといつくんねぇ」
「それ。そういう言い方するから、心配なのよ!」

 家内が心配しているのは、二人でやる媒酌人の、披露宴での私の挨拶だ。
①挙式の報告
②新郎新婦の紹介
③列席者へのお礼とお願い
--この三つが、昔から媒酌人が言うことだ。
 それははずさないで申し上げるつりである。
 結婚披露宴の目的は、二人をお祝いすることである。人生訓話を会場の人に聞かせることではない。楽しい場にすることである。
 その目標に向かっていれば、話に枠とか型とかなど有ろう筈もない。自分を信じて普通に話せばいいのだと思う。五十歳の坊主が、結婚二十五年の私が、等身大で普通にやればいいのだ。
 挙式する若い二人に幸多かれと、切に願う--それだけ思って喋ろうと思う。
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コメント
 
 
 
奥方のこころ (ミッシェル)
2008-12-13 08:48:48
“こころ”を伝えるのも“こころ”
“こころ”を育むのも“こころ”
“こころ”に花を咲かせるのも“こころ”
てな、ところでしょうか。

もう和尚の“こころ”には、たくさんの奥方の”こころ”が伝わりました。
きっとお二人の“こころ”には、愛と希望のたくさん花が開くことでしょう。
 
 
 
善き心 (和尚)
2008-12-14 10:01:59
 結婚披露宴に集う人達の心は善き心であります。高砂から拝見していると、それが良く分かります。
 
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