風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

民主党代表選の不毛

2012-09-26 02:59:16 | 時事放談
 今日は国内の政治状況を巡るよもやま話・・・毎度のボヤキです。
 先週の民主党代表選は、下馬評通り野田さんの圧勝におわりました。野田さんは現職総理として、それ以前の二人に比べれば段違いによく頑張っておられると、自民党支持者でも多少なりとも評価しているだろうと想像されますが、それでも民主党は野田総理では選挙に勝てない、だからと言って細野氏が出馬を見送っては、「一強三弱」と言われる候補者の中で、野田さんを消極的に支持するしかない、実際に、原口元総務相にしても赤松元農水相にしても鹿野前農水相にしても、野田さんへの対立軸は、昨年8月の代表就任以来、離党者が72人(だったかな)にも達した民主党の分裂的な状況をどう打開するかでしかなく、有意義な政策論争には至らない・・・といった、ないないづくしです。もっとも、政権交代・奪取以外に大義がなく、もともと考え方がバラバラで纏まりのない民主党が、消費増税、脱原発のエネルギー政策、TPP参加といった重要課題の是非で党内すら纏められないようでは、政党の体をなしていません。政界は、さっさとガラガラポンして、政党の垣根を越えて保守大同団結すれば良いと、きっと誰もが思っているのではないかと察せられますが、どうなのでしょうか。諸外国は右傾化するとすれば警戒するのでしょうが、それこそ日本の政治が安定する早道だと思います。
 原口氏をはじめ、民主党の面々の話を聞いていると、政治主導を理解していないんじゃないかと、相変わらずの違和感を覚えます。たとえば原発ゼロのエネルギー・環境戦略を閣議決定しなかったことでは、「民意」を反映していないではないかと、原発ゼロに限らずいろいろな局面で「民意」という“金”看板が使われます。勿論、自由・民主主義社会である以上、「民意」は水戸黄門の印籠であり、ある重要な側面を伝えるものとして尊重すべきものですが、だからと言って、それでは国民が全てを理解して判断しているほど万能なのかというと、僭越にもそんなことは出来るわけがないと国民の誰もが百も承知なわけで、安全保障や外交はプロの官僚の判断に任せるしかありませんし、経済問題もそれなりに経済界の声を聞く必要もあり、それらを総合して、大局的な見地に立って(などと、これもいろいろな場面で言われますが)こそ政治判断が成り立つものだと、国民は理解し期待しているわけです。与党の政治家というものは、国家を背負って立つ以上、総合のプロでなければならない(野党の政治家であれば、福島某のように学級委員長的なお気楽さがあってもいいのですが・・・それでも彼女に、あるいは内輪のパーティで乾杯の音頭を取る以外に仕事がない元柔道家に対しても大事な税金が使われるのは甚だ不本意)。間違っても(菅さんのように)“市民”運動家の気質が抜け切らないとか、日本じゃない外国の団体の意向を汲むようなことがあっては困ります。贖罪意識は理解するも、日本の立場を弱め、国益を害するだけの村山談話や河野談話を支持し続けるようでは、(事実であればともかく、そうではない以上)将来に向かってまともな国家関係を築く礎とはなり得ません。
 元・外交官の田中均さんは、ある雑誌のコラムで、次のように語っていました。「中国や韓国、米国との関係で難しい問題であればあるほど、政府当局者がじっくり腹を割って話し、落とし所を探る必要があるが、日本の場合、官僚は政治には信頼されていないのでこの役割を果たせておらず、全て受身の対応となってしまっている」と。今の民主党政権は、「外交」に不慣れなばかりに、「民意」を振りかざして内向きの議論にフォーカスし、諸外国との関係、所謂「外交」をないがしろにし、後退しかねない危うさを感じます。否、現に後退しているわけで、普天間基地移設問題や新型輸送機オスプレイ配備で日米の同盟関係がぎくしゃくしたのも然り、ロシアや韓国や中国との近隣諸国との関係が領土問題でぎくしゃくしているのもまた然り。
 そもそもGDPで中国に後塵を拝したところで、人口が10分の1にも満たない日本の経済規模が、依然、互角であること、そして、いくら政治が安定しなくても、依然、世界第三位の経済力を維持していること、一億人もの人口を抱える日本が(格差が広がりつつあるとは言え)概ね豊かさを享受していることの事実は重く、それだけでも立派なことです。ところが、経済が後退(正確には停滞している間に世界が成長)しているのは事実にしても、だからと言って、世界の中で日本の影響力が低下しているなどと露骨に責めたてられるとすれば、まさに政治に責任があると言わざるを得ない。客観的事実を掴んだ上で、言葉のまやかし、そこに込められた悪意を見極めなければならないと思います。
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