ブルーシャムロック

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加計呂麻島記_5

2011-01-16 18:03:58 | 信・どんど晴れ
しばらくして、バスは動き出した。
結構人が乗っている。
「おそらくは鹿兒嶋の本土や大阪周辺の人かも。」
佳奈はぼそりとつぶやいた。
「関東に、奄美の人って少ないのか・・・。」
彰は不思議がった。
「關東でも下町に東北の人間が多いのと同じ理屈だ。」
佳奈は口をへの字に曲げた。
「ああ、淡雪は下町だけには住みたくない。と誰かさんみたいなことを言っていた。」
彰は意地悪く佳奈を見た。
「そうだったな。關東で共同生活を始めてから私も聞いた。」
と、彰を見た。
大島と同様、この加計呂麻島も山がちである。
坂道やつづら折りになった道を越え、マイクロバスは進んだ。
着いたところは、とある集落。
「xxです。お降りの方は・・。」
運轉手は、野太い聲で、客にオリるように促すのだった。
「おっと、私らおりるぜ。」
佳奈は彰にオリるように言う。
「あっ・・。」
彰は重い荷物を、マイクロバスの狭い出入り口から掻き出すようにする。
佳奈は軽装なので、そこまでは重くはない。
バス停から、歩いて数分の處に松本佳奈の実家はあった。
深刻な顔がますます深刻になっている佳奈に対して、
うれしそうな彰
「久々の帰省なのに、」
うれしそうな顏に憂いが入る彰。
「關東からの客を入れるのは、この前の冬、淡雪と久留実を招き入れていらい。」
佳奈は、だまって、家のインターホンを押した。
「佳奈です。關東から帰省してきました。」
引き戸が開き出迎えたのはなんと父親だった。
「お前か。まあどこぞで下らんことをしているんだろう。」
佳奈を一瞥(いちべつ)し、そういう。
「私が渋谷か六本木で遊び歩いているように見えるかよ。おやじ」
佳奈はそうにらみ返す。
父親は、彰を見た
「東京のお嬢さんか。まあ育ちは良さそうだな。」
と表情は明るくなる。
「うーん。現在すんでいるのは東京だけれども、出身は秋田なんです。」
彰は、父親と佳奈の確執を感じながら丁寧に口を開いた。
「まあ、この前来た人と関係がありそうだ。東京あたりじゃあ、こういった場所の人と
佳奈も出会いそうだ。」
ふむ。という顏をして奥の座敷に、だまって案内をした。
つづく

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