「それにしても、女将。小生をお引き立てしてくれてありがたいのですが、伸一さんの
奥様には失礼ではないのですか?」
佳奈さんのふざけつつも、甲高い声が聞こえた。
母屋に居る私も聞こえるくらいの聲だ。
彼女はいつも否否ながら旅館の仕事をやっていると執拗く言っているけれども、
私には進んでやっているように見える。
申し遅れましたが、私は加賀美恵美子という。
元々は小田原のかまぼこ會社の社長令嬢なのだが、政略結婚でこの徳之島に來た。
私は今出は専業主婦のようなことをしているけれども、逆に島の人には嫁ぎ先の仕事を
手伝わない怠け者のように思われている。
「母さんは、小田原には戻らないの。」
私の次男が質問する。
「そうね。戻れたら戻りたい。」
少しごまかすように、じなんに答えた。
「あ、そうだ。あの佳奈は関東に言っていたけれども、小田原には行った事はあるかな?」
長男が問いかける。
「私はおばあちゃんごしには聴いたことがない。」
私は、こうべを横に振った。
「ふーん。佳奈はシマが嫌だから関東に行ったみてえだけれども、本当は
関東に冷たくあしらわれた節だろ。逆に島人(しまんちゅ)に好かれている。」
長男は意地悪く言う。
「母さんは、お父さんと別なところに住めばいい。たとえば小田原とか。」
次男は、とんでもないことを口を開いた。
私はビックリしていて、長男はあんぐり口を開けていた。
少し、気不味い空気が流れていた。
つづく
奥様には失礼ではないのですか?」
佳奈さんのふざけつつも、甲高い声が聞こえた。
母屋に居る私も聞こえるくらいの聲だ。
彼女はいつも否否ながら旅館の仕事をやっていると執拗く言っているけれども、
私には進んでやっているように見える。
申し遅れましたが、私は加賀美恵美子という。
元々は小田原のかまぼこ會社の社長令嬢なのだが、政略結婚でこの徳之島に來た。
私は今出は専業主婦のようなことをしているけれども、逆に島の人には嫁ぎ先の仕事を
手伝わない怠け者のように思われている。
「母さんは、小田原には戻らないの。」
私の次男が質問する。
「そうね。戻れたら戻りたい。」
少しごまかすように、じなんに答えた。
「あ、そうだ。あの佳奈は関東に言っていたけれども、小田原には行った事はあるかな?」
長男が問いかける。
「私はおばあちゃんごしには聴いたことがない。」
私は、こうべを横に振った。
「ふーん。佳奈はシマが嫌だから関東に行ったみてえだけれども、本当は
関東に冷たくあしらわれた節だろ。逆に島人(しまんちゅ)に好かれている。」
長男は意地悪く言う。
「母さんは、お父さんと別なところに住めばいい。たとえば小田原とか。」
次男は、とんでもないことを口を開いた。
私はビックリしていて、長男はあんぐり口を開けていた。
少し、気不味い空気が流れていた。
つづく
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