ブルーシャムロック

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13月のボーラック_4

2017-02-10 11:28:38 | 逆襲の藤隆
Valentineでもらったサードパーティ製のレンズを引っさげ、朝岡蓮次は
撮影にある場所に出かけた。
助手席には、恋人の平賀知世が存在している。
つけっぱなしのラジオがニュースを伝えていた。
「本日、出来杉英才博士はexamsystemのなんたらかんたら・・。」
ニュースキャスターの事務的な声が、車じゅうに広がっていた。
「でも、出来杉博士という人だけれども、一体何をしているのかな。彼自身
世のため人のためだと思ってやっているけれども、いまいち意味が分からない。」
ハンドルを握っていた、朝岡蓮次は平賀知世に言った。
「私もあの男の研究のために作られたクローンだけれども、彼の理論を聞いていると
クローンは必要ないと思うんだけれども。」
平賀知世は答えた。いろいろな意味で自分にはもったいない人間だ。
あの突っ走った出来杉英才博士のことを答えることができるのだから。
蓮次はそう思う。
「私見かもしれないが、彼自身クローンでの実験を失敗して、今の理論にということも
考えられるよね。」
蓮次は答えた。
「そうねぇ。」
知世は一瞬考える。
「完璧主義者の彼が失敗をしない。」
と答える。
「完璧主義者・・。そういえば知世は小学校の頃、ロンドンかニューヨークであったことがある
んだよね。」
蓮次は答えた。
「そうね。すごく人当たりのいい人で好感は持てるけれども、逆に傲慢な態度は
自分の弱いところを見せると思って、強がっている感じもする。
弱さを見せないところに、少し引いちゃったよ。」
知世は苦笑した。
「あの人ならば、どんな女性にも持てるみたいだけれども、結婚した奥さんは
近所のかわいい子ぐらいなんだよね。あの奥さんが出来杉氏を狙っていたのだろうね。」
蓮次はフロントガラスから見える風景を見ながら知世に答えた。
「先日奥さんの葬儀に参列した男が奥さんをつまらない女よわばりをしたが
やはり、かつて奥さんを出来杉氏と争っていた人かもね。」
知世は言う。
「そうだろうね。でもあの人は出来杉氏に危害を加えずに去っていった。」
蓮次が言う。
「彼はもう、出来杉を乗り越えた。破滅を考えるのは大人げないと考えたんだよ。」
知世は言う。
緑が濃くなっている。
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