保健福祉の現場から

感じるままに

コロナの“いま”の情報公開を

2021年11月29日 | Weblog
R3.11.29朝日「死者数だけでは比較できない 新型コロナとインフルエンザの違い」(https://www.asahi.com/articles/ASPCT7GMZPCTTIPE03F.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<新型コロナウイルス感染症とインフルエンザは、どちらもウイルスを介した呼吸器感染症で初期症状も似ているためか、よく比較されます。2020年初頭、まだ中国の武漢から断片的な情報しかなかったころは、新型コロナはインフルエンザ程度の感染症ではないか、という楽観論もありました。武漢での致死率(感染者中の死亡者の割合)は高かったのですが、重症例の感染だけが診断される一方で軽症例は診断されないまま見逃されていたと考えれば矛盾はしません。しかし、ほぼ全例が検査されているダイヤモンド・プリンセス号でも新型コロナの致死率は2%ほどでした。季節性インフルエンザの致死率は、いろんな推計がありますが、ざっと0.1%ほどです。ダイヤモンド・プリンセス号の患者さんに高齢者が多かったことを差し引いても、新型コロナの致死率がインフルエンザよりも高いことが明らかになりました。新型コロナの公衆衛生に与えるインパクトは皆さまよくご承知のことだと思います。今は新型コロナの流行は落ち着いていますが、第5波では重症化しても入院できず自宅療養せざるを得ない患者さんが出るほどでした。季節性インフルエンザでは流行のピーク時でもこのような医療需要の逼迫(ひっぱく)は起こりません。「新型コロナはただの風邪だ。インフルエンザよりもたいしたことない病気だ」と主張している人も一部にいます。その根拠の一つが「季節性インフルエンザでも毎年数千人から1万人が亡くなっていた」というものです。日本の新型コロナの累計死亡者数は現時点で1万8千人ほどで、昨年の春からの数字だと考えると、毎年のインフルエンザの死亡者数とそれほど変わらないように見えるかもしれません。しかし、単純に死亡者数を比較するには条件が違いすぎます。例年のインフルエンザによる死亡の多くは高齢者、それもかなり弱った方々によるものです。若くて健康な人でもインフルエンザで重症の肺炎や脳炎を起こし死亡することはありますが、きわめてまれで新型コロナよりずっと確率は小さいです。また、病原性だけではなく感染力も新型コロナのほうが高いです。昨年の春から現在にかけて、数回の緊急事態宣言をはじめとして強い感染対策を行ってきました。その間、季節性インフルエンザはほとんど流行していません。にもかかわらず、新型コロナはピーク時には医療の逼迫が起きるほど流行しました。新型コロナの病原性を過小評価したい動機には、経済的なダメージが大きい緊急事態宣言が本当に必要だったのか、いまでも自粛を続けなければならないのかについての疑問があるようです。経済的なダメージでも人は死にますので強い自粛の必要性について批判的に検証する必要はあるでしょう。ただ、それはあくまでも新型コロナの感染力や病原性についても正確に評価した上でのことです。新型コロナの感染力や病原性が高い理由の一つは、集団の中で免疫を持つ人がいなかったからです。いまでは、ワクチン接種が進み、または自然に感染して免疫を持つ人も増えました。また、効果的な治療薬も利用できるようになってきました。将来、新型コロナはインフルエンザと同じような感染症に変化していくかもしれません。>

新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)のR3.11.25資料2-2(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000858738.pdf)p4「新規死亡者の推移」は、「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」(https://covid19.mhlw.go.jp/)の基本統計にも掲載されているが、新規死亡者数の時々スパイクが少々気になるところかもしれない。やはり最も重視したい評価指標は、コロナ死亡(特に若者)である。R3.11.2「新型コロナウイルス感染症(COVID 19)診療の手引き・第6.0版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000851077.pdf)p8「図 1-4 COVID-19 死亡者数」は累積表記であるが、「図 1-2 COVID-19 陽性者数」「図 1-3 COVID-19 重症者数」と同様に新規で表記すべきであろう。R3.11.2「新型コロナウイルス感染症( COVID 19 )診療の手引き・第6.0版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000851077.pdf)p9「図1-6年齢階級別死亡数」はトータル表記であるが、波ごと、あるいは、期間ごと(例えば3か月又は6カ月)に表記されても良いように感じる。R3.11.12「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組」(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_031112_2.pdf)(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_031112_1.pdf)には明記されていないが、今後最も期待したいことは、感染症部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127717.html)のR3.1.15「新型コロナウイルス感染症について(インフルエンザ等との比較)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000720345.pdf)の経時的・年齢階級別の分析かもしれない。R3.11.2「新型コロナウイルス感染症( COVID 19 )診療の手引き・第 6.0 版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000851077.pdf)p11「日本におけるCOVID-19 入院患者レジストリ(COVIREGI-JP)によると,流行初期(2020年3月~7月) に入院した2,636例の重症度内訳」について、最近の分析結果を示すべきである。R3.11.5「(2021年11月版)新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識 」(https://www.mhlw.go.jp/content/000788485.pdf)p3「診断された人のうち、重症化する割合(%)」「診断された人のうち、死亡する割合(%)」は昨年8月でストップしたままで、p9「入院した症例に対する薬物治療の状況と死亡する割合」は昨年12月までのデータであり、“いま”ではない。「COVID-19に関するレジストリ研究」(https://covid-registry.ncgm.go.jp/)の解析最新データは、例えば、「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」(https://covid19.mhlw.go.jp/)の基本統計に、誠実に、わかりやすく、解説されるべきであろう。R3.9.27朝日新聞「RSウイルス大流行で開園、コロナで休園、なぜ? 小児科医の視線」(https://www.asahi.com/articles/ASP9T6SZ1P9TTIPE00K.html?iref=com_apitop)の「子どもが本当に亡くなる危険なウイルスがはやっても休園しないのに、新型コロナで子どものために休園しているというのはおかしい」と感じる方も少なくないかもしれないが、情報公開されなければどうしようもない。なお、新型コロナに対する印象がインフルエンザに近づくためには、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)のR3.11.25資料1(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000858736.pdf)のp1「少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うことが求められる。」を周知徹底すべきと感じる。昨年、R2.4.30Business Journal「加藤厚労相「4日間自宅待機は誤解」」(https://biz-journal.jp/2020/04/post_154931.html)の報道があったが、R2.7.21厚労省「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000651071.pdf)p5「重症化しやすい方以外の方であれば、新型コロナウイルスに感染しても症状が軽いことが多いため、通常の風邪と症状が変わらない場合は、必ずしも医療機関を受診する必要はない」と明らかに受診抑制方針であった。日本感染症学会(https://www.kansensho.or.jp/)と日本環境感染学会(http://www.kankyokansen.org/)の連名発出のR2.4.2「新型コロナウイルス感染症に対する臨床対応の考え方―医療現場の混乱を回避し、重症例を救命するためにー」(https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_rinsho_200402.pdf)(http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/covid19_rinshotaio.pdf)p1「PCR検査の原則適応は、「入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例」とする。軽症例には基本的にPCR検査を推奨しない。時間の経過とともに重症化傾向がみられた場合にはPCR法の実施も考慮する。」の当初の方針が変わっていることが医療現場でも周知徹底が必要であろう。R3.10.21AERA「「経口治療薬」登場間近 コロナが「インフルエンザと同じように」になるための条件とは」(https://dot.asahi.com/aera/2021102000045.html)の「新型コロナウイルスがインフルエンザと同じような感染症として扱われるようになるには、重症化を防ぐ経口治療薬以外にも、いくつかの条件が必要だと松岡・熊本大教授は指摘する。「まず、軽症患者が飲む薬は発症後、できるだけ早く飲み始めないと効果が期待できないので、発症後に速やかに診断できる体制が必要です」 重症化を防ぐ抗体医薬品や経口治療薬の多くは感染初期のウイルスの増殖を抑えることを目標に開発されている。抗体医薬品は発症7日以内、経口治療薬は発症5日以内の使用開始が条件だ。しかし現状では、発症から1週間ほど経って診断される人が少なくない。早く診断できないと、薬があっても使えない。」(https://dot.asahi.com/aera/2021102000045.html?page=2)は理解したい。R3.3.16参議院予算委員会公聴会での「医療現場でも熱が1日だけならPCR検査を受けられない。」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210316/k10012917411000.html)ではいけない。R3.10.20時事「今だから「治療薬」を考える 飲み薬登場、変わるコロナとの闘い」(https://www.jiji.com/jc/v4?id=202110keizaihyaku0280001)の「政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーでもある舘田一博東邦大教授は「飲み薬の治療薬が出てくると、新型コロナが季節性インフルエンザと同じ感染症法の5類に分類される時期が来る」と見込む。」(https://www.jiji.com/jc/v4?id=202110keizaihyaku0280002)も出ているように、「経口治療薬」の実用化で、感染症法の見直しに期待する方が少なくないかもしれないが、早期診断がカギであろう。
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