保健福祉の現場から

感じるままに

産科医を増やすために

2014年11月26日 | Weblog
DMMニュース「産科医を増やすために…崩壊寸前、周産期医療の現場を立て直し」(http://dmm-news.com/article/899730/)。<以下引用>
<【話の肖像画】内閣官房参与・吉村泰典氏〈平成19年に日本産科婦人科学会の理事長に就任して最初に取り組んだのは、崩壊しかけていた周産期医療の現場を立て直すことだった〉全国で周産期崩壊が起きていましたが、中でも20年10月に起きた東京都立墨東病院の妊婦受け入れ拒否事件の衝撃は大きかったと思います。激しい頭痛を訴え、かかりつけ医から救急搬送されることになった江東区の妊婦が、墨東病院をはじめ7つの病院に受け入れを断られたのです。最終的に墨東病院が受け入れたものの、妊婦は3日後に死亡しました。〈崩壊は何年も前から始まっていた〉16年に初期研修医が2年間の研修先を自由に選べる「初期臨床研修制度」が導入され、大学病院の医局から研修医が大幅に減りました。大学病院のみならず市中の病院でも、夜勤や当直が多い過酷な勤務体制に加え、訴訟を起こされるリスクも高い産科は、若い医師から敬遠されるようになってしまったのです。とはいえ、まさかその余波が首都を直撃するとは東京都も思っていなかったでしょう。都立病院でお産を主に扱っていたのは大塚、広尾、府中の3病院。これらの病院には大学の医局が医師を派遣していたのですが、医局員の減少に伴い人繰りがつかなくなったのです。驚いたのは東京都です。「都立病院でお産ができなくなったら大変だ。何とかしてくれないか」というのです。学会に頼めば何とかなると考えたのかもしれませんが、私は「東京には都立病院以外にも病院があるのだから、やむを得ないのではないか」と突き放したんですよ。〈学会の対応に驚いた都は、石原慎太郎知事(当時)との面談を申し入れてきた〉石原知事の対応は早かった。「医師の待遇を改善すればよいか」と、その場で給与アップや分娩(ぶんべん)手当などの導入を約束してくれました。何十年も変わらなかった都立病院の待遇が、たった30分の面談で変わったのです。舛添要一厚生労働相(当時)には、出産した際に健康保険から支給される出産育児一時金を4万円アップの42万円にしてもらいました。分娩費用の安い地方病院でも40万円程度の費用を取れるようになり、安い病院に妊婦が集中し、医師が忙しくなってやめていく悪循環は避けられたと思います。〈待遇改善だけでなく、医学生や研修医に産婦人科の魅力を伝えるサマースクールを開くなど、産科医を増やす活動も始めた〉これまで私たちは、医師が待遇改善、つまりお金を要求してはいけないと考えてきました。けれども、一連の活動で問題解決のためなら要求してよいのだと学んだ。加えて福島県立大野病院問題では、メディアに正しい情報を伝えることの大切さも学びました。理事長を務めた4年間は、包み隠さず伝えることが国民の理解を得るために重要と実感した4年間でもありました。>

健やか親子21(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000062884.html)の指標(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000062914.pdf)には、「妊産婦死亡率」「周産期死亡率」があるが、周産期医療体制の確立を位置付ける必要がある。平成21年の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」報告書(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/s0305-7.html)では「出生1万人対25~30床を当面の目標として、地域の実情に応じたNICU整備」が掲げられているが、それに見合うだけの人員確保が図られなければならない。不妊治療や妊婦高齢化等に伴って、周産期医療体制の充実は急務と感じる。日本産婦人科医会「産婦人科医師の勤務実態と将来ビジョン」(http://www.jaog.or.jp/all/document/81_141112.pdf)をみれば、状況は深刻なようである。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では周産期医療は柱の一つであり、地域医療ビジョン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)でも重点的に協議されるべきであろう。今年3月20日の「新たな財政支援制度にかかる都道府県担当者会議」(http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226651633445)では、28番「産科・救急・小児等の不足している診療科の医師確保支援(産科医、救急医、新生児医療担当医等の確保を図るため、これらの医師の処遇改善に取り組む医療機関を支援する)」が例示されているが、先般内示された平成26年度地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000065773.html)では、周産期医療対策にどれほど取り組まれているであろうか。少子化対策の一環として、一定人口規模には出産取扱い医療機関が必要である。産科医は婦人科医でもあり、女性応援の政府方針(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kagayaku_women/)の観点からも産婦人科医の確保策は非常に重要と感じる。今回の報道のような待遇の改善、手厚い奨学金の地域枠・自治医大卒医の活用など、いろいろ考えられるであろう。
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改正感染症法

2014年11月26日 | Weblog
11月14日に成立した改正感染症法(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/187.html)に関連して、「医療機関における院内感染対策について(案)」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140293&Mode=0)に続いて、先週、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140309&Mode=0)が出た。これによって、疑似症患者を患者とみなす感染症にMERSと鳥インフルエンザ(H7N9)が追加されるが、マスコミで盛んに報道されているエボラ出血熱よりもあり得るかもしれない。さて、今年10月に実施された「新型インフルエンザ等対策に関する調査(国民意識調査)結果」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi/dai11/siryou1_5.pdf)では、問9の外出自粛要請について、「応じることができる期間として、「4日~1週間未満」が33%、「2~3日」が32.5%で多数を占めた」が注目された。新型インフルエンザ等対策特別措置法(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002jjhx-att/2r9852000002jjzm.pdf)(http://www.cas.go.jp/jp/influenza/pdf/120511houritu_gaiyou.pdf)によって、「新型インフルエンザ等緊急事態」発生の際には、①外出自粛要請、興行場、催物等の制限等の要請・指示、②住民に対する予防接種の実施、③医療提供体制の確保(臨時の医療施設等)、④緊急物資の運送の要請・指示、⑤政令で定める特定物資の売渡しの要請・収用、⑥埋葬・火葬の特例、⑦生活関連物資等の価格の安定(国民生活安定緊急措置法等の的確な運用)、⑧行政上の申請期限の延長等、⑨政府関係金融機関等による融資が図られることになっているが、シミュレーションも必要であろう。
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食品中の放射性物質

2014年11月26日 | Weblog
「食品中の放射性セシウムから受ける放射線量の調査結果(平成26年2・3月調査分)~放射線量は現行規制の上限線量1ミリシーベルト/年の1%以下~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000066193.html)が出ている。一昨年4月から、食品中の放射性物質の新たな基準値(http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329.pdf)が運用されており、政府広報「ご存じですか?食品中の放射性物質の新しい基準値は、子どもたちの安全に特に配慮して定められています」(http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201204/3.html)も理解したい。「⾃然界に存在する放射性カリウムによる被ばく線量は0.2ミリシーベルト程度」(http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329.pdf)とあるように、決して被ばくはゼロではない。食品中の放射性物質への対応(http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html)として、情報公開の徹底が不可欠である。消費者庁専用HP(http://www.caa.go.jp/jisin/index.html)もみておきたい。とはいえ、福島県の健康調査(http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/)での子どもの甲状腺がん発見数(http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-b4-siryo.html)(http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/90995.pdf)は少々気にならないではない。確かに甲状腺がんは特殊検査で発見されやすいがん(http://www.pet-toyama.jp/seiseki.htm)である。「何らかの訴えで病院を受診し診断・報告された甲状腺がん発生率と何ら訴えのない子どもをスクリーニングする福島県民健康調査の甲状腺がん発生率とは、分子と分母が全く異なるので比較はできない。」(http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/90999.pdf)とあり、しっかりした対照データをもとにした評価が必要であろう。
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地域医療ビジョンの行方

2014年11月26日 | Weblog
地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の11月21日資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000065974.html)が出ている。「地域医療構想を策定するプロセス」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000065964.pdf)、「「協議の場」の設置・運営」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000065966.pdf)は理解しておきたい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000065966.pdf)p2では、協議の場については「地域医療構想を策定する構想区域ごとに設置」とある。現状の圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000065972.pdf)を勘案すれば、保健所に期待される役割は大きいであろう。ところで、11月6日の社会保障制度改革推進会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai3/siryou.html)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/kaisai.html)では、「地域の中であらゆる団体が行政とともに地域医療構想を策定する時に、様々なエビデンスに基づいて議論するためにデータを共有できる仕組みをつくってほしい」との意見(保健衛生ニュース11月24日)が出たという。日本病院会「地域医療構想(ビジョン)ガイドライン策定に関しての要望」(http://www.hospital.or.jp/pdf/06_20140917_01.pdf)でも「病床機能報告制度により渉猟したデータは地域医療構想、(ビジョン)の作成、評価に必須のものであり、協議の場に参加するものに限らず、すべてのものに公開すること。」とあった。地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の会合(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000058264.html)では「病床機能報告制度において報告される情報の公表のあり方」についても審議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000058288.pdf)され、行方が注目される。医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=141464&name=2r98520000036flz.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036854.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036855.pdf)のNDB分析結果も都道府県職員に限定させるのではいけないであろう。
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市町村地域ケア推進会議

2014年11月26日 | Weblog
10月8日の地域ケア会議推進に係る全国担当者会議資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000065936.html)には目を通しておきたい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/shinkouka_1.pdf)p15では、地域ケア会議について、地域包括支援センターレベルでの会議(地域ケア個別会議)と市町村レベルの会議(地域ケア推進会議)が示されている。地域包括支援センターでの地域ケア個別会議はこれまでも各地で行われているであろうが、市町村地域ケア推進会議はどうであろうか。p12の在宅医療・介護連携推進事業、p14の認知症初期集中支援チームと認知症地域支援推進員、p23の生活支援・介護予防の体制整備におけるコーディネーター・協議体とバラバラであってはいけない。市町村地域ケア推進会議は、それらを包括したものである必要があるのではないか。そして、市町村が地域包括ケアを推進するには、資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000065936.html)p30~の「地域包括支援センターの機能強化」が不可欠であるとともに、住民にとって、地域包括支援センターが身近な存在にならなければいけない。しかし、一口に市町村といってもピンキリで、市町村内でも中心地域と周辺地域でも大きく異なる。また、資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000065936.html)p12の在宅医療・介護連携推進事業では、「二次医療圏内・関係市区町村の連携」が位置付けられているように、医療介護連携は市町村完結ではない地域が多いであろう。そういえば、11月10日の全国介護保険担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000064545.html)で、介護保険地域支援事業による在宅医療・介護連携推進事業(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000064540.pdf)と地域医療介護総合確保基金の関係について示されているが、普段からの都道府県と市町村の部局横断的なコミュニケーションがカギを握るような気がする。
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