保健福祉の現場から

感じるままに

Ebola virus disease

2014年11月13日 | Weblog
厚労省エボラ専用ページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html)に医療機関の受付・待合室で使用できる「渡航歴確認シート」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/ebora_plane.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/ebora_map.pdf)が掲載されている。果たして、外国人の場合は大丈夫か、気にならないではない。また、消防庁通知(http://www.fdma.go.jp/concern/law/tuchi2610/pdf/261028_kyu182.pdf)では、「救急要請時に発熱症状を訴えている者には、ギニア、リベリア又はシエラレオネへの渡航歴の有無を確認し、過去1ヶ月以内の渡航歴があることが判明した場合は、本人に自宅待機を要請するとともに、直ちに保健所に連絡し、対応を保健所へ引き継ぐこと。(当該者はエボラ出血熱の疑似症患者として取り扱われるため、保健所により移送が行われるものであること。)」とあり、仮に重症の場合の移送が円滑に行えるか、も気になるところかもしれない。マラリアやインフルエンザもあり、紛らわしい。各自治体では、「空港で発症(疑い)確認された場合」「帰宅後の検疫所による経過観察中に発症(疑い)確認された場合」「検疫所による経過観察がなされていないケースで発症(疑い)確認された場合(医療機関から、患者本人等から)」など、様々なシミュレーション(指定医療機関への搬送、経過観察中の行動制限、接触者調査、確認検査、消毒等)が必要と感じる。
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気になる周産期医療体制

2014年11月13日 | Weblog
NHK「地方の産科医 10年後に大幅減」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141113/t10013162111000.html)。<以下引用>
<妊婦の出産を担う産科の医師の数は10年後、全国的には増えるものの、石川県や福島県などの地方では大幅に減るとする試算を日本産科婦人科学会などがまとめました。この試算は、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会がまとめたもので、過去8年間に新たに産科医になった人の数を基に退職時期を現在と同じ65歳と仮定し、10年後の各都道府県の産科医の数を推計しました。その結果、全国の産科医の数は、医学部の定員の増加などによって6.9%増えるものの、地方では産科医を目指す若手の医師が少ないことから大幅に減り、石川県ではマイナス25.8%、福島県ではマイナス20.2%、宮崎県ではマイナス16.3%など全国11の県で10%以上減ることが分かったということです。調査を行った日本医科大学の中井章人教授は「このままの状態で医師が減少すれば、地域によっては分べん施設が無くなる可能性もある。遠く離れた施設まで行かなければならず、場合によっては妊婦や赤ちゃんの命に関わるおそれもある。自治体には早急に対策をしてもらいたい」と話しています。>

毎日新聞「産科医不足:9県で深刻化 35歳未満も地方で低く」(http://mainichi.jp/select/news/m20141113k0000m040069000c.html)。<以下引用>
<お産を扱う産科医不足が福島、岐阜、和歌山など9県で深刻化していると、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が12日、発表した。産科医の数や年齢、分娩(ぶんべん)数などを初めて都道府県別に分析した。産科医のうち35歳未満の割合は特に地方で低く、将来の産科を担う医師の確保が厳しさを増している。調査によると、今年3月末現在、全国の分娩施設で働く産科医は9702人(男性6233人、女性3469人)。人口10万人当たりの産科医は東京や沖縄が11.1人なのに対し、茨城(4.8人)、福島(5.0人)、埼玉(5.3人)は半数以下だった。35歳未満の割合は石川の13%が最も低く、次いで宮崎14%、福島15%。東京(37%)や兵庫(38%)に比べ、3倍近い格差があった。分娩数や産科医への就業率などの6指標で分析すると、「現状が厳しく、早急な対策が必要」とみられる自治体は9県とした。福島は東日本大震災や原発事故の影響で、医師が少なく高齢化。医師1人当たりの分娩扱い数は都道府県の中で2番目、手術数は3番目に多かった。岐阜は産科への就業率が低く若手が少ない。和歌山は医師が高齢化し手術件数が多かった。さらに、2024年の医師数も推定したところ、26府県で減少すると試算された。背景として、夜間や休日の対応が多いために産科を敬遠する傾向があるほか、04年度に導入された医師臨床研修制度で研修先の選択肢が広がり、若手が都市部に集中したためとみられる。調査した日本医科大の中井章人教授は「少子化対策が重視される中、安心して出産できる場を確保するために、研修医の産科への就業を促し、適正な配置を目指す必要がある」と話す。◇現状が厳しく早急な対策が必要な9県 福島、千葉、岐阜、和歌山、広島、山口、香川、熊本、大分>

NHK「“ハイリスク出産” 医師の負担に地域差」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141112/k10013140901000.html)。<以下引用>
<出産時の大量出血などハイリスクの妊婦を受け入れる「周産期母子医療センター」で医師1人当たりが担当するお産の数は、青森県や福島県では東京都の3倍に上ることが日本産科婦人科学会などの調査で分かりました。専門家は「このまま放置すれば事故につながりかねず、各自治体は早急に対策を検討してほしい」と話しています。周産期母子医療センターは国の指針に基づいて全国に設置された医療機関で、前置胎盤による出血や早産などハイリスクの妊婦を数多く受け入れています。日本産科婦人科学会などが去年1年間にセンターの医師1人当たりが担当したお産の数を調べたところ、最も多かったのは青森県で94.7人、次いで福島県で91.5人、佐賀県で85.9人、島根県で84人などとなっていて、いずれも全国平均の52.4人を大幅に上回りました。また、東京都の30.6人に比べると、その差は最大で3倍に上っていました。調査を行った日本医科大学の中井章人教授は「医師が当直勤務を繰り返すような過重労働を放置したままハイリスクの出産を引き受ければ事故につながるおそれもある。負担の多い自治体は早急に対策を検討してほしい」と話しています。>

日本産婦人科医会「産婦人科医師の勤務実態と将来ビジョン」(http://www.jaog.or.jp/all/document/81_141112.pdf)が出ているのでみておきたい。健やか親子21(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000062884.html)の指標(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000062914.pdf)には、「妊産婦死亡率」「周産期死亡率」があるが、周産期医療体制の確立を位置付ける必要があるように感じる。平成21年の「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」報告書(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/s0305-7.html)では「出生1万人対25~30床を当面の目標として、地域の実情に応じたNICU整備」が掲げられているが、それに見合うだけの人員確保が図られなければならない。不妊治療や妊婦高齢化等に伴い、周産期医療体制の充実は急務である。周産期医療体制の基盤整備・強化事業(http://www.mhlw.go.jp/wp/seisaku/jigyou/13jigyou02/dl/I-1-1b.pdf)を含めて周産期医療の実態(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030p5p-att/2r98520000030par.pdf)について各自治体では認識されているであろうか。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では周産期医療は柱の一つであり、地域医療ビジョン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)でも重点的に協議されるべきであろう。3月20日の「新たな財政支援制度にかかる都道府県担当者会議」(http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226651633445)では、28番「産科・救急・小児等の不足している診療科の医師確保支援(産科医、救急医、新生児医療担当医等の確保を図るため、これらの医師の処遇改善に取り組む医療機関を支援する)」が例示されているが、内示された平成26年度地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000061596.pdf)では、周産期医療にどれほど取り組まれているか、気になるかもしれない。先日も読売新聞「産科医不足 9県「危機的」…学会初調査、福島など若手少なく」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=105454)の報道があった。周産期医療の広場(http://shusanki.org/index.html)の「2013年度末時点の新規産婦人科専攻医の動向について」(http://shusanki.org/theme_page.html?id=251)では「日本産科婦人科学会の新規入会者(新規専攻医)数は2010年度の491名をピークに、その後3年間連続して減少し、2013年度は390名になってしまいました。2012年度では女性の減少が目立っていましたが、2013年度は男女とも減少しています。特に2011年度卒の専攻者は明らかに減少しており、その前の4学年と比較すると、50名程度少ないと考えられます。500名以上の専攻医数の確保を前提としている産婦人科医療改革グランドデザイン2010は根本的な見直しが必要と考えられます。」とあった。なお、周産期医療施設に対する不動産取得税軽減(http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/04/tp0405-4.html)は年々小さくなり、平成27年度で廃止されることになっているが、果たしてどうなのであろうか。診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/h24_04-27-05.pdf)だけでは弱い。各都道府県の医療機能情報HP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)をもとに、各医療機関ごとの正常分娩件数、選択帝王切開術件数、緊急帝王切開術件数が公表されており、各自治体の実態を認識しておきたい。少子化対策の一環として、一定人口規模には出産取扱い医療機関が必要であろう。産科医は婦人科医でもあり、女性応援の政府方針(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kagayaku_women/)の観点からも産婦人科医の確保策は重要と感じる。
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医療保険制度改革の行方

2014年11月13日 | Weblog
日本経済新聞「医療保険改革の公表取りやめ 厚労省」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS11H2P_R11C14A1EE8000/)。<以下引用>
<厚生労働省は11日、13日に予定していた医療保険改革の公表を取りやめると発表した。改革案は世代間の負担の公平化を掲げ、高齢者の負担増策を盛り込んでいた。政府・与党内で安倍晋三首相が年内に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が強まり、公表するのは得策ではないと判断したとみられる。塩崎恭久厚労相が本部長を務める医療介護改革推進本部を開いて、厚労省の医療改革案をまとめる段取りだった。厚労省は公表をやめた理由について「関係各所との調整がうまくいかなかった」と説明している。14日に開く社会保障審議会医療保険部会も中止する。改革案には、75歳以上が入る後期高齢者が払う保険料を最大9割軽減する特例措置を段階的に廃止する内容を盛り込んでいた。11日午前開いた自民党の会合では選挙を意識した発言もあり、負担増策への慎重な意見が相次いだ。>

朝日新聞「社会保障給付費は108兆円超 12年度、過去最高更新」(http://apital.asahi.com/article/news/2014111100013.html)。<以下引用>
<2012年度に年金や医療、介護などに支払われた「社会保障給付費」は108兆5568億円だった。高齢化の影響で、介護を中心に前年度より1兆507億円(1・0%)増えた。統計を取り始めた1950年度以降、過去最高を更新し続けている。国立社会保障・人口問題研究所が11日に発表した。社会保障給付費は社会保険料や公費が財源で、国民1人当たりだと、前年度より1万100円(1・2%)増えて85万1300円だった。>

10月10日の医療介護改革推進本部資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000060857.pdf)p5「医療と介護の一体改革に係る今後のスケジュール」はどうなるであろうか。①現在、市町村で第6期介護保険事業計画が策定中、②今年10月から病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)がスタート、③新たな財政支援制度(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052331.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052333.pdf)による平成26年度地域医療介護総合確保基金が都道府県に内示(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000061596.pdf)、④地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)が来年1月に出る予定、⑤平成27~28年度に地域医療構想(ビジョン)策定、と慌しいスケジュールであるが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000060857.pdf)p9~10にある「医療保険制度改革」が気になる。既に医療保険の「療養の範囲の適正化・負担の公平の確保」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061515.pdf)が出ているが、東京新聞「特養の相部屋代全額実費 厚労省案 月1万5000円負担増検討」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014102902000142.html)等が出ているようように、負担増は医慮保険だけではない。全国保険医団体連合会「2015年通常国会に提出法案/メニューは負担増ばかり」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/141015kokkai-houan.html)でも解説されているように、社会保障審議会介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)、社会保障審議会医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)はセットでみておく必要がある。しかし、市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)にあるように、今後、少子高齢化が一層進む中で、負担増(税金、保険料、窓口負担)は避けられないであろう。現在、各自治体で策定中の第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052532.pdf)や平成27年度以降策定の地域医療ビジョン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)では、2025年の介護・医療需要が推計されることになっており、地域住民の認識を高める必要がある。この際、今年度、全国各地の自治体で実施されている日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)の調査結果、地域包括ケア見える化システム(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)(http://mieruka.mhlw.go.jp/)やKDB(http://www.kokuho.or.jp/hoken/public/lib/kdb_manual_ver.1.1.pdf)による自治体の分析結果を積極的に情報公開すべきと感じる。医療費適正化資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061516.pdf)p5に出ているように、平成24年度の特定健診受診率46.2%、特定保健指導実施率16.4%に留まり、p9~10にあるように自治体間格差が大きく、p11~のように医療費格差も大きい。p59の「後発医薬品の地域差」も小さくない。健康増進による医療費適正効果に疑問を持つ方でも、少なくとも後発医薬品の普及徹底による医療費適正化は否定できないであろう。平成25年国民生活基礎調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/index.html)での各がん検診受診率はいずれも3割台~4割台に留まっている(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/04.pdf)。医療・介護の負担増ラッシュは、介護予防・疾病予防、後発医薬品普及とセットで打ち出されるべきで、その際には自治体ごと各種情報の積極的公開による地域住民の自立と協働を喚起すべきと感じる。
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