保健福祉の現場から

感じるままに

がんの一次予防

2014年11月28日 | Weblog
東京新聞「肥満が原因のがん、年50万人 WHO、女性高リスク」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014112801000626.html)。<以下引用>
<世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン、IARC)は27日までに、過体重や肥満が原因でがんに発症する人が世界で年間約50万人に上るとの研究結果を英医学誌ランセット・オンコロジーに発表した。男性より女性の発症リスクが高いという。IARCは「肥満ががん発症の主要なリスク要因になっている」と警告。発展途上国の経済成長に伴い、肥満が世界的に深刻な問題となる中、対策を急ぐよう各国に促した。IARCによると、2012年の新たながん発症者の推定3・6%(約48万1千人)が過体重や肥満が原因だった。>

今年10月、国立がん研究センター「肥満と乳がんの関連性を日本人での大規模な前向きコホート研究のプール解析で確認 閉経前・後ともに肥満は乳がんのリスクに」(http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20141007.html)が出ていた。昨年には、多目的コホート研究(JPHC研究)による「5つの健康習慣とがんのリスク」(http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3348.html)が出ていたが、メタボ予防とがん予防はやはりセットであろう。しかし、健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf)p36の図9 日本人のがんの原因をみると、肥満要因よりも感染性要因の方が大きいことも知っておきたい。新たな「がん対策推進基本計画」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/dl/setsumeikai03.pdf)p23で感染症対策からのがん予防が打ち出されており、HPVによる子宮頸がん、肝炎ウイルスによる肝がん、ピロリ菌による胃がん、HTLV-1による白血病は今や常識である。既に、がんを防ぐための新12ヵ条(http://www.fpcr.or.jp/pdf/12kajou.pdf)では、「ウイルスや細菌の感染予防と治療」が柱の一つである。
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介護予防手帳

2014年11月28日 | Weblog
11月17日の総合事業への早期移行に向けた市町村職員を対象とするゼミナール資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/shinkouka.pdf)が出ているので、目を通しておきたい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/shinkouka.pdf)-p10、p29に示されるように、「生活支援」「介護予防」は介護保険地域支援事業充実のテーマになっており、現在、各自治体で策定中の第6期介護保険事業計画において、どのような方向が示されるか、注目である。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/shinkouka.pdf)p11~18で3パターンの新しい総合事業の上限設定が示されているが、悩ましいところかもしれない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/shinkouka.pdf)p1に出ているように、そもそも地域住民の参加は生活支援・介護予防サービスだけではない。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/shinkouka_1.pdf)p23~25に示されるコーディネーターはp25のような2日間研修も悪くはないが、少々堅い感じがしないでもない。ところで、p19~の介護予防手帳について、「趣味や興味のあるもの」は幅広く例示されているが、スポーツ観戦は「野球と相撲」だけなのか等、つっこみどころが少なくないかもしれないが、紙手帳よりも電子手帳の時代ではないか。6月24日の政府「世界最先端IT国家創造宣言改訂版」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou1.pdf)p13~「医療・介護・健康情報を、医療機関の他、遠隔医療、在宅医療・介護及び生活支援サービスを担う主体を含む多様な主体が共有・連携する仕組みを構築し、効果的・効率的な医療・介護等を提供する体制を整備する。このため、地域を超えた国民への医療サービス提供等を可能とする医療情報利活用基盤の構築を目指し、医療情報連携ネットワークについて、データやシステム仕様の標準化、運用ルールの検討やシステム関連コストの大幅な低廉化等による費用対効果の向上を図りつつ、2018年度までに全国への普及・展開を図る。また、利用者の実態に即した適切な医療・介護や生活支援サービスを提供するため、地域包括ケアに関わる多様な主体が情報共有・連携を行うとともに、適切な介護サービスの提供が利用者の要介護状態の改善につながることを考慮し、これらサービスの客観的な評価とサービス内容の向上に資する取組を推進し、効果の検証及び普及・発展させるための具体的な方策を検討し、確立する。さらに、高齢者の自立支援・社会参加を促進し、生活の質の向上に資する、医療・介護や生活支援サービスに関するセンサー技術やロボット技術等の開発実証・実用化等を行う。あわせて、電子版お薬手帳や生活習慣病の個人疾病管理など患者・個人が自らの医療・健康情報を一元的、継続的に管理し利活用する仕組みを推進する。」「保険者、地方自治体及び企業が健診データやレセプトデータ等から加入者や地域住民、社員の健康状況等を把握・分析し、データに基づく具体的な保健指導や本人の参加も含む健康づくり、医療情報データベースを活用した医薬品等の安全対策に関する取組を推進できるようにするなど、2016 年度までに、地域や企業における国民の健康増進・健康管理に有効な方策を確立し、それを踏まえて、全国展開を図る。また、レセプト審査における更なるIT の利活用により、レセプト審査の効率化や実効性の向上を図るとともに、レセプト情報等の保険者や地方自治体等での利活用拡大により、適切な医療の提供のための取組等を推進する。これらの取組に寄与する医療・健康情報等の各種データを収集、蓄積し、分析及び活用する仕組みの構築を行う。あわせて、高齢者の就農による健康増進効果の実証や、食を通じた健康増進に関する既存の取組などで、運動と食が健康増進に多大な影響を与えることが示されていることを踏まえ、地域における多様な働き方や日本独自の食生活と健康増進などの健康増進モデルの検討も併せて実施し、普及促進を積極的に検討する。」とあったが、電子版介護予防手帳は出なかったのであろうか。情報通信白書(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/index.html)(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/n2300000.pdf)p250によると、平成24年末におけるインターネット利用率は、60~64歳で71.8%、65~70歳で62.7%、70~79歳48.7%である。高齢者のネット利用が急速に伸びており、団塊世代では大きく変わるように感じる。
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医療機能の分化・連携と高額医療機器

2014年11月28日 | Weblog
M3「急性期病床、想定の約2倍か、2025年に、日病調査
「回復期」「慢性期」の役割の不明確さ指摘」(https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/272541/?category=report)。<以下引用>
<日本病院会の堺常雄会長は、11月25日の記者会見で、病床機能報告制度が始まったことを受けて会員に緊急調査を実施したところ、2025年度時点でも一般急性期として機能を果たす意向を示している病院が「6割以上」となっていて、2011年の厚生労働省の想定の3割強の約2倍になっていることを明らかにした上で、機能分化がうまくいかない可能性を示唆した。その上で、地域包括ケアシステムにおける「回復期」「慢性期」の病床の役割が明確になっていない点を指摘して、将来像の在り方や、厚労省が示している病床数の試算根拠などを示すように求めた。厚労省試算「根拠が不明」 社会保障・税一体改革で2011年6月に行った、2025年の医療需要と病床の必要量の推計では、高度急性期18万床、一般急性期35万床、回復期26万床、慢性期28万床となっている。日病は、初回の報告が終わった11月にかけて緊急調査を実施。2351病院に依頼をかけて、34.3%に当たる806病院から有効回答を得た。2025年度の意向については、447病院から回答を得た。堺氏は、「精査が終わっていない」としながらも、初回の届け出時点で、一般急性期で届け出た病院が75%を占めた上、2025年度の時点で一般急性期病床を希望している病院が「60%超あった」として、厚労省の推計と比べて2倍近くなっている現状を明らかにした。原因について、堺氏は、回復期や慢性期の病床の定義が不明確である点を指摘し、「地域包括ケアシステムにおける位置付けや連携、人員配置などが分かれば動きやすくなるのでは」と話した。さらに、厚労省の試算については、「何が根拠となっているのは定かでない。想定が妥当か議論する必要がある」と指摘した。病床機能報告制度を開始する一方で、内閣府の社会保障制度改革推進本部では、医療費適正化を目指して、医療の需給バランスを試算するための計算方法などが検討されている。堺氏は、「都道府県にはデータが行っているという話もあるが、病院からはデータが見えない状況。公明正大にやっているか分からない」と指摘した上で、都道府県に示されているデータを収集したい考えを示した。「首相、社会保障言及少ない」 消費増税の先送りの評価についても言及。10%引き上げのタイミングが2015年10月から2017年4月となった点については、「考える時間ができた一方で、(増税分は社会保障の充実のための)財源となっている。薬価財源を(診療報酬改定に充当する)元の形にするのが考えられるが、財務省から引きはがすのは難しいかもしれない」と指摘。さらに安倍晋三首相については「周辺も含めて社会保障についての言及が少ない。ある程度、専門家に任してくれる方向になれば」と述べ、今後の動向を注視する考えを示した。控除対象外消費税の問題については、2017年4月時点の抜本的解決を目指していく可能性を示した。>

例えば、がん診療連携拠点病院(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html)について、今年1月に指針改定(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_03.pdf)があり、「新指針による診療実績に関する要件の変更」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_05.pdf)がある。経過措置(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_06.pdf)はあるものの、来年度からどうなるのか、注目である。指定要件(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_05.pdf)の実績評価やカバー率評価について、「概ね」となっている点の取扱いがポイントであろう。そういえば、PET検査について、厚労省告示(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039430.pdf)p51にあるように、特定機能病院やがん診療連携拠点病院等では「適合していない場合には所定点数の百分の八十に相当する点数により算定」にはならない。従来から、PET検査は虚血性心疾患も保険適用であり、心臓核医学検査ガイドライン(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010tamaki.h.pdf)p20でわかりやすく解説されている。特に虚血性心疾患はMDCTの普及によって、画像診断が飛躍的に向上しており、既に7年前から、MDCTを搭載したPET/CT(http://www.innervision.co.jp/041products/2008/p0801_12xctpet.html)も使用されている。循環器疾患は急性期医療の花形の一つであるが、心筋PET検査の保険適用拡充(http://www.jsnc.org/sites/default/files/paper/49-1/jsnc-49-19.pdf)のほか、PET検査は、てんかん(外科治療のための病巣診断)や心サルコイドーシスの診断も保険適用(http://www.ncgm.go.jp/sogoannai/housyasen/kakuigaku/medical.html)である。また、「認知症初期集中支援チーム」テキスト(http://vexon-intnl.com/dasc/h25text.pdf)p50~「認知症の診断と代表的な認知症疾患」では、p52アルツハイマー病(AD)「SPECT やPET では、頭頂側頭葉領域に局所脳血流低下や代謝低下が認められることが多い。」、p54レビー小体型認知症(DLB)「SPECT またはPET で大脳基底核のドパミントランスポーターの取り込み低下を確認」とあるように、認知症の診断には高額医療機器による画像検査も重視される。平成16年8月1日の通知;医政発第0801001号(http://www.jrias.or.jp/statute/pdf/koseirodo20040801-0801001.pdf)p6~7に記されているように、「PET-CTによるCT単独撮影」が認められていることや「医師は専任や専従ではなく常勤であればよい」。今年3月3日の全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000039688.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000039685.pdf)p99で「新たな医療技術への対応等を図るため、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」の一部改正について(平成24年12月27日付け医政発1227第1号)により、PET―MRI複合装置の陽電子断層撮影用放射性同位元素使用室における使用に関し、MRI単独目的での撮影を行う場合を含め、当該装置を使用する場合の適切な防護措置や安全管理体制について明らかにしたところであり、各都道府県においては、ご留意の上、その遵守について管下医療機関に対する適切な指導方よろしくお願いする。」とあった。しかし、PET検査のような高額医療機器は医療機能とセットではないか、と感じる。今年10月からの病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告項目(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000058910.pdf)では、CT、MRI、SPECT、PETなどの検査機器が位置付けられていることに注目したい。例えば、PET検査に係る厚労省告示(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039430.pdf)p51「適合していない場合には所定点数の百分の八十に相当する点数により算定」のような、紹介率と政策医療拠点とのリンクで、高額医療機器の集約化と医療機能の分化・連携を図ることも想定されるような気がする。デジタル化による医療ネットワーク推進も後押しになる。がん診療連携拠点病院の指針改定(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_byoin_03.pdf)はその第一弾かもしれない。なお、平成26年度診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)p49~「紹介率・逆紹介率の低い(紹介率40%未満かつ逆紹介率30%未満)500床以上の病院における初診料・外来診療料・処方料の適正化」新設があり、医療保険制度改革スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000044082.pdf)では「大病院外来定額自己負担」が項目にあがっている。医療機能の分化・連携は、入院(病床)だけではないであろう。
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