保健福祉の現場から

感じるままに

年間20mSvまで許容!?

2013年10月24日 | Weblog
毎日新聞「原子力規制委員長:「1ミリシーベルト独り歩き」」(http://mainichi.jp/select/news/20131024k0000m040046000c.html)。<以下引用>
<原子力規制委員会の田中俊一委員長は23日の定例記者会見で、政府が除染の長期目標としている年間追加被ばく線量(1ミリシーベルト以下)について、「独り歩きしている。原発事故があった場合、避難先でのストレスなど全体のリスクを考えれば年間20ミリシーベルトまで許容した方がいいというのが世界の一般的な考え方だ」と語った。国際原子力機関(IAEA)の調査団長が「1ミリシーベルトにこだわる必要はない」との見解を示したことに関連し答えた。政府の計画では年間20ミリシーベルト以上の区域を「できる限り縮小」するとともに、同未満の区域で「長期的に年間1ミリシーベルト以下を目指す」としている。しかし、住民の間では、低線量被ばくへの健康影響を懸念し、年間1ミリシーベルト以下にならないと帰還できないとの考えが強い。田中委員長は「(低線量被ばく影響の医学的根拠はなかなか証明できない。できる限り、被ばく線量が少なくなるよう、生活指導や健康相談など総合的に取り組む必要がある」と強調した。>

原子力規制委員会の委員長が「(低線量被ばく影響の)医学的根拠はなかなか証明できない。」としているが、日経メディカル「20歳未満でのCT検査で癌リスクが有意に上昇 年少の曝露ほど高リスク、豪州での大規模コホート研究の結果」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/201306/530940.html)、日経メディカル「癌患者の2%がCT検査による発症?」(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t084/201003/514653.html)の記事もあったように、低線量被ばくは決して無視できないであろう。1月12日(土)21時~のNHKスペシャル「シリーズ東日本大震災 空白の初期被ばく」(http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0112/)で報道されたように、我が国は大規模集団の低線量被ばくを経験し、その影響が懸念されている。政府資料(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/dai4/siryou1.pdf)p5では「チェルノブイリで小児の甲状腺がんの増加を証明するのに20年かかった(4000人発症、15人死亡)」とされており、この際、「がん診療連携拠点病院 院内がん登録」(http://ganjoho.jp/professional/statistics/hosp_c_registry.html)の病院別件数(http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20130801.html)の推移や小児慢性特定疾患治療研究事業(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/index.html)(http://www.nch.go.jp/policy/shoumann.htm)による「小児がんの診療件数」の推移など、各種統計の年次的情報公開こそが重要と感じる。なお、低線量被ばくの健康影響については、年齢を考慮すべきであるのはいうまでもない。高齢者と小児・妊婦等は同列に評価できないであろう。そういえば、政府「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/news_111110.html)の報告書(http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf)p9では、喫煙は1,000~2,000ミリシーベルト、肥満は200~500ミリシーベルト、野菜不足や受動喫煙は100~200 ミリシーベルトのリスクと同等とされていたが、この際、生活習慣改善によるリスク軽減を徹底したいものである。ところで、がん登録の法制化の動きが進んでいる(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/)が、法施行前に、早めに登録率を徹底的に高めておく必要性を強く感じる。今後、法制化によって間違いなく、がんの登録率が上昇する。そうなれば、統計上、がん罹患数は増えるが、それが「原発事故による大規模集団の被ばくが原因」と直結されてはたまらないであろう。
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医師臨床研修マッチング結果と医学部新設の行方

2013年10月24日 | Weblog
24日、医師臨床研修の最終マッチング結果(http://www.jrmp.jp/koho/2013/2013press.htm)が出た。臨床研修病院別結果(http://www.jrmp.jp/koho/2013/2013all-program-kekka.pdf)はみておきたい。大学病院別結果(http://www.jrmp.jp/koho/2013/2013jidai.pdf)では、東北地方の大学病院のマッチ者数は他地域の大学病院に比べて非常に少ないことがわかる。国家戦略特区の官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kadaibetu/dai1/siryou5.pdf)p1で、「国際医療拠点の創設と連携して、医学部の新設」があるが、果たして、東北地方に医学部を新設すれば東北地方に医師が定着するのであろうか。9月25日、日本医師会が会見で医学部新設に反対表明(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20130925_12.pdf)し、「医学部新設で医師不足加速、壊滅的な状況に」(http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/182088/?category=)と大変な危機感が表明されている。9月30日には全国医学部長病院長会議も医学部新設に反対を表明している(http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/181761/?category=)。これから医学部を新設しても卒業は最短で6年後である。それよりも東北地方への医師定着に力を入れるべきではないか、と感じる方が少なくないであろう。一旦、医学部が新設されると、医学部の定員調整と違って、柔軟な対応がしにくくなる。歯科医師過剰(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C)や法科大学院定員割れ(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2%E5%AE%9A%E5%93%A1%E5%89%B2%E3%82%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C)等と同じ轍を踏んではいけない、と思う方は少なくないかもしれない。国家戦略特区の官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kadaibetu/dai1/siryou5.pdf)p1では、医学部新設以外の規制改革提案として、「国際医療拠点において、病床規制の撤廃、外国医師・看護師の業務解禁、海外で認められる医薬品等を対象に混合診療の解禁」もある。以前、全国保険医団体連合会「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)p31では、「四病院団体協議会は、日本政府が米国に対応できる交渉能力があるかを疑問視しつつ、むしろ日本政府が米国の圧力をくみ取りながら、規制を緩和し混合診療を広め、医療法人制度(配当禁止)を突き崩すという点についても、注意を喚起している。」とあったが、9月11日に、大阪府・市が国際メディカル特区を申請(http://www.pref.osaka.jp/attach/20252/00133494/ganban.pdf)し、p7にあるように、①外国人医療スタッフによる特区内医療看護の規制緩和、②先進医療の推進・具体化のための混合診療の実施、③高度医療を提供するため内外から患者を受け入れる医療機関に対する病床規制の見直し、④株式会社による病院・診療所経営の参入が図られることはぜひ知っておきたい。
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TPPと知的財産

2013年10月24日 | Weblog
NHK「TPP知的財産作業部会始まる」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131024/t10015515221000.html)。<以下引用>
<TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉のうち、「知的財産」を巡る作業部会が東京で始まり、アメリカと新興国との間で対立が続く医薬品の特許の保護などについて、打開策を探ることになります。TPP交渉のうち「知的財産」の作業部会は、12か国の交渉官らが参加し、24日から5日間の日程で東京で始まりました。「知的財産」は、特許や著作権の保護など多くの論点で先進国と新興国が対立し、難航している分野の1つとなっています。このうち、医薬品の特許を巡っては、アメリカが製薬会社の開発を支援するため特許の保護期間を延長することなどを求めているのに対して、マレーシアなどの新興国は、特許が切れた医薬品を価格を抑えて販売する「後発医薬品」を利用しやすくするべきだとして対立しています。日本としては、アメリカと共同歩調を取りつつも、議長国として、特許保護の規定が新興国に適用されるまでの猶予期間を設けるなど、新興国に配慮した提案を行うことも視野に打開の道を探りたい考えです。交渉に先立ち、TPP政府対策本部の大江首席交渉官代理は、「対立している国どうしが満足できる案を作るための議論を進めたい」と述べ、日本が主導して交渉を進展させたいという考えを示しました。>

不思議なのは、医薬品の特許の保護の影響は、新興国だけでなく、日本の医療にも影響することが報道されないことである。今年3月の自民党決議(http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf091_1.pdf)をみてもわかるように、「TPP=農業問題」ではない。「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の要望書(http://atpp.cocolog-nifty.com/blog/)でも知的財産分野(http://thinktppip.jp/)が懸念されている。全国保険医団体連合会「TPPと医療の特集ページ」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/index.html)での「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)、保団連CM「1分でわかるTPPと医療」 (http://www.youtube.com/watch?v=bxOppdF8gag&feature=c4-overview&list=UU8ls5lZocfTkdjO29nBOT7w)もわかりやすい。DOCTORS WITHOUT BORDERS / MEDECINS SANS FRONTIERES;国境なき医師団(http://www.msf.ca/)がTPPに関して、「MEDICINES SHOULDN’T BE A Luxury」(http://www.msf.ca/tpp/)を出していることはどれほど知られているであろうか。もっと、知的財産権(http://thinktppip.jp/)等の非関税措置にも焦点があてられるべきである。そういえば、全国保険医団体連合会「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)p31では、「四病院団体協議会は、日本政府が米国に対応できる交渉能力があるかを疑問視しつつ、むしろ日本政府が米国の圧力をくみ取りながら、規制を緩和し混合診療を広め、医療法人制度(配当禁止)を突き崩すという点についても、注意を喚起している。」とあった。国家戦略特区の官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kadaibetu/dai1/siryou5.pdf)p1で、「国際医療拠点の創設と連携して、医学部の新設」、「国際医療拠点において、病床規制の撤廃、外国医師・看護師の業務解禁、海外で認められる医薬品等を対象に混合診療の解禁」が提案されている。また、9月11日に、大阪府・市が国際メディカル特区を申請(http://www.pref.osaka.jp/attach/20252/00133494/ganban.pdf)し、p7にあるように、①外国人医療スタッフによる特区内医療看護の規制緩和、②先進医療の推進・具体化のための混合診療の実施、③高度医療を提供するため内外から患者を受け入れる医療機関に対する病床規制の見直し、④株式会社による病院・診療所経営の参入が図られることはぜひ知っておきたい。既に医療は、TPPを前提にした動きになっているように感じるのは気のせいであろうか。
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地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金

2013年10月24日 | Weblog
10月22日付で、会計検査院法第36条の規定による処置要求「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金等により整備した地域密着型施設の利用状況について」(http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/25/pdf/251022_zenbun_4.pdf)が出ているのでみておきたい。p3では、地域密着型施設の利用状況を299事業者の326事業所について、開所時等から25年3月までの間の利用率を算出するなどしたところ、25都道府県の153市区町村等に所在する238事業者の255事業所(整備交付金交付額計43億3705万余円)において、地域密着型施設が全く利用されていなかったり、利用が低調となっていたりしていて、整備交付金の事業効果が十分発現していない事態が見受けられ、特に、7事業者の8事業所(整備交付金交付額計1億2487万円)は、開所時等から施設が全く利用されていなかったという。p4では、サービス利用の低調の理由として、「見込量を実際の利用に結びつけるための方策について検討していたのは5市町のみで、残りの市区町村等は特段検討を行っていなかったり、類似の機能を有するサービス施設を含めた既存の地域密着型施設等の利用状況等を十分に勘案していなかったりしていて、需要を的確に把握して、施設整備事業を実施しているとは認められない状況となっていた。」、また、サービス利用上の問題(認知症の要介護者等が通所介護事業所を利用してしまう、利用者等が宿泊を中心とした利用を望む場合が多い)、要介護者等への周知不足(認知通所介護及び小規模多機能介護のサービスの機能や特徴等が十分に周知されていない等)が理由とされる。p6の改善の処置要求は、「整備交付金の交付申請に当たり、サービスの需要に関する見込量が実際の利用に結びつくかの検証を行ったり、既存の地域密着型施設等の利用状況等を勘案したりするなどして、需要を的確に把握することの必要性について、都道府県を通じるなどして市町村に周知するとともに、交付申請の審査等に当たり、需要の有無等の把握を的確に行ったかについて十分に確認するよう都道府県等に周知すること」「都道府県を通じるなどして、利用が低調等となっている地域密着型施設が所在する市町村に対して、当該施設の整備後の利用状況を的確に把握して、事業効果の発現のための取組について事業所を指導するとともに、地域密着型施設が提供するサービスの機能や特徴等について要介護者等に対する周知等を十分に行うよう指導や助言を行うこと」とある。さて、来年度は第6期介護保険事業(支援)計画(平成27~29年度)の策定の年である。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/02_2.pdf)p2で、平成27年度からの第6期介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ、2025年までの中長期的なサービス・給付・保険料の水準も推計し、地域包括ケアに関する取組について地域の将来を見据えたより具体的な記載を求める、とある。しかし、計画策定以上に、住民への普及啓発が重要と感じる。需要を勘案するにしても、住民が各種サービス内容を知らなければ、ミスマッチが起こる。また、地域住民が地元の介護施設の実態に、もっと関心を持つことも重要かもしれない。介護サービス情報(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)では、施設ごとに、サービス内容、設備状況、利用料、従業員情報、利用者状況等が公開されているが、果たして、どれほど見られているであろうか。そして、行政側による施設に対する定期的な実地指導がどうなっているかも問われるかもしれない。事業者まかせではいけない。介護保険事業計画は、地域住民、事業者、行政の自立と協働で進めたいものである。
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