保健福祉の現場から

感じるままに

成育基本法の行方

2013年10月31日 | Weblog
日本医師会「周産期・乳幼児保健検討委員会答申について」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1712.html)(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131023_3.pdf)が出ており、成育基本法が提言されている。国の成育基本計画では、①次世代を担う成育過程にある者に対する生命・健康教育の充実、②社会、職場における子育て・女性のキャリア形成のための支援体制の構築、③周産期母子健康診査と保健指導の充実、④周産期医療体制の充実、⑤養育者の育児への参画を支援する制度の充実、⑥国際標準を満たす予防接種などの疾病発症予防対策体制の構築、⑦妊娠・出産・子育てへの継続的支援のための拠点整備及び連携などが盛り込まれるべきとあり、重要政策には、出産育児一時金の充実、小児医療費助成制度の充実、小児健康手帳の導入、子どもの健康相談体制の充実、子どもの健康診査体制の充実、障害児(者)・発達障害児(者)とその家族への支援、慢性疾患を持つ子どもの成人への移行体制の整備、子どもの死因を評価する体制の整備、事故の予防に対する研究・施策、長期入院児への配慮、入院環境の整備、保育所などの整備による育児支援、専業主婦への育児支援、貧困家庭・片親家庭への支援等が掲げられている。成育基本計画は、保健・医療・福祉・教育・労働など幅広い分野にまたがり、イメージ的には、健やか親子21(http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/)、次世代育成支援対策推進法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jisedai.htm)の行動計画、子ども・子育て支援法(http://law.e-gov.go.jp/announce/H24HO065.html)の子ども・子育て支援事業計画、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の周産期医療・小児医療などを包括したような感じであろうか。まずは、「成育(周産期、小児期、思春期を経て次世代を育成する成人期までの過程)」の言葉の普及啓発が必要であろう。
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原発ホワイトアウト

2013年10月31日 | Weblog
ネットでは「キャリア官僚による、リアル告発ノベル!」と紹介されている「原発ホワイトアウト」という単行本(http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2186179)が注目されているらしい(http://ameblo.jp/aries-misa/entry-11658511778.html)。先般のNHKスペシャル「原発テロ ~日本が直面する新たなリスク~」(http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1007/)の放映が蘇る。「核兵器がなくても、原発の電源や燃料プールを破壊すれば核テロを起こせる」(http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1007/)とあったが、「爆弾低気圧で大雪の夜、テロリストが高圧送電線を吊った鉄塔をダイナマイトで破壊」のシナリオらしい。国民保護(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)は大掛かりな武力攻撃事態ではない。厚生労働省の「国内の緊急テロ対策関係」ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/j-terr.html)が、最近全く更新されていないのが気になる。
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総合的な認知症施策が不可欠

2013年10月31日 | Weblog
ニッセイ基礎研究所から「「認知症ライフサポートモデル」の普及・推進に向けた認知症ライフサポート研修テキスト」(http://www.nli-research.co.jp/report/misc/2013/p_repo131029.html)が出ているので見ておきたい。厚労省の「認知症高齢者数について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002iau1.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002iau1-att/2r9852000002iavi.pdf)、「認知症有病率」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000033t43-att/2r98520000033t9m.pdf)では認知症の多さが目に付く。一昨年度までに各市町村で実施された「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/niizucyousa.pdf)や例年の生活機能チェック(http://www.tyojyu.or.jp/hp/menu000001000/hpg000000954.htm)では、それぞれの地域における認知症リスクを有する高齢者の実態が把握されていたのであるが、積極的な情報公開と活用がなされてこなかったように感じる。来年度までに各自治体で実施される「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/1.pdf)をみれば、介護保険を利用していない一般高齢者でも認知症リスクを有する方が非常に多いことが把握されるのは間違いない。さて、厚労省資料「認知症施策の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000021004.pdf)が出ているが、認知症施策は、介護・福祉だけではなく、医療も強調すべきではないかと感じる。日本医師会「厚生労働省「今後の認知症施策の方向性について」に対する日医の見解(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1577.html)、日本精神科病院協会「厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチーム「今後の認知症施策の方向性について」の反論」(http://www.nisseikyo.or.jp/home/about/05teigen/2012/120726.html)が出ているように、認知症対策には医療は不可欠であるのはいうまでもない。しかし、それは認知症疾患医療センターだけではない。認知症専門医(https://kirakira-care.net/society/)は少なく、画像診断を含む認知症の鑑別診断にも、医療連携体制の構築が重要と感じる。昨年出された政府のオレンジプラン(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002j8dh.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002j8dh-att/2r9852000002j8ey.pdf)p1では、「「身近型認知症疾患医療センター」の機能(早期診断・早期支援、危機回避支援)については、平成25年度までに、認知症サポート医の活動状況等も含めた調査を行い、それを踏まえて検証する。」とあり、行方が注目される。また、厚労省資料「認知症施策の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000021004.pdf)p11に出ている、「認知症医療支援診療所(仮称)」もポイントのように感じる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ff1-att/2r98520000036fkg.pdf)での精神疾患は、認知症に関して、①認知症の進行予防、②専門医療機関へのアクセス、③地域生活維持、④BPSDや身体疾患等が悪化した場合に分け、それぞれの目標、医療機関に求められる事項等を作成する(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-3.pdf)ことになっている。認知症施策を進めるには、医療計画を推進する保健所と介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画・地域福祉計画・健康増進計画を推進する市町村がタッグを組まなければならない。各地の保健所では「認知症パンフレット」(http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/ks-health/ninchisyou.html)や「認知症支援体制ガイド」(http://www.pref.nagasaki.jp/kn-hoken/hofuku/nintisyo/h23nintisyoshien.pdf)が作成されている。それぞれの地域において、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)や介護サービス情報(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)の認知症関連サービスの整理は最低しておきたいところである。そして、もう一つ、強調すべきと感じるのは、認知症予防である。市町村健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)では、「高齢者の健康」に関する目標値として、「介護保険サービス利用者の増加の抑制」「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」「高齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加)」が掲げられているが、もっと、認知症予防を前面に出せないものであろうか。介護予防マニュアル(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html)では「運動による認知症予防」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-sankou7-1-2.pdf)も示されており、今年の「健康づくりのための身体活動基準2013」と「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple.html)では、認知症予防としての身体活動が強調されている。平成23年度介護予防事業実施状況に関する調査結果(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yobou/tyousa/h23.html)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yobou/tyousa/dl/h23_01.pdf)では、基本チェックリストの配布は高齢者の55.8%で回収34.9%とのことであるが、将来的にネット活用が図れないであろうか。情報通信白書(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/pdf/index.html)(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/pdf/n4030000.pdf)によると、平成23年末におけるインターネット利用率は、60~64歳で73.9%、65~70歳で60.9%である。団塊世代では、ネットは常識であろう。団塊世代の認知症予防として、インターネットによるコミュニケーションやゲームがもっと活用されてもよいのではないか、と感じる。そういえば、厚生労働省の介護予防マニュアル改訂版(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/tp0501-1.html)の認知症予防・支援マニュアル(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1h.pdf)において、生きがい型として、囲碁、将棋、園芸、料理、パソコン、ウォーキング、水泳、ダンス、体操等が例示されていた。ユニークなところではアロマによる予防(http://www.excite.co.jp/News/bit/E1297073231646.html)もある。認知症について、深刻さばかり追及する風潮から転換できないものであろうか。
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B型肝炎母子感染予防と陽性者のフォロー

2013年10月31日 | Weblog
日本産婦人科医会が「B型肝炎母子感染予防方法の変更について」(http://www.jaog.or.jp/news/img-1025.pdf)を出しているのでみておきたい。妊婦健診(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ylvj-att/2r9852000001ymao.pdf)で肝炎ウイルス検査が実施されているが、以前、「B型肝炎母子感染防止対策の実施忘れ」(http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_49.pdf)が話題になった。母子感染予防だけではなく、肝炎ウイルス検査陽性の母親のフォローが気になる。例えば、「C型肝炎から肝臓癌に進行して死亡した患者について,C型肝炎ウイルス検査についての医師の説明・説得義務違反により,患者の死期を早めた可能性があるとして,慰謝料請求が一部認められた事例」(http://ci.nii.ac.jp/naid/110009596726)が出ているように、「肝炎ウイルス検査陽性者に対する説明・説得」の有無が医療訴訟に関わる。7月25日の肝炎対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000013314.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147186&name=shi1_2.pdf)p2では保健所・委託医療機関での検査後のフォローアップ状況が出ているが、はるかに受診者数が多い市町村検診でのフォロー実態はどうであろうか。3月13日の平成24年度全国健康関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/topics/tp130412-1.html)の肝炎対策推進室資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002uhts-att/2r9852000002ui6v.pdf)p8~に、市町村の健康増進事業による肝炎ウイルス検査の受診者数及び陽性者数が出ているが、陽性者のフォローの実態は出ていない。特に気になるのは、B型肝炎ウイルス陽性者のフォローである。肝炎治療特別促進事業;医療費助成(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/080328_josei.html)は平成20年度からスタートし、平成22年度からはB型肝炎の核酸アナログ製剤治療が助成対象に追加されたからである。保健関係者は、今年5月、日本肝臓学会が出した「B型肝炎治療ガイドライン」(http://www.jsh.or.jp/doc/guidelines/20130510_HVB_Ver1.1.pdf)を理解しておく必要がある。p11~に出ているように、エンテカビルの治療反応率は非常に高率である。p17に出ているように慢性肝炎の治療対象は、「HBe抗原の陽性・陰性にかかわらず、ALT 31 U/l以上かつHBV DNA 4 log copies/ml以上」「非活動性キャリアの定義を満たす症例でも、HBV DNAが陽性であり、かつ線維化が進展し発癌リスクが高いと判断される症例は治療対象となる。」は知っておきたい。p18では「治療をせず経過観察を基本とする症例のなかでも、発癌リスクの高い症例、すなわち40歳以上、男性、高ウイルス量、飲酒者、肝細胞癌の家族歴、HCV・HDV・HIV共感染、肝線維化進展例、肝線維化進展を反映する血小板数の低下例、ゲノタイプC、Core Promoter変異型などでは、定期的な画像検査による肝細胞癌のサーべイランスが必要である。」とされるが、適切にフォローされているであろうか。ところで、「B型肝炎治療ガイドライン」(http://www.jsh.or.jp/doc/guidelines/20130510_HVB_Ver1.1.pdf)p20で「HBVゲノタイプAは本邦において若年者間での水平感染に関与しており、都市部を中心にHBVゲノタイプAの割合が増えつつある。ことにHBVゲノタイプAeは本来欧米に多く存在したが、最近の検討から性行為や薬物乱用により本邦の若者の間で感染が広がっていることが明らかとなっている。」「HBVゲノタイプAでは急性肝炎後感染が遷延化する傾向があり、キャリア化しやすいことが特徴である。」とされる。肝炎ウイルス検査は一度で良い、とはいえないかもしれない。
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