保健福祉の現場から

感じるままに

在宅医療、地域包括ケアの行方

2013年10月23日 | Weblog
医療計画は、来年通常国会の「医療法改正」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000015540.pdf)による「病床機能報告制度、地域医療ビジョン」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000023379.pdf)の行方が注目である。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000023381.pdf)p26で「在宅医療、地域包括ケアや介護サービスの観点から、医療計画の中での市町村の役割を明確に位置づけるべきではないか。」とあり、この厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000023379.pdf)p13では、地域医療ビジョンの内容について、「1.2025年の医療需要;入院・外来別・疾患別患者数等、2.2025年に目指すべき医療提供体制;二次医療圏等(在宅医療・地域包括ケアについては市町村)ごとの医療機能別の必要量、3.目指すべき医療提供体制を実現するための施策;医療機能の分化・連携を進めるための施設設備、医療従事者の確保・養成等」が示されている。また、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000026440.pdf)p17で「医療機能の分化・連携について、二次医療圏ごとに協議する場を医療法上、規定することとするか。」が課題・論点になっている。厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36では「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、まさに「保健所」の存在がカギとなる。一方、老健局資料「在宅医療・介護連携の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000023381.pdf)p12に示すように、在宅医療・介護の連携推進は、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が主体となって取り組むこととし、適切に実施できる事業体に委託できる仕組みが検討されている。委託先は郡市医師会、あるいは地域ケア会議(http://www.pref.mie.lg.jp/CHOJUS/HP/kaisei/SVOL/SVOL_315.pdf)を考慮すると地域包括支援センター等が考えられる。ここでは「医療計画の中での市町村の役割を明確に位置づける」ことにも対応することになるはずである。一口に市町村、郡市医師会といっても格差が大きすぎる。地域包括支援センターもこれ以上の業務負担にどこまで応えられるか気になる方が少なくないであろう。国保情報2013年9月2日号「介護「地域包括ケア計画」に変更へ/厚労省方針」で「▼在宅医療・介護連携制度化「7期まで先送りを」市長会・町村会   28日の会合は第6期事業計画での地域包括ケアシステム構築に向け、意見交換した。在宅医療・介護の連携を推進するため、同省は連携推進事業を地域支援事業(包括的支援事業)に制度的に位置付ける方針を示したが、市町村サイドからは体制整備に時間がかかることから、6期計画からではなく7期計画(30~32年度)からとすべきだとの意見が相次いだ。大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長、高松市長)は「27年度から全市町村で実施するのは無理がある。30年度から必須事業化すべきだ」と制度化の先送りを主張。河村文夫参考人(東京都町村会長、奥多摩町長)も「人材がすぐに確保できる状況にはない」とし、「7期で必須化し、(それまでは)任意事業で実施してもらいたい」と要望した。」と報道されているように、市町村福祉サイドでは容易ではない雰囲気がある。また、在宅医療・地域包括ケアの観点からは、がん診療連携拠点病院(http://ganjoho.jp/professional/statistics/hosp_c_registry.html)による在宅緩和ケアの推進、認知症疾患医療センターによる認知症医療連携・医療介護連携の推進、広域リハビリ支援センターによる急性期~維持期の医療連携・医療介護連携の推進は、今後、一層重視しなければならないが、それらの医療施設は市町村単位ではない。まさにここは、市町村と保健所の連携・協働が不可欠と感じる。地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1344472453581/files/zenbun.pdf)では、p2、p5、p12で医療連携、医療介護連携に関する保健所の役割が示されている。地域保健法第8条(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)、介護保険法第38条(http://www.ron.gr.jp/law/law/kaigo_ho.htm)、精神保健福祉法第49条第3項(http://www.ron.gr.jp/law/law/seisin_h.htm)、健康増進法第18条第2項(http://www.ron.gr.jp/law/law/kenko_zo.htm)、母子保健法第8条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO141.html)など、各種法律で保健所による市町村支援が規定されていることも踏まえ、市町村をサポート・アシストする「保健所」の存在がもっとクローズアップされるべきである。全国保健所長会から厚生労働省に対する要望書(http://www.phcd.jp/osirase/130821yobo-1.pdf)p16では「保健所には、各種専門職の配置や医事薬事関連業務など市町村にはない特性があり、保健所と市町村との連携・協働による地域包括ケアを推進されたい。また、国の法令等において、地域包括ケアシステムの推進における保健所の具体的な役割について明記するとともに、各地(都市部、郡部)の優れた取組みの普及など、保健所が取り組むための技術的・財政的な支援を図られたい。」とある。まずは、例えば、介護サービス情報(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)だけではなく、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/index.html)、薬局機能情報(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/)、サービス付き高齢者向け住宅情報(http://www.satsuki-jutaku.jp/index.php)等も含めて、それぞれの地域において、従事者向け、住民向けの地域包括ケアガイドが必要と感じる。在宅医療・地域包括ケア推進のための各種の会議、研修、住民普及啓発など、今後、地域においてすべきことはあまりに多い。保健所、市町村、郡市医師会、地域包括支援センターなどの関係機関が一体となった取り組みが期待されるところである。
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