保健福祉の現場から

感じるままに

在宅医療の連携拠点

2012年10月28日 | Weblog
厚労省通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)p138~の「在宅医療の体制構築に係る指針」p147では、「地域の実情に応じ、病院、診療所、訪問看護事業所、地域医師会等関係団体、保健所、市町村等の主体のいずれかを在宅医療に必要な連携を担う拠点として医療計画に位置付けることが望ましい。」とされている。しかし、国立長寿医療研究センター 在宅連携医療部(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/index.html)の平成23年度在宅医療連携拠点事業総括(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/20120912_soukatsu.pdf)では、「今後、在宅医療を地域全体に普及させていくためには、地域全体を見渡せ、中立的な立場で関係者間の調整を行うことができる市町村が中心となって、医師会等の関係団体と協力しながら、積極的に取り組む主体を支援し、医療・介護関係者の緊密な連携を図ることが適切と考えられた。」とされた。地域によっては、自治体立の医療機関を中心に医療介護連携を推進しているところも少なくないが、例えば、がん緩和ケアでは、がん診療連携拠点病院を含めた広域的な連携が重要になっている。脳卒中連携も一つの自治体で完結できるとは限らない。さらに、自治体立の医療機関がないところでは、「医療との連携」の推進は、市町村だけではキツいかもしれない。例えば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm-att/2r9852000001oxlr.pdf)p17~19の地域包括ケアに関する保険者の評価項目では、「地域連携パスの作成」「地域の急性期病院との連携のための会議」「地域連携パスを協議する場」「地域の回復期病院、維持期リハ関連施設との連携のための会議」など、医療に関連した項目の実施率がかなり低い。おそらく、「薬局を活用した在宅服薬指導、在宅麻薬管理」もそうであろう。「医療」抜きの地域包括ケアはあり得ないことはいうまでもない。日本医師会「「介護保険における医療との連携-介護報酬改定を見据えて-」について 地域を支える医療と介護の連携を目指して」(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120322_1.pdf)p12では「地域で生活を続けていくためには、往診、訪問診療、訪問看護など地域における在宅医療体制を確立する必要があるが、現状の在宅療養は介護サービス優位で進んでいる。」とされる。市町村・地域包括支援センターが拠点を担う場合には、医療計画(在宅医療、がん、脳卒中等)を推進する保健所の支援を期待したいところである。さて、厚労省から「在宅医療・介護連携において関係者にお願いしたい役割」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_03.pdf)として、「保健所等を通じた市町村への技術支援(医療(・介護)資源の可視化等)」が示されているが、資源の可視化以上に重要と感じるのは、関連機関・団体との信頼関係に基づく顔の見えるヒューマンネットワークの構築である。保健所は、①医師、保健師、薬剤師、管理栄養士等の様々な専門職がおり、それぞれの職能団体とのつながりがある、②医療機関、薬局の立入検査(監視)や医療従事者の免許事務を行っている、③介護保険法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kaigo_ho.htm)第38条、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第8条、健康増進法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kenko_zo.htm)第18条2など、各種法律で保健所による市町村支援が規定されている、④保健所は保健・福祉、医事・薬事等の包括的な事業を所管している、⑤老人福祉法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S38/S38HO133.html)第8条で、保健所による老人福祉施設等に対する栄養改善その他衛生事項に関する協力が規定されている、等、地域包括ケアを推進する上で絶好の立場にあることは認識したい。保健所の介護保険事業計画策定委員会への参画は当然として、病院地域連携室(協議会)、ケアマネ協議会、地域密着型サービス協議会、訪問看護事業所や地域包括支援センター協議会などとのつながりを持ちたいところである。先般の都道府県リーダー研修(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/jinzaiikusei/leader01_doc.html)に参加した保健所長は2名であったと聞いたが、もっと増えても良いのではないかと感じる。
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