陶器市で知られる京都、五条坂沿いに、落ち着いた構えのお店、京位牌、仏像を製作する「冨田工藝」があります。


ミモロは、そのお店の前を通るたびに、中を覗いていました。ある日、思いきって中へ。
店内には、仏像や御位牌が並んでいます。


それと一緒に、まだ彫られていない仏像や、彫りかけのものなども並んでいます。


「こういうお店、初めて見たー」とミモロは、興味津々。東京生まれのミモロは、位牌を売っているところは見たことがあっても、実際に作っているところを見たことはありません。
店内に、かすかに漂う木の香り。お店の奥には、作業する方の姿が。

この「冨田工藝」で、長い歴史の中で培われた京都の伝統の技を受け継いでいる三代目の仏師、冨田睦海さん。

幼い頃から、その作業を見て育ちました。でも、進んだのは、美術系の大学ではなく、仏教を勉強する大学。
「仏像や位牌は、単なる彫刻作品ではなく、そこには、深い信仰の意味合いを持っています。あるゆる形には、昔から伝わる意味があり、その成り立ちや込められた意味を知ることが、仏師には、必要なことだと思っています」と。
亡き人を思い、またご先祖様に感謝する祈りの対象となる御位牌。ここでは、家庭の仏壇に納められるものから、お寺に置かれるものまで、さまざまな種類の位牌が作られています。京都の伝統のものづくりは、それぞれの作業を専門の職人さんが分業で行いますが、位牌も同じで、ここでは、彫が行われ、それを漆や金箔を塗る作業は、別の職人さんが行います。
「お位牌を作るのも、いろんな作業工程があるだねー」とミモロ。「そうです。ここでは、その作業工程をトータルに管理して、完成品をお納めしています」と冨田さん。
では、さっそく、ここで行われる彫の作業を見学させて頂くことに…。


作る位牌の寸法や形を、木材から切りだし、それぞれの段にホゾをあけたり、側面を整える作業が、まず行われます。

側面は、鉋で形を整えます。

「わーサッササーって、鉋が掛けられてくー」と、冨田さんの作業に見惚れるミモロです。
「なんか鰹節を思い出す…」と、削らた木くずを見て、ポツリ。

木地に使うのは、松や檜が多いそう。
その作業の後、いよいよ彫刻が始まります。
冨田さんの脇には、たくさんの彫刻刀。

さまざまな模様を彫るためには、50種類ほどの彫刻刀を使い分けるそう。


「よく見せてー」と、ミモロは、冨田さんのすぐそばへ。

台座の部分は、蓮の花の形です。

作業途中の形は、こんな感じ。

「蓮の花も、まだ開ききっていない形や開ききった形など、いろいろあるんですよ」
「今度、注意して見てみようー」と、密かに思うミモロです。
何気なく見ていたお位牌…そこにも、京都の伝統の技が…。
最近は、中国やベトナムで作られた位牌も多く、値段もさまざま。ここ「冨田工藝」の位牌は、すべて手づくり。もちろん値段もそれなりに…。でも、大切な方を思う時、やはり心のこもったお位牌をと…冨田さんの作業を見て、考えます。亡き方を思い、お位牌も心を込めて選びたいもの。毎日、手を合わせるお位牌ですから。
さて、冨田さんは、昨年から、東日本大震災で被災した方の心に沿うための小さなお地蔵様をいろいろな方に彫ってもらい、被災地へと送る活動を始めました。それが「わらべ地蔵を被災地へ」プロジェクトです。明日は、そのお話を…。

*「冨田工藝」の詳しい情報は、ホームページで

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