京都の烏丸通から、高辻を東に進んだところにある「上羽絵惣株式会社(うえばえそう)」は、宝暦元年(1751)の創業。日本最古の歴史を誇る日本画用絵具専門店です。

日本画の巨匠たちも、この店の絵具のお世話になってきました。
「わー歴史を感じさせる看板…」店内にある木製の看板が、店の歴史を静かに物語っています。

ここでは、今も、昔ながらの技法を受け継いだ熟練した職人さんが、手作業で、絵具を作っています。
日本画の絵具は、岩絵具という色のある鉱物を粉末状に砕いた顔料です。一般に、顔料は、水や油に溶けないもの、溶けるものは、染料と呼ばれます。また岩絵具は、粘着性がないので、使うには、接着剤として、膠(にかわ)などを混ぜて描きます。
ミモロは、特別に顔料を作っている工房の奥へ入れてもらいました。
「うー間口は、それほど大きくないけど、奥が深いー」と、京都の町家らしく、深い奥行。途中には、大きな岩がゴロゴロと置かれた中庭も。

そして一番奥には、土蔵があります。「なんか歴史を感じさせるお蔵…」

「ちょっと覗いちゃおう…」と中へ。

お蔵の中には、顔料として完成される前の材料などが山積みされています。
「ミモロちゃん、日本画の絵具は、こういう鉱物からできているのよ」と、見せてくださったのは、美しい青を作るラピスラズリ。

「これを、砕いて絵具にするの?天然の石なのに本当にキレイ…」と、ミモロは、その青にうっとり。

「自然ってすごいねー。どうしてこんなにきれいな色を作れるんだろ?」と、改めて自然の力の素晴らしさを実感するミモロです。
土蔵に至る細い通路も、作業をする場所。そこでは、原料から、不純物を取り除いたり、いろいろな作業が行われます。


現在、天然の岩絵具は、すごく貴重で、値段も高額。色の種類も少な目です。そこで、多く用いられているのが、人造岩絵具や新岩絵具と呼ばれるもの。ここでは、陶磁器の上絵具などを主原料に、それを高温で焼き固め、粉末状にしたものなどを使用しているそう。色の種類も多数そろっています

「わーキレイ…」
絵具の完成までには、さまざまの工程があり、そのひとつひとつに、長年培われた職人の技が活かされているんです。火を使ったり、また水を使う作業も多く、冬場の作業は、なかなか大変そう…。
水、火、乾燥させるための風、原料となる岩など、まさに自然の恵みから作られるのが、日本画の絵具です。
「やっぱり自然って、ありがたいねぇー」とつくづく思ってしまいます。
「これが、絵具になるの?」いろいろな場所に積まれた原料。

「製品になるまで、まだ随分手間がかかるんだねぇ」

再び、お店の方に戻ると、片隅で、何やら作業している人が…。

「なにしてるんですか?」とミモロは、興味津々。
完成した水干絵具という粒子が細かく、のびに優れ、色を混ぜて使える絵具の梱包作業です。

「わーきれいな色ー」

「お手伝いしようかな…」と秤に近づくミモロです。

自分が秤に寄りかかってはダメじゃない…。

「あ、そうねー」作業の邪魔になるので、ミモロは、そばで見守ることに。

日本絵具の発色は、独特のものがあります。自然の色彩を基に、どこか温かみを感じさせるもの。
昔から、高い品質を誇る絵具を製造しつづけている「上羽絵惣」。ここの絵具を使った画家さんは、いったいどれほどいるのでしょう。「きっと美術館やお寺で見る、日本画や襖絵なんかに、ここの絵具が使われているよねー」

「ミモロもこんなキレイな絵具で日本画を描いてみたいなぁー」と、お絵描きが得意なミモロの夢は広がります。

「ミモロちゃん、お爪におしゃれしてみない?」と。「えーなあに…」女の子のミモロは、おしゃれと聞くと耳がピクピク。「絵具屋さんに、ネイルカラーがあるの?なんでー」と、不思議そう…
*「上羽絵惣」の詳しい情報は、ホームページで。

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