蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

寂しい人

2008-12-09 | 仕事
ビジネス街にある、オール300円の、こじんまりした居酒屋の常連客B氏。
いつも端っこの予約席が確保され、毎日欠かさず18時に、店に寄る。

B氏は、某中堅企業、企画室の室長。
最近、企画室の総人員数を半分に削減された。
室長と言えど、いつ自分が肩を叩かれる日が来るのかと、ひやひや。
脂の乗った若手が、あとに控えている。
もう結構なお年で、(契約室長でもあるので)帰宅は早い。

「宝くじで3億円当たったらどうします?」
たまたま居合わせた、元部下に聞かれ、
「こんな300円の店になんか行かずに、もっとマシな店に行く」
と答えるB氏。

マスターが目の前にいるのに、失礼な発言。
「仕事なんか、即、やめる」とも。

へえー、そうなんやー。
お金のために仕事をする、というのは、当たり前のことなので、
非難する気持ちなどサラサラない。
しかし、いつもニコリともせず、他人をこき下ろす。
寂しいことをおっしゃる人だ。

サラリーマンは、お小遣いを減らされ、大変な現実。
B氏は、バツイチで、子供さんとも絶縁状態なので、すべて自己管理。
私生活は、永年、好き放題。
若いとそれでも、他人の目には素敵に映るかも知れないが
もう、ある程度、年をとると、律した生活を送る人のほうが、好印象を受ける。

「仕事をやめて、どうされるんですか?」
「北海道で、馬を飼育する」
「そういうえば、Bさんは、北海道のご出身でしたよね」
B氏は、大の競馬好きで、そう言ってるだけなのだが。
まあ、宝くじが当たったら、とういハナシ。

私は、B氏とは、感覚や感性、価値観は、なんの接点も共通することもない。
興味も全く違う。関心事や楽しいことも、まるで違う。
ただ単に、仕事がらみで、知っているだけ。
ツライ立場はわかるが、皆、大なり小なり色々抱えている。
お酒の場で、嫌なものをその日のうちに、
きれいさっぱり落として帰りたいのだろうけれど。

この人には夢がない、活気がない。
いいお年なのだが、熟成された円熟味も感じられない。
あるのは、ガリガリにやせこけた、厚みのない、温かみのないハート。
仕事以外で一緒に居ても、なんのメリットも、楽しいこともない。
私だけがそう感じるのか、他の人もそう感じるのかは、知らないが

B氏は、安い居酒屋の定位置で、いつも独り、時を過ごす。