常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

大境山

2020年09月27日 | 登山

国道113号線を小国方面に向かうと、県境近くの関川の辺りにくると、大きな山が左右に見える。左には光兎山、右には大境山(1103m)が眼前に迫るように聳えている。いずれも山の会に入って、複数回頂上を踏んだ山だ。今週はそのうちの大境山へ、しばらくぶりに登ることになった。折から台風12号が、東の海上を北上し、前日まで風と雨に見舞われた。予報では、天候は回復し登山可となったが、台風一過の快晴というわけにはいかなかった。停滞している秋雨前線、次々に現れる低気圧、雷と大雨がいつ発生するか分からない不安定な条件のなかでの山行であった。

大境山は新潟と山形の県境にあって、飯豊三角の一郭を占め、山頂からは飯豊の素晴らしい眺望がほしいままとなる。山形百名山に選ばれ、そのグレイドは体力度B、技術度は3に位置づけられている。登りのコースタイムは3時間30分となっているので、百名山の内でも30番以内のグレイドの山ということになる。登山口は小国町中田山崎にあるバス停の裏になっている。ダム手前の堰堤を渡る登山道へと続いている。この小国の集落は長い歴史がある。越後への交通の最奥の要衝であったため、御役屋と呼ばれるところへ警備の役人が詰めていた。越後へは交通は越後街道13峠と呼ばれる急峻な山道であり、今に残る黒沢峠の古道などが当時の俤を今に残している。

大境山の山中では、麓ではなお夏の季節を残していた。登山道ともいえぬ広い道は、集落の人々が山に入り、山菜やキノコ、薪や木材など山の幸を求めて入山していた道のようにも思える。ただ、歩く道はしっかりつけられており、ヤマップでは登山道として記載されていて、道迷いなどの心配はない。ブナの深緑はまだ秋を感じさせない。山道は急登の連続で、休みながら登っていく。日は雲に遮られて山中に届かない分暑さは凌げるが、湿度が高く汗が吹き出してくる。風はほとんどなく、蝉や鳥の声もない静かな山中である。本日の参加者12名、内男性5名。仲間の談笑の声のみが響いている。
高度を上げて1000㍍の尾根道には、少しづつ秋が忍びよっている。ウルシの葉の紅葉が所々に見られる。見晴らしのきく尾根道にでても、深い霧で展望はない。迫力満点の飯豊の山並みが迫ってくるはずだが、深い霧が流れ、葉についた水滴が時おり落ちてくる。先週の燧ケ岳に比べると、はるかに歩きやすい道だ。筋肉の疲労もさほどではない。登り始めて4時間ほどで、頂上に辿りつく。グレイドの高い山であるだけに、その4時間の中身は重いものがある。うっすらと見える高みが頂上かと思うが、そこへ着くと更にその先に頂上が見えている。誰が呼んだか偽ピーク。急登なるが故に、疲れ始めた登山者が都合のいい解釈をするためであろう。

頂上には山頂を示す標識もなく、三角点を示す小さな石柱があるのみ。しかも狭い頂上である。シーツを敷いて身を寄せるようにして昼食。早朝に出てきたため、みな空腹になっている。それにしても山中で会った人は、若い男性が一人だけ。登山口に置いてあって新潟ナンバーの車はこの人のものであったであろう。昼食を終えると、展望も得られず、雨も予想されるので下山。いつも感じるが、下山の時に山の勾配が急であることを実感させられる。転倒に注意しながらゆっくりと下る。今日の歩きは、次週の会津駒ヶ岳の急登につながっている。4時下山して梅花皮荘の露天風呂で汗を流す。登山の後の温泉の心地よさは、なにものにも変えられない。
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