常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

金峰山

2018年07月18日 | 登山

山旅2日目、金峰山の登頂をめざす。標高2599

m、瑞墻山よりほぼ370m高い。そして山頂ま

で距離も2㌔ほど長い。小屋での朝食は5時。

ヒマラヤ登山で食べられているという雑炊。

美味に加えてお腹にやさしい。

食後、すぐに出発、早朝と昨夜の快眠が有利

な条件だ。

昨夜から朝にかけて、我々の関心事は、

尾根からの眺望、富士山が見えるかという

ことであった。

結論から言うと、すそ野を雲でかくしなが

らも蛇笏が詠んだような空の中の富士をみる

ことができた。

尾根に上がる直前、急な坂になった。

石が露出しているが、シラビソの木で

日がさえぎられる。ときおり心地よい風に

吹かれて、汗が引く。下ってきた中年の女性が、

「ここを過ぎると見晴らしがよくなりますよ。

もう少しですよ」と励ましてくれる。

振り返ると昨日登った瑞牆山がはるか下方に

見えている。

地図を見ると、よく「見返り坂」というのを

見つける。山に登るものは、昨日の疲労や感動

を呼びおこして、前に進む力にするものらしい。

深田久弥の『日本百名山』で自分が登ったもの

を数えるとこの金峰山が38座目になる。

「あといくつ登れるか」と仲間に弱気を吐くと、

「40を目指して」と励まされる。

2000mを過ぎてまだ森林限界にならない。

瑞牆山もこの金峰山も、シラビソに混じって

シャクナゲが咲く。標高の高い金峰山には、

所々に白いシャクナゲが咲きのこっている。

ブナの山に登ることが多いものにとっては、

この山の樹林帯の林相はずいぶん違った

ものに見える。

林床にササやアオキ、ユズリハなどの低木が

なくカラッとしている。シャクナゲのほかに

高山の花たちもなくやや淋しい感じだ。

小屋を出て4時間30分、五丈岩向かいの

頂上を踏む。人人、人余りの多さにただ驚く。

中学か高校生くらいの若い顔が目立つ。

頂上からの眺望は、360°の解放感。

足の疲れも忘れ、そのここちよい達成感に

しばし浸る。

志賀重昂の『日本風景論』、金峰山の記述

を引いてみる。

「宿泊用に供すべき一屋あり、此所より正

しく登り始め6百米突の高さを登れば絶頂に

達す、その間花崗岩の大塊磊落とし、山径

嵯峨、懸梯二個所、鉄鎖を繋ぐ所三個所あり、

絶頂の八間余の花崗岩塊あり、ちくちくと

して攀づべからず、頂より北に浅間山、

東に秩父の連山、南に富士山、西に八ヶ岳を

望む。」

志賀が書く、花崗岩の大塊である。

五丈岩と呼ばれ攀じるのを試み人もいる

ようだ。この岩かげで小憩、恵まれた天候、

全員が故障もなく登頂できた幸せを

しばらく語る。

同じ年代の人たちと顔を合わせると、

同志のような不思議な連帯感が生まれる。

いよいよ、安全を誓って下山。途中の木立

のなかで昼食。2時24分、富士見平小屋到着。

暑さが強まり持参した水を飲み切り、小屋の

水場で補給。思う存分に水を飲む。

 

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