青空のもと樹々の葉は枯れて、風もないの
に散っていく。散り敷いた落ち葉もまた美
しい。だが、こうした光景を見るとなぜか
心に悲しい気持ちが起こる。人には、この
季節がくると、やがて厳しい冬の寒さがや
ってくることを本能的に知っている。原始
の時代から知恵を駆使して生き延びてきた
歴史が身体に刻み込まれている。そこには
その厳しさに耐えきれずに悲しい死を遂げ
た祖先の思いが幾層にも積み重なっている。
良寛の歌がそのことを知らしてくれる。
秋もややうらさびしくぞなりにけり
いざ帰りなむ草の庵に 良 寛
この感情は洋の東西を問わない。また老若
を問わずひとしく人の抱くところだ。ドイ
ツの抒情詩人クロアサンの「秋」を読んで
欲しい。上田敏の訳詩集『海潮音』より。
けふつくづくと眺むれば、
悲しみの色口にあり。
たれもつらくはあたらねを、
なぜに心の悲しめる。
秋風わたる青木立
葉なみふるひて地にしきぬ。
きみが心のわかき夢
秋の葉となり落ちにきむ。
ここ数日、朝、霧がたちこめる。ここにきて
冬は少しだけ停滞しているように見える。平
年に比べて気温が高く推移しはじめた。
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