常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

桔梗

2018年07月19日 | 

歳時記をひくと、桔梗は秋の季語である。

万葉集で憶良が詠んだ秋の七草の朝顔は

桔梗をさすというのが定説である。

セミも鳴かず、梅雨が明けたばかりの

猛暑の日に、秋の花と言われても腑に落

ちない。

しかし、その花の姿がかもし出す雰囲気

は、秋の冷気が似合っている。

小林一茶が桔梗を句に詠んでいる。

 きりきりしゃんとして咲く桔梗哉

一茶は、きびきびとしておしゃんな女性

を、桔梗の見立てて詠んだように思われ

る。 

北村季吟の『山の井』に

桔梗笠といふあれば、花の顔隠せ

とも、人目忍ぶの草隠れなる心を

云いひなし、瓶に活けては亀甲と

云ひ、首途を祝ふ挨拶に、帰京など

とも云へり。

という面白い記述がある。この花を見る

度に、もう亡くなった近所のお婆さんを

思い出す。戦争で夫を亡くし、女手ひと

つで息子を育てあげた。新築した自宅の

庭に、住んでいた古い家から、桔梗を

移植し、大切に毎日水をやる姿が忘れ

られない。

 

コメント (2)
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