キンシバイとビヨウヤナギ、どちらもオトギリソウ科の低木で、黄色い花を咲かせる。見分けは長い雌しべだ。葉が細く長いのでヤナギに見立てられた。未央ヤナギと表記する。白楽天の長詩
『長恨歌』に、戦を終えて皇帝は長安に帰るが、もはや皇帝の寵愛をほしいままにした楊貴妃の姿はない。皇帝が、妃を回想して
太液の芙蓉 未央の柳
芙蓉は面の如く 柳は眉の如し
池のなかで咲く芙蓉の花を見て、妃の顔を思い起こし、未央ヤナギの葉を見て、妃の眉を思った。そして、皇帝の涙は、とどめることもできず、滂沱として落ちるのであった。
このビヨウヤナギの葉を妃の眉に例えるのは、いささか的を得ていない気もするが、白楽天の長詩は、このような比喩を交えながら、格調高く詠まれる。