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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0017「行き違い」

2025-03-30 16:17:41 | 超短編戯曲

   ビルの屋上。夕焼けが街を染めている。女がひとり、たたずんでいる。そこへ男が現れる。
男「どうしたんだ。こんなところへ呼び出して?」
女「あっ、ごめんね」
男「いいけどさ。なんかあった? また、ミスでもしたんだろ」
女「そんなんじゃないよ。……」
男「悩みごとか? まあ、恋愛のこと以外だったら、アドバイスしてやるよ」
女「……。何で、何でそんなこと言うの? 芳恵のことなんか、もう忘れてよ」
男「えっ? どうしたんだよ」
女「芳恵はあなたを捨てたのよ。それなのに、あなた…」
男「やめろよ。あいつのこと、悪く言うのは…」
女「もう一年よ。いなくなった人のことを…」
男「分かってるよ、そんなこと。でも…」
女「でも、何よ」
男「そんな話しだったら、俺、もう行くよ」(女から離れていく)
女「私、あなたのそばにいるわ、ずっと。だから…」
男「……」(ふり返る)
女「好きなの、あなたのこと。芳恵が好きになる前から、あなたのことが好きだった」
男「……」(困惑した顔つき)
女「あーあ。やっと、言えた!」(笑顔になる女)
男「えっ? どういうことだよ」
女「ああ、もういいのよ。忘れて、今のは」
男「(女に近づき)忘れてって…?」
女「私ね、あなたに初めて会った時から好きになっちゃって。ずっと、告白しようって思ってたの。でも、あなたは芳恵と付き合い始めて…。彼女と別れてからも、あなたは私のことなんかちっとも…」
男「だって、それは…。あいつの親友だし…」
女「私、もう悩むのに疲れちゃったの。それに、自分を変えないと、前には進めないって気づいたんだ。だから、こんな片思いからは、今日で卒業します」
男「何だよ、それ」
女「明日からは、会社の同僚として、よろしくお願いします」
男「あのさ、何かおかしくない? こんなこと聞かされたら、俺はどうすればいいんだよ」
女「別に、今まで通りでいいんじゃない。何も変わらないわ。そうでしょ」
男「いや、変わるだろ、普通。好きだって言われたら、こっちだって…」
女「もう、しょうがないな。じゃあ、ハグしましょうか? それなら…」
男「だから、そう言うことじゃなくて…。何か違うだろう? なんて言うかなあ…」
女「わかった。じゃあ、キスしてもいいわよ。それで、おしまい」
<つぶやき>女はしたたかな生き物です。注意して取り扱いましょう。優しくしてね。
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