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みけの物語カフェ ブログ版

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1492「その生きもの」

2025-04-03 17:14:31 | ブログ短編

 その生(い)きものは、何の前触(まえぶ)れもなく現(あらわ)れた。そして、その姿(すがた)を見た人間(にんげん)たちはかわいいと感(かん)じてしまった。でも、それはその生きものの戦略(せんりゃく)だったのかもしれない。誰(だれ)もがその生きものを欲(ほ)しがった。所有欲(しょゆうよく)を掻(か)き立てられたのだ。その生きものは人間たちによって生存(せいぞん)が保証(ほしょう)された。そして、人間たちはその生きものの繁殖(はんしょく)に躍起(やっき)になった。何でも食(た)べるので誰にでも飼(か)うことができたし、増(ふ)やすのに特別(とくべつ)なことは何もなかった。
 その生きものはどんどん増え続(つづ)けた。不思議(ふしぎ)なことに、ある時からその生きものはいろんな姿に変化(へんか)していった。これはもう進化(しんか)と言っていいのか…。姿を変えるたびに高値(たかね)で売(う)れていく。人間たちはますます繁殖にのめり込(こ)んでいった。そして、とうとうその時が来てしまったようだ。これは、その生きものの最終形態(さいしゅうけいたい)なのかもしれない。
 しばらくして、どういうわけか各地(かくち)で失踪(しっそう)する人間が増え始(はじ)めた。周(まわ)りにいた人間たちは、金銭問題(きんせんもんだい)とか人間関係(にんげんかんけい)で悩(なや)んでいたとか、いろいろ憶測(おくそく)した。だが、どれも的外(まとはず)れのものだった。まさか、その生きものが関係しているとは誰も思わなかった。
 最終形態まで行き着(つ)いたその生きものは、人間を食料(しょくりょう)として認識(にんしき)したのだ。人間から栄養(えいよう)をとるのが一番(いちばん)だと知ってしまった。そして、人間たちがそのことに気づいたとき、もはや手遅(ておく)れだった。人間たちがどうあがいても、その生きものをせん滅(めつ)するのが不可能(ふかのう)になっていた。ここから、長(なが)い長い戦(たたか)いが始まったのだ。
<つぶやき>これは宇宙(うちゅう)から来た生きものだったのでしょうか? 人間は生き残(のこ)れるのか。
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