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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1197「待ち人」

2022-02-04 17:51:06 | ブログ短編

 彼女には、過去(かこ)に戻(もど)ることができる特殊能力(とくしゅのうりょく)があった。それに気づいたのは高校生(こうこうせい)のとき…。失恋(しつれん)したことがきっかけだった。それ以来(いらい)、彼女はことあるごとにその能力(ちから)を使ってきた。
 ある時、彼女が過去へ戻ったときのことだ。彼女は、見知(みし)らぬ男から声をかけられた。その男は、彼女の能力(ちから)のことを言い当(あ)てて言った。
「もう、その能力(ちから)は使わない方がいい。取り返しのつかないことになるぞ」
 彼女は警戒(けいかい)して、「何でそんなことを…。あたしの勝手(かって)でしょ。あなたにそんなこと…」
「君(きみ)も気づいているはずだ。身体(からだ)の具合(ぐあい)が悪(わる)いんだろ?」
「そ、そんなことないわよ。だって、今は元気(げんき)いっぱいの女子高生なんだから」
「はっきり言うが…。確(たし)かに今の君は高校生だ。見た目はその頃(ころ)と変わらないかもしれない。でも、過去へ戻ったからって、若返(わかがえ)っているわけじゃない。君の身体の年齢(ねんれい)はとっくに三十路(みそじ)を越(こ)えているんだ。これ以上(いじょう)続けると、中年(ちゅうねん)の女子高生になってしまうぞ」
「や、やめてよ。そんなこと言わないで…。だって…、仕方(しかた)ないじゃない。いろんなことが、思うようにいかないし…。あたしだって、こんなこと止めたいわよ」
「じゃあ、これで止めるんだ。これからは俺がそばにいてやるから」
「あなた、誰(だれ)なの? 何でそんなこと…」
「俺は、お前と出会(であ)うはずだったんだ。いつまで待(ま)っても来ないから、迎(むか)えに来た」
<つぶやき>思うようにいかなくても、その先(さき)に幸(しあわ)せなことが待っているかもしれません。
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