彼女は思(おも)い悩(なや)んでいた。友だちから突然(とつぜん)告白(こくはく)されたのだ。今まで、まったくそんなこと考(かんが)えたこともなかった。だから、急(きゅう)にそんなこと打ち明けられても――。
彼女は他(ほか)の友だちに相談(そうだん)してみた。すると、その友だちは、
「付き合っちゃえばいいじゃん。あいつ、いいヤツだし…。お似合(にあ)いだよ」
いいヤツだってことは分かってる。友だちとして付き合ってきたんだから…。でも…。あの人と恋人(こいびと)になるってことが、どうにもピンとこない。
「こんなことを思ってしまうのって、あたしだけなのかしら?」
彼女はため息(いき)のように、ぽつりと呟(つぶや)いた。
――もし、あの人と付き合ったとして、あの人のこと恋人としてみることができるんだろうか? 好きっていう気持(きも)ちがわき上がってくるんだろうか? どう考えても、友だち以上(いじょう)に好きになることなんか…。
彼女は、心を決(き)めた。やっぱりあの人とは付き合えない。あの人に返事(へんじ)をしなきゃ。
彼女はまた考え込んだ。「ごめんなさい」と言うのは簡単(かんたん)だ。けど、その後(あと)、あの人と今まで通り友だちでいられるだろうか? あたしの方は割(わ)り切ることはできるけど、あの人は…。あたしに振(ふ)られてしまったあの人は…、どうするんだろう?
<つぶやき>彼の方も、考え抜(ぬ)いて告白したんだよ。きっと、友だちでいてくれると…。
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