みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1037「見る目」

2021-02-28 17:53:55 | ブログ短編

 恋(こい)に悩(なや)んでいる彼女に、同じ職場(しょくば)の先輩(せんぱい)が苦言(くげん)を呈(てい)した。
「あの人とは別れなさい。あなたは見る目がなさすぎなのよ。あの人は、誰(だれ)にでも優(やさ)しい言葉(ことば)をかけるんだから」
「でも、あたし、好きになっちゃったんです。先輩には、この気持(きも)ち…」
「あんな口先(くちさき)だけの男、信用(しんよう)しちゃダメだって。他にも付き合ってる女いるんだから」
「何で、先輩にそんなことが分かるんですか? あの人は、そんな人じゃ…」
「もうっ…。じゃあ、言っちゃうけど…。あの人、私の元彼(もとかれ)なの。だから、分かるのよ」
 この言葉に、彼女は口をあんぐりとあけた。先輩は、
「もちろん、あなたが、ここへ来る前の話だからね。今は、まったく…、何にもないから」
「そうだったんですか? じゃあ、先輩…、振(ふ)られちゃったんですね」
「ち、違(ちが)うわよ。私から振ってやったのよ。他の女と付き合ってたくせに、私に嘘(うそ)までついて……。もう、私のことはいいから。今はあなたの話をしてるの」
「あたし、決(き)めました。あの人とは別れます。だって、先輩みたいな良い女を泣(な)かせるなんて、絶対(ぜったい)に許(ゆる)せません。あたし、先輩について行きますから」
「ちょっと待って…。私、別に泣いてないからね。それに、私について来られても…」
「大丈夫(だいじょうぶ)です。あたしたち、同じじゃないですかぁ。一緒(いっしょ)に幸(しあわ)せになりましょ」
<つぶやき>職場恋愛(しょくばれんあい)も大変(たいへん)なんでしょうねぇ。とにかく、見る目を養(やしな)っておきましょう。
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