みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1030「しずく121~おとなり」

2021-02-14 17:45:47 | ブログ連載~しずく

 水木涼(みずきりょう)は、烏杜(からすもり)高校の近くにあるアパートに住(す)むことにした。ここなら、朝寝坊(あさねぼう)しても学校(がっこう)に遅刻(ちこく)しなくてすむからだ。
 朝、涼は余裕(よゆう)で部屋(へや)を出た。その時、隣(となり)の部屋のドアが開いた。中から出てきた人を見て、涼は思わず呟(つぶや)いた。「初音(はつね)…? な、なんで…」
 それは、川相(かわい)初音だった。初音はいつもと変わらず返事(へんじ)を返した。
「今日は寝坊しなかったのね。良かったわ。起こしに行こうかと思ってたのよ」
「何で隣にいるんだよ? 昨日(きのう)、そんなこと一言(ひとこと)も言ってなかっただろ」
「さぁ、行きましょ。せっかく早く起きたのに、遅刻したら何にもならないわ」
 初音はさっさと歩き出した。涼は、慌(あわ)てて部屋の鍵(かぎ)をかけると、初音を追(お)いかけた。
「ちょっと…待てよ。あっ、まさか…。先生(せんせい)に住むとこ探(さが)してもらったのか?」
「そうよ。先生から、あなたのこと頼(たの)まれたのよ。ちゃんと見てあげるようにって――」
 二人は何だかんだと言い合いながら、いつの間(ま)にか仲良(なかよ)しに戻(もど)ったようだ。校門(こうもん)の前まで来ると、初音は立ち止まった。初音にとっては久(ひさ)しぶりの学校だ。初音は、ここに戻(もど)るつもりはなかった。でも、しずくから学校に登校(とうこう)するように言われたのだ。
 教室に入ると、人だかりができていた。その中心(ちゅうしん)にいた生徒(せいと)を見て、二人は目を見張(みは)った。そこにいたのは、神崎(かんざき)つくねだったのだ。
<つぶやき>つくねが戻って来ました。でも、どうして…。あの父親から逃(に)げ出したのか?
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