みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1024「大量絶滅」

2021-02-02 18:20:52 | ブログ短編

 教授(きょうじゅ)が助手(じょしゅ)を引き連(つ)れて、荒野(こうや)にある丘(おか)の斜面(しゃめん)にやって来た。教授は斜面を削(けず)りながら、地層(ちそう)をつぶさに観察(かんさつ)していく。そして、とうとう目的(もくてき)の地層を発見(はっけん)した。教授は、
「見たまえ、この細(ほそ)い部分(ぶぶん)を…。我々(われわれ)が発見した地層と同じものに違(ちが)いない。分析(ぶんせき)すれば、この地層からも隕石(いんせき)に由来(ゆらい)する物質(ぶっしつ)が見つかるはずだ」
「教授、千キロ以上も離(はな)れているんですよ。本当に同じ地層だとすると…」
「そうだ。第六の大量絶滅(たいりょうぜつめつ)が巨大隕石(きょだいいんせき)によって引き起こされたことが証明(しょうめい)できる。いいかね、ホモサピエンスが絶滅したのが、今から6600万年前だ。それは、化石(かせき)や遺物(いぶつ)がそれ以降(いこう)ではまったく発見されていないことからも明(あき)らかだ。ちょうどここが、その年代(ねんだい)の地層なのだよ。これがまさに、大量絶滅の証(あか)しなのだ」
「教授…。ホモサピエンスって、あの奇妙(きみょう)な身体(からだ)の生物(せいぶつ)ですよね。2本ずつの足(あし)が違う動きをしていたとか…。化石を見ただけでは、どうやって生きていたのか見当(けんとう)もつきません」
「君(きみ)は勉強不足(べんきょうぶそく)だぞ。もっと想像力(そうぞうりょく)を働(はたら)かせるんだ。彼らは2本の足だけで立っていたんだ。そして残(のこ)りの足で物(もの)をつかんだり道具(どうぐ)を作っていたんだろう」
「どうして、そんな不恰好(ぶかっこう)な身体になったんでしょうか? 私たちみたいに足が8本あれば、もっと楽(らく)に動き回れるはずなのに…」
「まったくだ。今まで、彼らが滅(ほろ)んだのは、その科学力(かがくりょく)に原因(げんいん)があると言われてきた。でも、愚(おろ)かな戦争(せんそう)で滅んだのではないと分かって、私はホッとしたよ」
<つぶやき>まさか、この人たちって火星人(かせいじん)なのでしょうか? 人類(じんるい)が絶滅するなんて…。
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