「ありさちゃん、いつまで休憩(きゅうけい)してるんだ? ご指名(しめい)だよ。ほら、行って」
お店のマネージャーに急(せ)かされたありさは、カーテン越(ご)しに席(せき)の方を見て言った。
「え~っ、あの人なの? もっと、あたし好みのイケメンだけにしてよ」
「なに言ってるの。俺(おれ)みたいなイケメンは、女の方から寄(よ)ってくるんだぞ。こんな店に来るのは、女に相手(あいて)にされないヤツだけなんだから」
「あたしみたいな美少女(びしょうじょ)がよ。何でこんな所(ところ)で、寂(さび)しい思いをしなきゃいけないの?」
「はいはい、そんなにごねないで。いつもの常連(じょうれん)さんじゃないか。頼(たの)むよ」
「あ~ぁ。あの人さぁ、ちょっとしつこいんだよねぇ。他の娘(こ)にしてよ」
「いいのか? じゃぁ、新人(しんじん)の娘(こ)にしてみるか。あの娘(こ)だったら――」
「ちょっと待ってよ。あの娘(こ)はダメよ。絶対(ぜったい)ダメ。あたしより若(わか)いじゃない」
「ありさちゃん、最近(さいきん)、売上(うりあげ)が落ちてるんだから。頑張(がんば)らないと。ほら、あの常連さん、良い人じゃない。金払(かねばら)いもいいし。ここは、ありさちゃんじゃなきゃ、ねぇ」
「分かってるわよ。仕方(しかた)ないなぁ。じゃぁ、稼(かせ)ぎますか。あたしが本気(ほんき)出したら、売上倍増(ばいぞう)だからね。どんどん注文(ちゅうもん)させるから、よろしく」
ありさは腕(うで)まくりをしながら、お店に出て行った。もちろん、微笑(ほほえ)みを忘(わす)れないで。
<つぶやき>これも大変(たいへん)なお仕事(しごと)なんですよね。イケメン男性が現れるといいのですが…。
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