川相初音(かわいはつね)は身構(みがま)えて言った。「あの人たちは、あたしたちを利用(りよう)しているだけよ。あなただって分かってるはずよ。もう、やめよ。琴音(ことね)…」
「うるさい。わたしは、あなたとは違(ちが)うわ」
女は、手にした武器(ぶき)で初音に攻撃(こうげき)を仕掛(しか)けた。初音は何とかかわしていたが、刃(やいば)が初音の頬(ほお)を斬(き)りつけた。初音の頬からひとすじ血(ち)がにじみ出てきた。女は、
「忘(わす)れたの? あなた、わたしに勝(か)てたことなかったじゃない。死(し)ぬ覚悟(かくご)はできてる?」
その時、突風(とっぷう)が砂塵(さじん)となって女を包(つつ)み込んだ。水木涼(みずきりょう)が能力(ちから)を使ったのだ。次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)、涼の前に女が現れて、涼を突(つ)き飛ばした。涼は立ち木に激突(げきとつ)し動けなくなった。
「邪魔(じゃま)しないでくれる。まだあなたの出番(でばん)じゃないから」
女の後ろに初音が現れた。そして女を組(く)み止めて涼から引き離(はな)す。女はそれを振(ふ)り払い、初音を攻(せ)め立てた。涼は何とか身体(からだ)を動かして…。何かが手に触(ふ)れた。見ると、それは竹刀(しない)だ。涼はそれを手にすると駆(か)け出していた。二人の戦(たたか)いに涼が加(くわ)わった。
女は不利(ふり)と考えたのか手を止めると初音に言った。
「まあ、いいわ。あなたの仲間(なかま)のところに連(つ)れて行ってもらおうと思ったけど、諦(あきら)めるわ。でも、次はないわよ。裏切(うらぎ)り者として、わたしがとどめを刺(さ)してあげる」
女は、忽然(こつぜん)と姿(すがた)を消(け)した。初音は、その場にへたり込んでしまった。
<つぶやき>初音と琴音の関係は? もういろんな人が出てくると、分かんなくなりそう。
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