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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1200「しずく155~帰還」

2022-02-10 17:40:05 | ブログ連載~しずく

 秘密(ひみつ)の場所(ばしょ)にみんなは帰っていた。神崎(かんざき)つくねは白いベッドに寝(ね)かされていて、アキが手当(てあ)てを始めている。そこへ、月島(つきしま)しずくが帰って来た。水木涼(みずきりょう)が立ち塞(ふさ)がって、
「あなた、本物(ほんもの)のしずくなの? 証拠(しょうこ)を見せなさい」
 しずくは面食(めんく)らって言った。「なに言ってるの? 私よ。見れば分かるじゃない」
 川相初音(かわいはつね)が口を出した。「そうよ。どう見たって、しずくじゃない」
「私は欺(だま)されないわよ。じゃあ、しずくの恥(は)ずかしい話しを聞かせて」
「そ、そんなこと言えないわよ。バカなこと言わないで…」
 柊(ひいらぎ)あずみが興味(きょうみ)を持ったようで、「私も聞いてみたいわ」
「先生(せんせい)まで…。もう、止(や)めてください。私は本物です。…じゃあ、いいわよ。話しても…」
 見かねたのか日野(ひの)あまりが味方(みかた)について、「間違(まちが)いないですよ。わたし、確(たし)かめました」
 初音が笑(わら)いを抑(おさ)えきれずに吹(ふ)き出して、「もうだめ…、ハハハハっ。我慢(がまん)できないわ」
 涼は残念(ざんねん)そうに、「もう、なにやってるのよ。もう少しで聞けたのに…」
 しずくは怒(おこ)った顔をして、「何なのよ。私のことからかってたの? ひどいわ」
 その時、千鶴(ちづる)が声を上げた。「静(しず)かにして。つくねが目を覚(さ)ますわよ」
 みんなは、つくねの回りに集まった。アキが治療(ちりょう)を終(お)えて言った。
「薬(くすり)は消(け)したわよ。他(ほか)には、怪我(けが)とかもないし、大丈夫(だいじょうぶ)だと思うわ」
<つぶやき>友達(ともだち)だからって、こんなことしちゃダメじゃない。仲直(なかなお)りしてくださいね。
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1195「しずく154~発砲」

2022-01-31 17:44:38 | ブログ連載~しずく

 女はまた不敵(ふてき)な笑(え)みを浮(う)かべて、「もちろんお金のためよ。あなたを連れて行けば、倍(ばい)になるかもね。さぁ、お遊(あそ)びはお終(しま)いよ。一緒(いっしょ)に来てもらうわ」
「それは難(むずか)しいわ」月島(つきしま)しずくは困(こま)った顔をして、「私、他(ほか)にもやることあるし…」
「なら、仕方(しかた)ないわね。死(し)んでも知らないわよ」
 狭(せま)い部屋(へや)で、二人の戦(たたか)いが再開(さいかい)した。二人の力は均衡(きんこう)しているように見えた。しずくが女のナイフを叩(たた)き落とすと、女はベッドの上の銃(じゅう)に向かった。しずくは能力(ちから)を使って銃を手の中に引き寄(よ)せると、女に向かって銃を構(かま)えた。女は悔(くや)しそうに言った。
「ふん、やるじゃない。でも、あなたにその銃が撃(う)てるかしら?」
 しずくは、銃口(じゅうこう)を壁(かべ)に向けると、銃を連射(れんしゃ)した。途端(とたん)、外(そと)が騒(さわ)がしくなった。無線(むせん)からは権藤(ごんどう)の声が響(ひび)いてきた。「何があった。報告(ほうこく)しろ! 誰(だれ)だ、発砲(はっぽう)したのは!」
 廊下(ろうか)から数人の足音(あしおと)が聞こえてきた。女は負(ま)け惜(お)しみに言った。
「まったく、運(うん)のいい娘(こ)ね。次はないわよ。必(かなら)ず仕留(しと)めてやるから。覚悟(かくご)しなさい」
 女は忽然(こつぜん)と消(き)えてしまった。しずくは一息(ひといき)つくと、銃をベッドの上に放(ほう)り投(な)げた。廊下の足音はすぐそこまで来ていた。しずくも姿(すがた)を消すと、扉(とびら)が開いて銃を構えた男たちが部屋に飛び込んできた。権藤は荒(あら)らされている部屋を見て言った。
「この部屋で何があったんだ?」権藤は部下(ぶか)に言った。「この銃の持ち主を調(しら)べるんだ」
<つぶやき>能力者(のうりょくしゃ)が相手(あいて)だと、どう戦えばいいのかな? これは難題(なんだい)かもしれないね。
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1190「しずく153~鬼女」

2022-01-21 17:54:06 | ブログ連載~しずく

 月島(つきしま)しずくは、これから何が起こるのか知っているようだった。入口(いりぐち)の鍵(かぎ)が外(はず)れる音がすると、ゆっくりと扉(とびら)が開いた。中に入ってきたのは銃(じゅう)を構(かま)えた男――。
 しずくは男に微笑(ほほえ)みかけて、「ごめんなさい。私じゃダメかしら?」
 男は不敵(ふてき)な笑(え)みを浮かべて、「月島しずくか…。まさかこんなところで会えるとはな。かまわないさ。ちょっと俺(おれ)と付き合ってくれるか?」
「それはどうかなぁ。あなたが悪(わる)いことはしないって約束(やくそく)してくれたら、考えてもいいわ」
「ふん…。ガキのくせに生意気(なまいき)だな。じゃあ、力づくで連(つ)れて行くだけだ」
 男は銃をしずくに向けた。だが、男は気が変わったのか銃をベッドの上に放(ほう)り投(な)げると、ナイフを取り出してにやりと笑(わら)って、
「俺は、こっちの方が好きなんだよ。さぁ、その可愛(かわい)い顔に傷(きず)をつけたくなかったら、おとなしくしてろよ。さもないと――」
「さもないと…? あなたにはムリよ。私には勝(か)てないわ」
 男は、しずくに襲(おそ)いかかった。しずくは男の攻撃(こうげき)をかわしながら、男と組(く)み合った。その時、しずくは嗅(か)いだことのある匂(にお)いに気がついた。男を突(つ)き放すと、
「あなたなのね。つくねを手に入れて、どうするつもりだったの?」
 男は、女の姿(すがた)に変わっていた。あの、つくねに化(ば)けていた女だ。
<つぶやき>こんなとこにも現れるなんて、神出鬼没(しんしゅつきぼつ)ですね。手強(てごわ)い相手(あいて)になりそうな…。
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1185「しずく152~脱出」

2022-01-11 17:45:33 | ブログ連載~しずく

 川相初音(かわいはつね)が言った。「薬(くすり)で眠(ねむ)らされてるみたいね。どうするの?」
 月島(つきしま)しずくはアキに言った。「さぁ、あなたの出番(でばん)よ。お願(ねが)いね」
 アキはやる気満々(まんまん)に、「任(まか)せてよ。こんなのたいしたことないわ」
 アキが手をつくねにかざすと光が現(あらわ)れた。そして、つくねの身体(からだ)を少しずつ包(つつ)み込んでいく。その時、千鶴(ちづる)からテレパシーが飛(と)び込んできた。
<大変(たいへん)よ。一人、そっちへ向(む)かってるわ。銃(じゅう)を持ってるから気をつけて>
 柊(ひいらぎ)あずみが冷静(れいせい)に言った。「どうするの? 早くしないと、このままじゃまずいわよ」
 アキがあたふたして、「そんなのムリよ。もう少し時間をちょうだい」
 しずくがアキの肩(かた)に手をやって言った。「もういいわ。このまま行きましょ。ここで騒(さわ)ぎを起こすのはよくないわ。それに、どうやら厄介(やっかい)な相手(あいて)みたいだし」
 あずみが訊(き)いた。「それって、能力者(のうりょくしゃ)ってこと?」
 しずくはうなずいて、「私は、最後(さいご)まで残(のこ)るわ。先生(せんせい)はつくねと飛んで。それと…」
 初音はすかさず、「あたしは、ひとりで行けるけど、アキと涼は…」
 水木涼(みずきりょう)が口を挟(はさ)んだ。「私も残るわよ。このまま帰るなんて――」
 しずくは、「それはダメよ。私だけの方がいいわ。涼とアキは、私が飛ばすね。ちょっと危(あぶ)ない着陸(ちゃくりく)になるかもしれないけど。許(ゆる)してね」
 みんなは次々(つぎつぎ)と姿(すがた)を消(け)した。最後に残ったしずくはベッドに座(すわ)り扉(とびら)を見つめた。
<つぶやき>何とかつくねを取り戻(もど)すことができそうです。でも、しずくは大丈夫(だいじょうぶ)なの?
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1180「しずく151~侵入」

2021-12-31 17:55:28 | ブログ連載~しずく

 しずくたちが研究所(けんきゅうしょ)まで来てみると、車が何台も玄関(げんかん)に横付(よこづ)けされていた。入口(いりぐち)には銃(じゅう)を持った男たちが立っている。しずくは千鶴(ちづる)とテレパシーをつなげると、
<千鶴さん、研究所の中で何が起こってるか透視(とうし)してみて>
 千鶴は能力(ちから)を発揮(はっき)させて、<ああ…、すごく慌(あわ)ただしいわね。これは特殊捜査班(とくしゅそうさはん)かも>
<そう、思ったより早(はや)かったわね。つくねは、どうしてる?>
<ベッドで眠(ねむ)ってるわよ。部屋(へや)には、他(ほか)には誰(だれ)もいないわ>
<じゃ、部屋のイメージを送(おく)って。――受(う)け取ったわ。ありがとう>
 しずくが一息吐(ひといきは)くと、「じゃあ、みんなで飛(と)ぶわよ。手をつないで」
 柊(ひいらぎ)あずみが言った。「ちょっと待(ま)って。部屋がどこにあるか分からないのに飛べるの?」
 しずくは微笑(ほほえ)むと、「心配(しんぱい)しないで、私に任(まか)せてよ。さぁ、行くわよ」
 みんなで手をつないで輪(わ)になると、アキが楽しそうに声を上げた。
「あたし、こういうの初めてよ。何か、ワクワクしちゃう」
 あずみがたしなめようとしたとき、みんなの姿(すがた)がかき消(き)えた。次の瞬間(しゅんかん)、そこは部屋の中だった。中央(ちゅうおう)にはベッドがあり、つくねが寝(ね)かされていた。あずみがドアの前まで行って聞き耳を立てた。そして、ドアを開けようとしたが鍵(かぎ)が外(そと)からかかっていた。
 水木涼(みずきりょう)がつくねを起こそうとしたが、目を覚(さ)ます気配(けはい)はなかった。川相初音(かわいはつね)は、ベッドのそばのワゴンの上に薬(くすり)の瓶(びん)と注射器(ちゅうしゃき)を見つけた。
<つぶやき>果(は)たして助(たす)け出すことができるのか? 敵(てき)はすぐそこまで迫(せま)って来てます。
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