海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「政治家たちはバイオ燃料が飢饉の原因だと断罪する」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2008年04月15日 | 貧困問題と食糧問題
イスラーム文化?その根柢にあるもの
井筒 俊彦
岩波書店

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 欧州連合の環境問題担当のスタヴロス・ディマスは、最初は、落ち着いて記者団の前に現れた。ヨーロッパの大臣たちは爆発的な食料価格の高騰にもかかわらず、欧州連合のバイオ燃料の目標を堅持することで合意した。「持続性を心配するなら、それは結構だ」とギリシャの環境相は落ち着き払った外見を見せた。
だが、数時間後、新たな驚くべきニュースがカリブ海からやってきた。高い食料品価格が原因で一日中騒動が続いた挙句、ハイチ政府が崩壊した。首都のポルト・プランスでは国連軍の兵士が一人殺された。別の場所でも暴力的な乱暴狼藉が行われた。バングラデシュの街頭の騒乱では、約50人の人間が負傷した。
ディマスとは異なり、「国際通貨基金」(IMF)と世界銀行とは非常に警戒しているということを示した。「かなり多くの人たちが車にガソリンを入れる際、心配しているのに対して、他の多くの人たちはどうやって胃袋を満たすかを巡って争っている」と世銀の総裁であるロバート・ゼーリックは、ワシントンででの金融機関の春季大会で述べた。
アジアから北アフリカを経てカリブ海に至るまで、抗議の波が押し寄せている理由は、基本的な食料の価格が数ヶ月の間に二倍に跳ね上がったからである。ラテン・アメリカの最貧国での抗議の際、すでに5人が死んだ。確かに、エネルギーと飼料ための費用の上昇、アジアにおける需要の増大、オーストリアの旱魃も価格の高騰の原因である。
だが、補助金をもらったバイオ燃料も貧困層の生活苦の原因だという批判が増大している。ドイツの開発相ハイデマリー・ヴィチョレック=ツォイルは、ワシントンでバイオ燃料戦略について考え直すように要求した。この世界銀行のドイツ人代表の推定では、食料価格の高騰の30%から70%は、バイオ燃料のせいである。世界は、気候変動に対応し、食料の確実な供給と社会的発展とを調和させるために、新しいルールが必要だと彼女は述べた。
IMFの議長であるドミニク・ストロス=カーンも潜在的な紛争の火種に対して警告した。食料価格の高騰は、貧困国の数十万人の生存を脅かしている。それとともに、未開発国の若くて傷つきやすい民主主義も脅かされている。世銀によれば、もっとも貧しい人たちは、既に現在、彼らの収入の四分の三を食べ物に支出している。「数十万人の人間が飢えており、児童は一生涯栄養失調に苦しむだろう」とフランスの元財務相は警告し、国際的共同体に援助を要求した。救助の穴をふさぐには、少なくとも5億ドル(500億円)が必要だというのだ。(以下省略)
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