海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ウイグル人が天国的な平和を乱している」と題する『ヴェルト・オンライン』の解説記事。

2009年07月12日 | 中国の政治・経済・社会
天安門における学生たちの抗議が巨大な国の中心を揺るがせた20年前とは異なり、現在、中国は周辺から崩れかけている。だが、1989年の時と同様、政権は今日剥き出しの暴力で答えている。昨年のチベットや現在の新疆自治区での蜂起の鎮圧が示しているように、少数派に対する繊細な扱いは、問題にならない。
ここで、平行性は見事に終わる。なぜならば、ウルムチはラサではなく、米国に住んでいるウイグル人世界会議のレビヤ・カデール女史にはダライ・ラマとの共通点はない。中国政府の目から見ると、分離主義者とテロリズムとは、建前では諸民族の間に支配している天国的な平和(「天安門」をドイツ語訳すると「天国的な平和」という意味になる。)の主要な敵である。毛沢東風のイデオロギーは、今日、過度のナショナリズムにとって変わられる。それは、中国がしばしば貪欲な先進国の犠牲であったがゆえに、共鳴を見出す。特に日本や英国やロシアやドイツでは。
§1.ナショナリズムが毛沢東に取って代わる
政府の主張では、ウイグル人もチベット人も中国の不安な国境の省を入り口にして、中国を不安定にし、分割しようとしている帝国主義的な国々の依頼で、行動していることになる。キューバのグアンタナモ収容所にウイグル人もいたということは、イスラム教徒の抗議デモをテロリストだと主張する口実になっている。確かに、ウルムチのデモには暴力行為がなくはなかった。それは平和な告知から街頭での衝突へとエスカレートした。警察の車に火がつけられ、通行人は血が出るほど殴られた。けれども、その前に、広州では、中国人の少女を強姦したという濡れ衣を着せられたウイグル人の季節労働者がリンチされたのだ。
棍棒を振り回す中国人がウイグル人を駆り立てる様子は、人種主義者のユダヤ人迫害を思い出させるが、それは中国の西部を今日まで形成してきた数世紀間の文化の葛藤の表現である。数百年前に定住するようになりイスラム教に改宗した草原の民族を軽蔑する漢族の儒教文化がある。ウイグル族は、唐王朝以来、中国の朝貢国であり、中央政権が崩壊した場合には、独立を宣言した。最後は、第二次大戦中、「東トルキスタン」という国名で独立を宣言した。このモスレム共和国の指導者は、毛沢東によって招集された協議会に出席する途中、飛行機の墜落で命を落とした。
§2.雑婚は好ましくない
チベットに似て、新彊も自治区であるが、自治は紙の上に書かれただけである。言語は中国語だし、ウルムチは5千キロも西に寄っているのに、時間は北京時間である。雑婚は望ましくない。官吏や警官は、金曜日のモスクでの礼拝に出席できない。メッカへの巡礼は、まれにしか許可されない。カシュガルの古いムスリムの町並みの取り壊しは、経済や行政で音頭を取る中国人の列が続き、ウイグル人を少数派に追いやる限りは、人々の平和に貢献しない。ウイグル人は二級市民であり、言語・文化・宗教は許されているが、促進はされていない。
[訳者の感想]この記事のあとに、読者の意見がブログの形で載っています。それらを書いた人たちの中には、反イスラム主義者がいて、イスラム教徒を批判して、むしろ中国のやり方を支持しているように見えます。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「胡錦涛主席、G8サミットを... | トップ | 「ドイツにいるアルカイダの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

中国の政治・経済・社会」カテゴリの最新記事