海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ラムズフェルド、議会で集中攻撃に遭う」と題する『ワシントン・ポスト』の6月24日の記事。

2005年06月24日 | イラク問題
イラクにおけるアメリカの戦略の成り行きについての議会での憂慮が沸騰し、昨日は、ラムズフェルド国防長官に対する痛烈な批判となった。
上院と下院における一日中の聴聞会の間、ラムスフェルドは、アメリカの作戦行動は揺らぎつつあるという主張を論駁し、イラクでの紛争は、生命やドルの損失に値するものであると主張した。彼はまた超党派の少数の議員グループによって支持されたアメリカ軍部隊を引き上げるためのタイムテーブルを設定するという考えを退けた。もっとも、彼は今年中の新しい憲法と国民議会選挙のタイムテーブルを守るようにイラク当局に圧力をかけることは好ましいと言ったけれども。
「われわれが負けたとか負けつつあるという人は間違っている」と彼は発言の初めに辛抱を訴えることによって、断言した。
国防長官のけんか腰の態度は、今日ブッシュ大統領と会談する予定の訪問中のジャファリ・イラク首相によっても受け継がれた。アメリカ軍の撤退の特定の期日を設定することは、「敵の中に入っていくようなものだ」と彼はブレア・ハウスでの『ワシントン・ポスト』紙の記者とのインタビューで述べた。
しかし、共和民主両党の議員は、イラクでのいつまでも続く暴力行為を引き合いにだしながら、いつ終わるか分からないアメリカの関与についての増大する疑惑を表明した。最も手厳しい批判は、上院で出てきた。
昨日の最も劇的な対立においては、エドワード・M・ケネディ上院議員は、ラムズフェルドに向かって、「戦争は一見手に負えない泥沼になった」と言った。彼は、彼がアメリカの軍事作戦における酷い間違いと失敗と呼ぶものの長いリストを読み上げ、新たにラムズフェルドに辞任するようにという訴えで締めくくった。
「野球で言えば、スリー・ストライクで、君はもうアウトなのだ。君が辞めるべきときではないか?」
ラムズフェルドは、沈黙し、彼の考えと落ち着きを取り戻そうとしているように見えた。「それは一つの意見ですな」と言って、彼は「彼と一緒に座っている三人の四つ星の将軍の誰もわれわれが泥沼にはまっており、終わりが見えないというケネディの主張に賛成しないだろう」と付け加えた。ペルシャ湾におけるアメリカ軍の司令官ジョン・P・アビゼイド陸軍大将や、イラクの総司令官ジョージ・ケーシー大将や、統合参謀本部長のリチャード・B・マイヤーズも同じ意見であった。
ラムズフェルドは、また、彼が2度辞職を申し出たが、ブッシュ大統領がその申し出を受け入れなかったとも述べた。
しかし、民主党員と同様、共和党員も、イラクにおけるアメリカの介入に対する公的支持が少なくなっている事実にラムズフェルドの注意を向けさせようとした。
「私がここに来たのは、私が想像できる最も愛国的な国で、国民は疑い始めているということを言うためである」とリンゼイ・O・グラハム共和党議員は言った。
「アメリカの世論は、この努力から後退しつつあるのではないかと恐れる」と民主党議員のジョセフ・リーバーマンは言った。
「アメリカ人の間にそのような後退があるとすれば、アメリカ人はそういう風にし向けられているのだと感じる」とラムズフェルドは言った。これは好ましくない新聞の報道や政治的解説を明らかに指している。ラムズフェルドは、支持は回復するという自信を表明した。
次に、アビザイド司令官は、アメリカ軍は公衆の支持の低下を意識しているという懸念を表明した。
アビザイドはまた戦場のアメリカ軍の間の自信は今よりも高かったことはないのに、ワシントンの政治的気分は非常に違っているように見える。「自信の欠如がこれほど大きかったのは見たことがない」と彼は言った。
しかし、アビザイドは、ある政府高官(多分、チェイニー副大統領を指している。)によるもっと楽観的な描写とは対照的なイラク武装勢力の評価を提示した。抵抗は、依然として6ヶ月前と同じぐらい強いと言い、敵の戦士は、共同攻撃という形での襲撃のような「軍事的驚き」に仕掛けるのに十分な予備を持っていることを認めた。
ラムズフェルドと彼の軍事的権威者は、政治的経済的戦線におけるかなりの進歩の絵を提示しようと試みた。彼らはイラク治安部隊がより有能になり、イラクの世論調査が憲法に対するより多くの信頼を示していると述べた。
上院や下院の軍事委員会でも、アメリカ軍を引き上げるタイムテーブルを設定することには余り支持がない。しかし、カール・M・レヴィン議員は、「イラク人にアメリカ軍に対する期限をつけないという公約を与えることは、受け入れられない」と述べた。彼は「イラク当局に新憲法と議会選挙に対するスケジュールを守るように圧力をかけ、それに失敗すれば、アメリカは、イラクにおけるプレゼンスを考え直すと警告することを示唆した。
ラムズフェルドもスケジュールを守る必要には同意した。現行のイラクの法律の下での6ヶ月延長を行使することには反対した。
『ワシントン・ポスト』紙のインタビューの間、ジャファリは、アメリカ軍が帰国に近づきつつあると考えている指導者のようには見えなかった。彼は、武装勢力をやっつけるには、3つの条件がそろわなければならないと言った。
「何よりもまず、国境が非常に安全でなければなりません。第二に、イラクの治安部隊の規模が、テロリストに対して広範で、効果的な攻勢を遂行できるものでなければなりません。第三に、司法制度が、正義が遂行されるように活性化されなければなりません。」ジャファリは、第一次大戦後にドイツが米国や他の国から無視された後でドイツに何が起こったかを思い出すように忠告した。「私たちは過去を振り返り、歴史から教訓を学ばなければなりません」とジャファリは言った。
[訳者の感想]アメリカではイラク戦争をこれ以上続けることに対して、反対の意見がかなり強くなってきたことが分かります。自衛隊をいつ撤退させるのか、日本の国会でも議論するべきだと思います。
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