海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「チェイニー副大統領は、どのように思い違いをしたか」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2005年06月22日 | イラク問題
ブッシュ大統領は、イラク戦争を始める前に、彼のイラク政策を駄目にする種を蒔いた。冒険を救うにはホワイトハウスからの未曾有の程度の正直と現実主義が必要であるだろうが、ホワイトハウスは、アメリカ国民に黙認するように頼んでいた企てがどれほど大きいかを決して認めようとしないのである。
大統領が不正直によって国を戦争へと導いたという意見は、行政府に対する最も致命的な批判ではない。最悪の可能性は、大統領と彼のアドバイザーが達が自分達自身のプロパガンダを信じたということなのだ。彼らはアメリカ国民を困難な闘争になることを覚悟させなかったわけは、彼らがそれを予期しなかったからである。
そうでないとしたら、大統領と彼の副官が一致して戦争の費用や必要な部隊の数を軽視し、スンニー派やシーア派やクルド人の間の緊張を克服する困難を軽視した事実をどのように説明したらよいだろうか。彼らは嘘をついていたのか。もっと論理的な説明は、彼らが何について語っているか知らなかったということである。
ホワイトハウスがアメリカ国民に来たるべき事態に対して覚悟させることに失敗したから、行政府は今国民の激しい反発に直面しているのだ。先週末、ブッシュは、「テロリスト達は、われわれ国民の強固な意志を弱めようとしている」と語った。しかし、ブッシュが苦情を述べている高まるもどかしさは、状態がどれほど酷くなりうるかを警告した人たちを行政府が解任した結果である。
「情報と事実とはイラク侵攻政策のために作り直された」という『ダウニング街メモ』の主張は、戦争反対者にとって元気を取り戻す点になった。しかし、別の最近暴露されたドキュメントは、もっとひどい。その中では、英国の高官は、「軍事作戦後の余波についてはワシントンでは殆ど議論されていない」と警告していた。英国人は、「アメリカの軍事計画は、イラクの戦後の占領が費用のかかる国家建設に導くかもしれないという事実については事実上何も言っていない」という事実を心配していた。
この主張を支えるもっとも破滅的なドキュメントは、秘密ではなく、依然として戦争前の議論のもっとも重要な所産である。それは2003年3月16日付けの「新聞を論破する」と題する文書の写しである。この中で、チェイニー副大統領は、今となっては、現実によって打ち倒された政府の楽天的な仮定に影響を与えた。
ティム・ラッサートは、「安定を維持するためにイラクに数年間何十万もの軍隊を置かなければならないか」と尋ねたのに対して、チェイニーは、「私はその意見に賛成しない」と答えた。しかし、彼はどれぐらいの数の軍隊が必要とされるかは言わずに、「軍事作戦が終わった後で何十万もの軍隊を必要とすると示唆することが正確であるとは私は思わない。それは過大表現だと思う。」
ラッサートが尋ねる。「あなたの分析が正しくないとしたら、そして、われわれが解放者としてではなく、征服者として扱われたら、また、イラク人達が抵抗し始めるとしたら、アメリカ人が重大なアメリカ兵の死傷者を伴う長く費用のかかる血みどろの戦闘をする覚悟があるとあなたは思うか。」
チェイニーは、そのどれも考慮しない。「私は戦争がそういう風に展開するとは思わないね。なぜなら、特にバグダッドでは、われわれが解放者として歓迎されると私は本当に持っているからだ。私は過去数ヶ月沢山のイラク人と話した。イラク国民についてわれわれが得る読みは、問題は存在せず、彼らは、サダム・フセインを取り除くたいと思っている。そして彼らは合衆国を解放者として歓迎するだろう。」
ラッサート:「クルド人やスンニー派やシーア派が民主主義で一致すると確信しているのか。」
チェイニー:「そこまでは一致するだろう。」そして副大統領は次のように結論する。「私は、この種の成功を達成できる見込みは、政治的立場からして、多分他のいかなる国に対してあるよりも、もっと良いだろうと思う。」
チェイニーは、政治的目的のために戦争のコストを誤魔化していたのだろうか。彼が自分の言ったことを信じていたということのほうがもっと可能性がありそうである。このことが示唆しているのは、政府はアメリカ国民を謝って導いたというよりは、むしろ自分自身を誤り導いたということである。
ネブラスカ州選出の共和党上院議員チャック・ヘーゲルは、最近号の「ユーエス・ニュース&ワールド・レポート」の中で、「ホワイトハウスは、完全に現実から切り離されている。彼らは事態の成り行くとおりにでっち上げているように見える。」
不幸なことに、過去の証拠は、ヘーゲル議員の辛辣な言い回しが、まさに正しいかもしれないということを示唆している。今なおイラク侵攻を高貴な使命だと見る人たちは、彼らの政策を戦争の批判者から護る必要はない。彼らは政策をその構築者から救う必要がある。
[訳者の感想]筆者は、E.J.ディオンヌ・Jrと言う人です。イラク戦争を始める前にブッシュ政府が戦争の結果がどういう事態になるかを極めて楽観的にしか見ておらず、こんな混乱が続くとは夢にも思っていなかったことが良く分かります。どうも政権担当者に想像力が大部不足していたのではないでしょうか。
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