海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「米軍移転の負担を分け合う困難」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2006年05月14日 | 外交問題
米国と日本はかれらの軍事同盟がアジア太平洋地域で最も重要であるということを世界に思い出させる機会を無駄にすることは稀である。
だが、第二次世界大戦以来日本に駐留する米軍の再編成の詳細を解決する段になると、東京とワシントンは、困ったことに、金が外交的意図と同じぐらい声高にものを言うのを発見しつつある。
世界の二つの最大の経済大国が数千人の海兵隊員を日本から米国へと送還するためのうまい汁を誰が払うのかについて言い争っているが、過去数日が示しているように、最低線よりも遥かに多くのものが問題となっている。
去年10月、両国は8千名の海兵隊員を沖縄からグアム島に移転することに合意した。
多くの沖縄島民にとって、海兵隊員とその家族の引っ越しは早すぎるということはあり得ない。この島は日本の全領域の一部であるが、在日米軍総数3万5千人の75%を抱えている。
 米軍の足跡を削減する試みにおいて、日本は友情が高くつくということを学んでいる。
 米国は、海兵隊のグアム島への移転費用が100億ドル(1兆1千億円)かかるだろうと見積もっており、日本が勘定書の75%を負担することを要求している。これまで日本は、30億ドル(3千300億円)支払うこと、さらに残り30億ドルは低利の借款で供与することに同意した。
 小泉政権は両国同盟に対する責任と日本の納税者に対する義務とを天秤にかけるねばならない。日本の納税者は世論調査によれば、政府が彼らの客の帰国費に一文も出すべきでないと望んでいる。
 両者は、海兵隊移転に決着をつけるデッドラインである3月31日を既に逃している。4月中旬に東京で行われた協議は余り進展しなかった。
 五月の初頭に起こりそうな取引についての米国の交渉者の肯定的な声は、一方(日本)が両国の間にある重大なキャップと表現しているものの兆候を隠すことは出来なかった。
法的にはそうする必要はないのだが、日本は既に米軍基地に対して年額2,350億円を支払っている。それは駐留経費の70%に相当する。
 多くの日本人は追加の要求が我慢できないと思っている。
「この要求は度はずれたものだ」と『ジャパン・タイムズ』は社説で述べた。「米軍施設と人員を米国の領土内に移転する費用を相手国政府に出させるということは殆ど前代未聞だ。」同様のドイツ駐留の米軍の再編は、米国政府が負担した。批評家達は40億ドルと見積もられたプロジェクトのために結局二倍以上の費用がかかるということがどうして可能なのかと質問した。その答えは、日本は再配置のための費用を出せと頼まれているのではなく、グアム島における家屋の建設や海兵隊の新居のための設備の費用もだせと頼まれているということであるようだ。もし日本人が譲歩すれば、アメリカ人達は幸せだと考えるかもしれない。グアム島への移転は、結局、太平洋におけるアメリカのプレゼンスを強化しようとするブッシュ政府の努力の一部なのだから。(以下省略)
[訳者の感想]4月18日にジャスティン・マッカリー記者が書いた記事です。アメリカの極東戦略の中に日本はますます組み込まれているようです。小泉政権は結局少し値切るぐらいしかできないのではないでしょうか。
コメント (1)
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