海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「中国人がやってくる。さあ挨拶しよう。」と題する『ヘラルド・トリビューン』国際版5月17日の記事。

2005年05月17日 | 中国の政治・経済・社会
パリ発:最近、私は中国の「平和な台頭」についての「ボアオ・フォーラム」に参加するために、中国に行った。「平和な台頭」というのは、この国の外交上のお題目で、最初は企業家によって、次に政治家によって、そしてもっと最近は、「政治的革新のための財団」(Fondation pour l'innovation politique)によって唱えられたものである。
実際、問題は、今や、中国が台頭しているかではなくて、台頭が平和的なものであるかどうかである。
夢を見るのは止めよう。更新可能なエネルギーは常に不十分であったのに、中国は、中国の電力需要の4%か5%を供給する核エネルギーのために20年懸かった。
その結果、中国は、伝統的な資源、つまり、石油と石炭にによるエネルギー消費するだろう。そしてそれはあらゆる可能な手段を使って、中央アジア、イラン、ラテン・アメリカでエネルギーを手に入れようとしている。
そのことによって、新しい同盟が形成され、そのあるものは西欧と衝突するだろう。
更に、エネルギー資源に対する中国の要求とそれにもとづく対立地域との関わり合いは、不安定にするボトルネックを産み出すかもしれない。このことは、中央アジアにおける中国の増大するエネルギー資源需要において明白である。中央アジアは、9.11以後の増大するアメリカのプレゼンスやロシアとインドの再参加やサウディ・アラビアやパキスタンの地域的繋がりで鬱血した政治的な地域である。
だから、問題はエネルギーを越えている。中国は、国際社会にその「平和的台頭」がそれ自身の重要な戦略的利害が脅かされない地域にのみ限定されないことを確信させなければならない。
次に、中国の台頭の軌道の問題がある。中国は実際に何を欲しているのか。われわれはそれを知っているだろうか。中国自身がそれを知っているのだろうか。どの偉大な文明も世界にある理念をもたらす。中国はどのような理念をもたらすのか。
西欧は、中国が歴史的運命を持っていること知っている。しかし、西欧は中国が何でありたいと思っているのか、中国が世界に対してどんな肖像画を描こうとしているのか確かではない。中国とインドや西欧との同盟は、中国がある他の地域から距離をおくことは、世界の中に存在したいという願望だけでなく、世界の出来事を支配したいという願望を示している。
それ自身の中に閉じこもったままであることを選ぶなら、それは平和的台頭に対する優れたアリバイであっただろう。しかし、中国は、「中心の国」(the Middle Kingdom)の孤立に対して抵抗することによって、台頭を平和的にしておくという挑戦をしているのだ。
われわれは中国がこれらの挑戦を乗り越えるのを助けなければならない。中国と関わり合うことは、われわれ自身がゲームをしていることを保証するだろう。台頭しつつあるのは単に一つの国ではない。ある前進的な地域的統合が、一つの大陸の台頭を結果するだろう。われわれはそれが人類の最大の部分を含む大陸であることを忘れてはならない。
中国は、敵意でもって扱われるべきではない。古代ギリシャの歴史家ツキュディデスが「人が他人を敵だと考えるならば、他人は本当に敵になる」と言ったとき彼は正しかったのだ。中国をライバルと見る代わりにパートナーだと考えよう。
われわれの目標は、新たに台頭する極が多元的な対話の中で統合するするのを助けることでなければならない。中国と争う可能性は余りないと考えるヨーロッパ人は、この対話を確立するのに果たすべき重要な役割を持っているように思われる。
多面性についての中国のビジョンをヨーロッパが鼓舞することは、中国に対して世界貿易機構に参加するように呼びかけた欧州連合の態度に反映されている。--それについては、フランスは、重要な役割を演じた。また、それは中国に対する武器輸出禁止の撤廃の呼びかけにも反映されている。協力が制裁よりも上に置かれなければならない。そして過去は、未来の前に消えるのだ。
しかし、対話を続けるためには、われわれはお互いに知り合う必要がある。人々、特に学生や企業家や文化人や大学人や政治家が出会い、互いを知るようにならなければならない。そうすれば、中国は、エキゾチックであることを止めるだろう。それはもっと親しみのあるものとなるだろう。
筆者であるジェローム・モノーは、「政治的革新のための財団」の創設者で名誉議長。
{訳者の感想}ドイツやフランスが中国に接近しようとしている理由が何であるかが分かるように思いました。要するにこれからの中国を国際社会の中で孤立させないことが必要だと言っているようです。日本政府はどのような中国政策を持っているのでしょうか。どうも中国封じ込め政策を考えているように見えます。それは果たしてうまくいくのでしょうか。
コメント
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