いよいよ11月 霜月に入りました
私は今まで、人形の巡回展をしてくる中で全国のほとんどを回ってきたが、山口県の萩市は、本当に素晴らしい所だと思っている
白壁に瓦屋根。夏ミカンがぷっくり実をつけて、道行く人を覗いている
そんな萩市には「八重子のハミング」を出版している陽信孝さんがいて、映画がいよいよ公開されるという事で行ってきました。
飛行機に乗ればあっという間。宇部空港からのアクセスも、高速道路が途中までとはいえ繋がってきているので、以前来た時よりも
ずっと早い
陽さんが宮司を務める、金谷天満宮でまずはお参り。ここでの撮影も多かったと聞く
陽さんと合流し、いざ映画館へ・・・
「なに!なに!これは」懐かしい昭和レトロ
何とも風情のある、アンティークな映画館である。中に入ると、一階は飲食店が何件か入っている。
らせん状の階段を上ると、こじんまりとしたチケット売り場。100席ほどの観覧室
そして、こんな懐かしい映写室まで入れてもらった
とにかく懐かしい昭和の香り、住人の皆さんがこの映画館を残そう・・・という強い心意気が感じられ、嬉しくなった。
佐々部監督、升毅さん、高橋洋子さんの舞台挨拶が終わり、いよいよ始まる・・・・・・
場面は陽さんの講演から始まり色々な場面へと繋がってゆくのだが、いつの間にか役者さんが陽さんや八重子さんに見えてくる。
本の中の、いくつものエピソードが映像となって映し出され、いつの間にか頬に涙が伝い、こぼれ落ちてくる。
これまでも、認知症をテーマにしたものはあるが、これは
ただの介護をテーマにした映画ではない。この映画には沢山の教えと指針がある。
ここに来るまでには家族一人一人の想いも見えてくる。試写会の会場の後ろの隅で、陽さんのご家族もいらしたが、娘さんの複雑な表情も見て取れたが、私ももし、同じ立場だったら父親に食って掛かっていただろう。……なんでアルツハイマーの母の日常をあえて表に出さなければならないのかと。
陽さんは、歩きながら会場に向かう道すがら、ぽつりとつぶやいた。
家族がみんなで来てくれた事が、許したということかもしれんね・・・・・・・と。
考え方の違いで、ぶつかることもあったと思うが、深い愛情のあふれる家族だと改めて思う。
映画という形にして残してくれてありがとう・・・・・・私は心より、そう思った
今、同じ状況、同じ葛藤をしている人たちがどれほどいるのか。
この映画を見れば、きっと気が付くことがあるはず。
山口行きはぎりぎりまで迷った。しかし、行ってよかった。見られてよかった。
翌日、半日ほど陽さんおすすめの図書館、博物館、城下町などを歩いた。
まだ、建って二年ほどという新しい図書館は、明るく天井が高い。木の香りとわかりやすい本の配置。豊富な机と椅子に、建物の前には広い庭。これだけの施設があったら、老若男女日向ぼっこをしたり、本を読んだり一日中でもいられるのではないかと思うほど、居心地がいい。
博物館には部屋ごとに解説をしてくれる方がいて、萩から出た勇士や文化人の話を詳しく聞ける。
瞬く間に帰る時間になってしまったけど、また行ってみたい。ゆっくりと
二つ並んだ映画館の片方では懇親会の準備がされ、人形館でも企画展として展示している資料などをパネル展示で見せてくれていた。
縁は繋げるものでなく、繋がってゆくもの。
陽さんとのお付き合いも10年以上になる
よく頑張ったね!ご苦労様でした