白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(215)味噌煮込みうどん 二つの「山本屋」

2017-03-05 14:43:09 | 思い出
煮込みうどん 二つの「山本屋」

 この仕事をしていると食事はおのずと決まって来る 楽屋口から近いところ 手軽に出前が頼めるところ すぐ食べられるものなどである その条件を満たせるところでも運が悪ければ食えない ましてや舞台監督なぞやっているときはいつ問題が発生するか判らないので食える時に食っとかないと・・・何を食べようか考えているうちに時間が来てしまう羽目に・・決まったものを食べる 
これが幕内で働く者の淋しい食事だ

 劇団民芸の宇野重吉は名鉄ホールで公演中毎日のように一つ上の階の名鉄百貨店食堂街にある「山本屋総本家」の煮込みうどんを出前でとったという
ぼくも名古屋の八丁味噌が大好きでよく食べた 味噌カツはあまりにも弁当で食べすぎ(そのころ味噌カツがブームで弁当には必ず入っていた)て食傷ぎみだが 味噌田楽 味噌煮込みうどんはよく食べた

僕が名古屋の劇場で初めてきたのは中日劇場であった その作品の制作は名うての食通であったので劇場の近所の食事処は殆ど制覇した 中でも劇場ビルの地下にある「山本屋本店」は名古屋味噌煮込みうどん体験の最初だ 鍋の中でグツグツと煮えたぎったうどんを鍋の蓋に取りフーフーふいてからすする(その為に蓋には穴があいていない)
こんなうまいものがあるのかと毎日のように食べた

そのあとよく名鉄ホールで通ったのが食堂街の「山本屋総本家」の煮込みをよく食べた
お土産で必ず半生うどんを買って帰った 
同じ食堂街には真っ黒なミソおでんの店もあったのでこれもよく食べた

もう一つの劇場 御園座では地下食堂街にあった「なめしでんがく」の「やひろ」によく通った
たっぷりと味噌がかかったとうふ田楽が五本 このうち一本を口に含み おもむろに菜飯を食べる 至福の時である 
この地下街にはおでんの「清富」もあってよく通ったものだ

御園座後半は劇場の近くホテルになったので(つまり少々偉くなったので)近くにあった「山本屋総本家本店」や「山本屋本家本店」にもよく行った

最初は知らなかったが名古屋には味噌煮込み専門店は「山本屋本店」と「山本屋総本家」があり名古屋の人でも好みが二派に別れている
「本店」の特徴 明治40年創業 味噌煮込み一筋のメニュー 伊賀焼の土鍋 自家製漬物は食べ放題 ごはんも食べ放題
「総本家」の特徴 大正14年大須で創業 60㎝もある薬味入れ(一味,七味) きしめんの煮込みもある
「名古屋名物」といえばやっぱり山本屋総本家の「味噌煮込みうどん」だがねえ 

結局僕は名古屋ではこのように八丁味噌漬けの毎日で挙句の果てには近くのスーパーで八丁味噌を買って帰って 味噌汁を作ったものだ

さっきん山本屋本店では「鯱市」というカレー煮込みうどん専門店を出して評判をよんでいるという 
名古屋に行った時は是非食べに行こう
 

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